北ミサイルで日米“圧力作戦”正念場 安保理決議の制裁には限界も

北ミサイルで日米“圧力作戦”正念場 安保理決議の制裁には限界も

  • AERA dot.
  • 更新日:2017/12/06
No image

トランプ氏は金氏を「病気の子犬」と批判。対話を探る国務長官との不仲説も絶えない (c)朝日新聞社

北朝鮮の核・ミサイル開発阻止へ“最大限の圧力作戦”を進める日米。だが北朝鮮は2カ月半の沈黙を破り、またICBM(大陸間弾道弾)級を放った。

「北朝鮮が核・ミサイル開発を執拗に追求し続けていることが改めて明らかになった」

11月29日早朝、安倍晋三首相はトランプ米大統領に電話で訴えた。未明に北朝鮮が新型弾道ミサイル「火星15」を高い角度で日本海に落とす軌道で撃ち、過去最高の4千キロ超まで上昇。米本土に届きうる今年3度目のICBM級発射に対して、「圧力を最大限まで高めるという認識で一致した」(安倍氏)。

トランプ氏肝いりの「残忍な政権を孤立させる、最大限の圧力作戦」は、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射が鳴りを潜めたこの2カ月半も続いていた。

9月3日の北朝鮮による6度目の核実験に対し、米国主導で国連安全保障理事会が9度目の制裁決議を採択し、石油輸出を3割削減。爆撃機が朝鮮半島上空へ向かうなど米軍の訓練が頻繁に発表されるようになり、トランプ氏がアジア歴訪中の11月12日には米空母3隻が日本海に集結した。

そして、20日のテロ支援国家への再指定だ。冷戦期から北朝鮮に独自の経済制裁を重ねる米国は、「最高レベルの制裁」へ13社を対象に追加。うち4社は中国企業で、北朝鮮の主要貿易相手の中国にも厳しく出た。

安倍首相も完全に同調。テロ支援国家指定については9年前の解除には拉致問題が未解決だと批判しただけに、トランプ氏来日時の6日の首脳会談で再指定を求めた。日本の独自制裁も追加し、朝鮮半島周辺での米軍の訓練に自衛隊が参加した。

安倍首相は29日の国会で、「日米同盟は揺るがないと明確に示した。北朝鮮の政策を変えさせるためあらゆる手段で圧力をかけないといけない」と答弁。「武力による威嚇」を憲法9条が禁じる中、日本にとっても瀬戸際の世界へと踏み込む。

安倍首相は制裁のカギを握る中国が本腰を入れるとして「厳しい冬を迎える中、効果を注意深く見極める」と語っていた。だが、冬を目前にした駆け込み的な今回の発射で「最大限の圧力作戦」は正念場を迎えた。

北朝鮮メディアは「ついに国家核戦力が完成した」との金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の言葉を伝えた。米国のパシフィックフォーラムCSIS(戦略国際問題研究所)のコッサ所長は29日付の論考で警鐘を鳴らした。

「平壌は『米本土をたたけるようになった。凍結へ対話してもいい』と言ってきそうだ。トランプ政権は『勝利』を急いで罠に陥らないだろうか。検証可能な核・ミサイル開発の凍結なら非核化への慎重な一歩となるが、実験を凍結するだけなら北朝鮮の現状を認めることになる」

日本には届く中距離弾道ミサイル・ノドンなどの対応が後回しになる懸念もある。27日の国会ではその点を突く質問が自民党から出た。安倍首相は「ノドンは在日米軍にも直接の脅威だ。日米間で方針は完全に一致している」と不安の払拭(ふっしょく)に努めた。

安保理決議による制裁は効いているのかという問題もある。実施を監視する専門家らは8月の報告書で、「制裁の範囲が広がるほど回避も広がる」と述べ、禁輸品偽装や、ダミー会社による金融制裁逃れが続いていると指摘。北朝鮮の主要産品の石炭について中国が決議に沿い2月に輸入を止めると、アジアの他国で輸入が増えたことや、武器輸出や公共事業受注によるアフリカでの外貨獲得にも触れ、「非核化へはほど遠い」とした。

今回の発射を受けた29日の安保理緊急会合で日米は圧力強化で足並みをそろえたが、中ロは対話を主張。日本外務省幹部は「国際社会が一枚岩になれるか。北朝鮮と我慢比べだ」と話す。12月上旬に朝鮮半島で米韓合同の航空軍事演習も控え、北朝鮮の出方は予断を許さない。(朝日新聞専門記者・藤田直央)

※AERA 2017年12月11日号より抜粋

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

中国・韓国・アジアカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
日系車の安全性が劣るかどうかは、マツダ車をみれば分かる=中国報道
中国の「一帯一路」、不信感広がり巨大事業が相次いでキャンセル
日本人3人が機内で騒いでチャイナエアライン機が引き返し 約4時間半遅れ
中国で小学生女児の“生ストリップ配信”が大流行! 視聴者の求めに応じて胸元を......「面白いからやってるの」
日本人はあのにおいが好きなの!?=韓国人との感覚の違いにびっくり―韓国ネット
  • このエントリーをはてなブックマークに追加