111年の歴史に憧れのセーラー服 大阪・夕陽丘高に潜入後編

111年の歴史に憧れのセーラー服 大阪・夕陽丘高に潜入後編

  • THE PAGE
  • 更新日:2017/08/16

111年の歴史がいっぱい詰まってます──。大阪市天王寺区にある大阪府立夕陽丘高等学校は、今年で創立111周年を迎え、普通科と府立高校唯一の音楽科が設置されていることは前回伝えたが、その敷地内でひと際目立つ、レトロでかつおしゃれな建物を見つけた。聞けば戦前から建っている同窓会館で、中には約40年近く同校に携わる人物もいるとか。さらに、中には誰もが知る、あの「人形」がユニークなスタイルで販売されていた。

1934年に建てられた同窓会館

No image

[写真]創立100周年の時に同窓会が作製したという「夕陽丘のリカちゃん」。制服はもちろん、みんなのあこがれの同校セーラー服だ=大阪市天王寺区で(撮影:柳曽文隆)

同校の恩知理加校長と訪ねたのは、同窓会館である「清香会館」。1934(昭和9)年に建てられたこの会館だが、現在も耐震化などを行った以外は、なるべく当時のままの状態で残されている。全体的に曲線の多い建物で、想像の範囲ではとても80年以上前に建ったものとは思えない。恩知校長は「この111年の資料がたくさん保管されていて、卒業生の方が来られた際に閲覧できる場所で、同窓会なども行えるようになっています」と話す。

同館1階にある「清香会事務局」を訪ねると、同会館顧問の森敏行さんがいた。聞けば同校の15期卒業生で、後に書道の教師として長年勤務するなど、これまで約40年近く同校に携わっているという。

「私がいたころはハイカラな建物の校舎でした。現在は校舎も変わりました。けど、この会館だけは昔のままです」と森さん。戦時中などは、同校からそう離れてはいない四天王寺や天王寺動物園などは空襲により被害を受けているが、同校はこの会館や旧校舎を含め被害はなかったという。

1982年には、戦前の建物を中心にすぐれた建築家の設計や特色ある景観などの条件をクリアし、日本建築学会の「日本近代建築総覧」にも選ばれるなど、かなり貴重な建物となっているそうだ。

あこがれの夕陽丘の制服

No image

[写真]1934年に建てられた清香会館=大阪府立夕陽丘高等学校で(撮影:柳曽文隆)

そして、1階の天井には東西南北を表すタイルが埋め込まれ、特徴的な装飾など、初めて来ても、おとぎばなしなどで見た世界というか、まるで昔にタイムスリップしたような気分にもなれる空間が広がっている。

その中には、初期の卒業アルバムなどはもちろん、夕陽丘高にまつわる様々な記念の品などが置かれている。これらは置かれているだけでなく、ふだんからの手入れなどもできてこそ、きれいな状態で保存できる。森さん、そして、こちらも同校出身という畑中成子さんが、ていねいに手入れをし、現在も資料をすぐに閲覧できる状態となっている。

森さんにとっては、母校、そして勤務先であったということもあり、思い入れはかなり強いものがある。保存されている資料の横では、女子生徒の制服も展示されていた。

同校は1906年(明治39年)に大阪府立島之内高等女学校として創立され、この清香会館が出来た1934年にこの地へ移転した。

やがて、制服は初期のころの古代紫のハカマから現在も続いている紺のセーラー服へと変わる。これは当時としてモダンなもので、女子学生のあこがれの制服となり、森さんは「この制服を着たい、憧れを持って夕陽丘を受験するという人も多かったんです。こうした歴史のある制服なので、学生さんもしっかりと着てほしいですね」と熱く語る。聞けば、かつて教員時代に生活指導部長を務めていたそうで、そんな一面をのぞかせるとともに、母校への愛情もひとしおだ。

夕陽丘のリカちゃんも制服姿に

制服の話を聞いた後、同会館でやけになじみの深い人形が玄関先で販売されていた。なんと、あの「リカちゃん人形」で、服装は同校の制服を着ており「夕陽丘のリカちゃん」として販売されていた。

No image

[写真]歴史と伝統のある夕陽丘高校の女子生徒の制服。この制服に憧れ受験した人もいるそうだ。ちなみに現在は私服でもOKだそうだ

森さんによると、100周年を記念して同窓会で作られたもので、当時は同校への寄付金も含め1体2千円で販売されていたとか。現在は1体500円で売られており、残りわずかだとか。ほかにも、キティちゃんとコラボしたものなど、そうした面でも同窓会の活発な活動がうかがえる。

「この制服には、多くの人の思いもあるかもしれません」と恩知校長。先日、生徒からこんな話を聞いたという。ある生徒が地下鉄で通学中、見知らぬ女性から「今もその制服なのね。私も40年前に着ていたのよ」と声をかけられたという。その生徒は「この制服を見てそうやって声をかけてくれたので、すごく心が温まりました」と話していたとか。

時を超えても、年齢を重ねても、この制服への憧れや親しみは、いつまでも変わらない思いを持っている人も多いのかもしれない。そう思うと、森さんの「しっかりと着てほしい」という思いも納得できる。

貴重な資料の数々、昔の新聞も

No image

[写真]古い新聞もきれいに保存されている。右が森さん、中央の女性は畑中さん=大阪市天王寺区で(撮影:柳曽文隆)

さて、話は資料室に戻るが、中にはかつての木造校舎時代の階段や、森さんの教え子が制作した旧校舎があったころの学校敷地を表現した模型、学校の新聞部が発行していた「夕陽丘」と題した新聞は、製本された状態で昭和初期のものなどもきれいに残されている。

No image

[写真]昔に撮影された清香会館(同会館の展示写真を接写)

その製本されたものから1950年代当時の新聞記事を手にとってみると、全国紙などと同じ大きさはブランケット版で「天下の夕陽に雨が漏る」の見出しを見つけた。

内容は校舎で雨漏りがあり、即座に対策を講じて事なきを得たことをまとめたものだが、見出しのたてかたなど、当時の学校の様子がわかりやすく綴られている。これは、同校に通っていなくても、ついつい興味がわいてしまいそうだ。森さんは「もうボロボロですけど」というが、こうした資料ひとつでも大切に保存するのは大変なことだ。そして、森さん、畑中さんともに、これだけ膨大なすべての資料を把握しているのには驚きだ。

今年で建設されてから83年となる同会館だが、数年前に耐震が施され、ほぼ当時のままで残されている。創立111年となる同校だが、この会館にもさらに刻まれる歴史の数々が、これからもどんどん残され、後世に伝えていくことだろう。森さんや畑中さんは、きょうもこの会館を守り続ける。
地図URL:http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=34.659207215882645&lon=135.52293762452462&z=18

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
"陰毛の電動トリマー"ヒットを生んだ演出
人には言えない「ひとりエッチしてる率」を調査 2、30代女性は3割が...
なんだこいつ! 美容師が激怒したもう来ないでほしい迷惑客
  • このエントリーをはてなブックマークに追加