電動工具界の雄「マキタ」がコードレス掃除機でも覇道を行く理由

電動工具界の雄「マキタ」がコードレス掃除機でも覇道を行く理由

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/08/15
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近年、人気を集めているコードレスのスティック型掃除機。バッテリーやモーターの性能が向上したことにより、一般的なキャニスター型掃除機に置き換わり、サブ用途からメインの掃除機として使われるようになってきている。

そんなコードレスのスティック型掃除機を選ぶときに、必ずといいっていいほど、名前が上がる非家電メーカーがある。それが電動工具メーカーである「マキタ」だ。

マキタは元々、1915年に電灯器具、モーター、変圧器の販売修理を創業者の牧田茂三郎氏が始めた個人事業。1938年に株式会社に組織変更をした後、1959年に電動工具メーカーに転身。 現在、電動工具においては、国内シェア約60%を誇る最大手メーカーであり、世界市場でもボッシュやスタンレー・ブラック・アンド・デッカーといった大企業に並び上位グループに位置するメーカーだ。

そんなマキタが、あえて家電業界、それも競合ひしめくコードレスのスティック型掃除機の市場で人気を集め、結果成功を収めている。その理由とは一体何だろうか。

信頼性と軽さが人気に火をつけた

まずはマキタのコードレス掃除機の特徴を紹介しよう。

現在、マキタのホームページには、コードレスのスティック型掃除機が15種類18モデル(ロック付サイクロンアタッチメント付3モデル)掲載されている。そんなマキタのコードレス掃除機が人気を集めている理由の一つが、電動工具に使うバッテリーがそのまま利用できることだ。

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マキタの看板商品「充電式震動ドライバドリル」/写真:マキタ公式HPより

バッテリーは7.2Vから18Vまで用意しており、電動工具などとバッテリーを兼用できる。充電器が1つあれば複数のバッテリーを交換で充電できるため、付け替えることでより長時間使える。また、すでに電動工具とバッテリーを持っている場合は本体のみを購入することで、低価格で導入できるというわけだ。

これはまさに、マキタが電動工具の世界で培ってきたバッテリー技術の賜物であり、その信頼性の高さが消費者に受け入れられたと言える。

例えば、人気モデルの一つ 「CL107FDSHW」は10.8Vのリチウムイオンバッテリーを使うコードレス掃除機。

バッテリーと充電器付きのモデルは約1万円台前半で購入できるが、本体のみなら1万円以下と非常に安く購入できる。 付属のバッテリー「BL1015」はドリルドライバーを始め、丸ノコなど、10.8V駆動の様々な電動工具で利用可能となっている。

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マキタのコードレス掃除機の人気モデル「CL107FDSHW」/写真:マキタ公式HPより

そしてもう一つの人気の理由は、本体が軽いことにある。一般的なコードレス掃除機の使用時質量が2kg台なのに対して、この「CL107FDSHW」はバッテリー、ヘッドを含む使用状態で約1.4kgと非常に軽量。しかも、ヘッドにブラシやモーターを内蔵しないため、先端が軽く、取り回しも非常に楽。この軽さゆえにサッと使えるというわけだ。

最も重要な「吸引力」はどうか

家庭用の掃除機を選ぶ上で何よりも重要なのが、しっかりとゴミを吸い込む吸引力。著者は家電ライターとして、マキタを含め、国産、海外製の多くの掃除機を検証している。

その上で、マキタのコードレス掃除機を家庭で使った場合の率直な感想は、多くの家電メーカーの掃除機と比較してコストパフォーマンスは非常に高いが、環境や用途を選ぶということだ。

マキタのコードレス掃除機の吸引力は決して低くはない。使用するバッテリーの電圧によって性能差はあるが、総じて同価格帯のコードレス掃除機の中ではいい方だといえる。ただし、掃除機の性能はモーターが生み出す吸引力だけで決まるわけではない。

例えば、マキタのコードレス掃除機は、標準付属のヘッドにモーターやブラシを搭載しておらず、ゴミを掻き取るということができない。このため、フローリングの床の上などに落ちた、目に見えるゴミやホコリ、髪の毛などはさっと吸い取れるのだが、カーペットの中に入り込んだ微細なゴミを掻き取るような使い方には向いていないのだ。

また、マキタのヘッドは底面の吸引口を床に密閉させて吸引力を高めるタイプなので、ヘッド前方の隙間が狭く、大きめのゴミは吸い込まずにヘッドが押してしまうことがあった。この場合は上からかぶせるようにすることで吸い取れる。

マキタのコードレス掃除機には、前述の「CL107FDSHW」などの紙パック式を採用しているモデルと、 本体内に直接ゴミが溜まるカプセル式がある。家庭用途で使い勝手がいい紙パック式は微細なホコリを多く吸い取っていると、だんだん目詰まりを起こしてしまい、吸引力が低下する。このため、紙パックの最後まで吸引力を維持して掃除できないというわけだ。

なお、一部モデルには「ロック付サイクロンアタッチメント」が装着できる。これは本体内にゴミを溜めるのではなく、延長パイプと本体の間に取り付けるサイクロン構造のダストカップだ。

吸引力は変わらないがサイクロンアタッチメントに微細なゴミを分離できるため、吸引力が低下しにくくなる。また、吸い込んだゴミの量も見えるようになるため使い勝手もよくなる利点もある。

あくまで「コスパ重視」の人向け

そもそもマキタのコードレス掃除機の人気は、2000年代前半に東京駅での新幹線車内の清掃に使用されている事例が周知されたことがきっかけで広がっていった。

また、人気の通販サイト「通販生活」で限定モデル「マキタのターボ・60」が取り扱われていることも、一般家庭向け掃除機としてのマキタ人気を高めた背景にあると言えるだろう。

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「階段掃除がラク」と口コミで話題になった「マキタ・ターボ60」/写真は「通販生活」HPより

ただし、家電はあくまで家事のためのツール。使い勝手や機能がマッチしていないと意味がない。そうした点で、マキタのコードレス掃除機は万人におすすめできる製品ではないと筆者は断言する。

例えば高い吸引力で微細なゴミまでしっかりと吸い取り、常に家中をピカピカにキレイにしておきたいといった使い方には不向きだ。そういった用途なら、ダイソンのコードレス掃除機など、より高性能で高価な製品を選択肢に入れるべきだ。

ただし、手軽にサッと使える軽いコードレス掃除機を求めているなら、マキタはベストマッチとなる。マキタは使い勝手の良さとコストパフォーマンスを重視するスタイルに向く。

もちろん、すでにマキタの電動工具を持っており、バッテリーを共有する環境が整っている場合も導入しやすいだろう。

もし、まだマキタ製品を持っておらず、掃除機から導入するという場合、おすすめなのが前述の「CL107FDSHW」だ。紙パック式で10.8Vのバッテリーを採用し、1万円台前半から購入できる。また、サイクロンアタッチメントの装着も可能だ。もちろんバッテリーは電動工具と兼用できる。

電動工具を購入する予定がない場合は、通販生活の「マキタのターボ・60」が長時間使えて便利だ。

吸引力の高い18Vバッテリーを採用したモデルは、バッテリー、充電器を込みで購入すると2万円超と比較的高価なため、掃除機だけを目的に選ぶのは不向き。すでに電動工具を持っている場合や、コーヒーメーカーや、ランプ、扇風機など、その他の製品も利用したいといった使い方で選択肢となるだろう。

現在マキタは充電式ラジオやスマートフォンが充電できるUSBアダプター、充電式LEDワークライトなど、マキタのバッテリーが使える電動工具以外の製品を続々と展開している。これらはアウトドアや災害への備えとしても利用でき、そういった製品との兼ね合わせを考えてみるのも手だ。

マキタのコードレス掃除機は、ずば抜けて優秀なわけではなく、実勢価格で5万円を越す、上位機種のコードレス掃除機と比べると性能面で劣る部分もある。あくまでコストパフォーマンスが高く、本体が軽くて軽快に使えるという、実用性の高さを評価して選びたい。

そしてバッテリーを共有できる、マキタのエコシステムの中の1製品として利用するとさらにお得さや利便性はアップする。家電として見るではなく、道具(ツール)として選ぶといいだろう。

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