日本企業の「リストラ地獄」をどんどん加速させている「黒幕」がいた...!

日本企業の「リストラ地獄」をどんどん加速させている「黒幕」がいた...!

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/08/01
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会社は「誰のため」にあるのか…?

「会社は誰のものか?」という議論は古くて新しい。延々と議論が続いてなかなか決着がつかないのは、この議論の中に含まれる2つの要素が混同されているからだと思う。

1.会社の所有権
2.誰のために貢献すべきか(誰のためにあるのか)

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photo by Gettyimages

1の会社の所有権についてはたぶん議論の余地がないと思う。会社は株主が所有することが前提で社会が動いている。

例えば、戸建てやマンションを購入して代金を払い込んだ購入者が、その不動産の所有権を持つことに異論を挟む人はいないのと同じことだ。

しかし、土地を含めた不動産が購入者のもの(所有権がある)にもかかわらず、その使用には、公共の利益の観点から色々な制限が加えられる。

例えば、土地の場合は、商業地、住宅地、農地などに区分され、それぞれに「用途制限」がある。当然、農地にオフィスビルを建てることは「俺の土地」であっても勝手にはできない。

また、建物にも「建築基準法」などが定められ、地震や火事に対する備えや、日影規制による近隣の日照権の保護や景観保護などが求められる。また、マンションの場合は、所有権とは言っても「区分所有権」という怪しげなものである。

専有部分は一応購入者のものだが、共有部分を勝手にいじることが許されない事実は、2月15日の記事「ご存じですか、日本のマンションを廃墟に追い込む『共有地の悲劇』」で述べた。

老朽化し建て替えが必要になった時に「区分所有権」というものの危うさを痛感するはずである。

さらには、建築基準法に違反した建物であっても、(法制定以前に建設したものであれば)よほどのことがない限り取り壊し命令は出ない(取り壊した場合は再建築不可になる)。なぜかといえば、不動産(建築物)は私有物であると同時に国家全体の財産だという考えからである。

国民の住宅を提供したり、あるいは経済活動に重要なオフィスビル(最近はパンデミックのおかげで需要が減少しつつあるが、その分個人住宅の重要性が増している)を十分供給することは、国家の重要な政策でもある。

住宅ローンに、減税などの色々な優遇措置があるのも同じ理由からだ。

結局、資本主義社会ではあっても、所有権に対して公共の利益の観点からの制限がつくのは当然であるし、会社の株式の所有権においても例外ではない。

2を考える時には、このような公共の利益がまず重要である。 つまり、会社は不動産と同じように「国家を繁栄させる国民全体の財産」ととらえるべき面があるのだ。

「国民全体の利益」と「働く者の利益」

企業が担うべき公共の利益には、前述の一般的な「国民全体の利益」と「働く者の利益」がある。

公共の利益については、企業イメージの向上を狙ってESGが盛んだが、その資金の多くが10月9日の記事「『地球温暖化騒動』の『不都合な真実』に目を向けよう」などで述べたような、馬鹿げた「二酸化炭素排出抑制」のために使われているのは嘆かわしいことだ。

このような支出は公共の利益のためではなく、「特定利権グループ」のために行われていると言ってよいだろう。

企業の経営者、そして所有者である株主は「単なる見せかけのポーズ」ではなく、真剣に公共の利益に貢献する方法を考えるべきだ。企業の自己宣伝に使われて、華やかな脚光を浴びる(自称)社会貢献に比べて、働く者の利益はないがしろにされていると言ってよい。

特に、1990年頃のバブル崩壊以降、「日本型経営」が失敗の原因として悪者にされた悪影響が大きい。

11月20日の記事「日本企業はバカか…! いまこそ『終身雇用』が大切である決定的理由」で述べた「終身雇用」を含む日本型経営システムが弱体化したことが、長年にわたって日本経済が低迷した原因である。

会社は「生身の人間」の集団だ

会社は不動産と違って、「物」ではない。建物の不具合が見つかれば、修繕・修理するか新しいものに取り換えればよい。あるいは、最悪の場合建て替えることができる。

しかし、「法人」とも呼ばれる会社は、法律上生きた人間に擬せられた「生身の人間の集団」である。

投資の神様バフェットが生まれた頃のように、鉄鋼業や鉄道が花形であった時代には、線路や工場のような「有形資産」が会社の所有者である株主にとっても重要であった。

しかし、産業の情報化・サービス化、すなわち無形化が進んだ現在、株主が所有している財産の主要部分は、有形の土地・建物・設備ではなく、ブランド、ノウハウ、システムなどの無形財産である。そして、その無形財産を維持しているのは「法人」を構成する生身の従業員(人)である。

だから、株主は自分の会社の所有権を守り、有効に活用したいのであれば、まず「無形財産」である従業員の利益を考え、彼らの能力を発揮させなければならないというわけだ。

確かに冒頭1の観点から考えれば、株主が「俺の会社」と主張することは間違いではない。しかし、2の中心部分である「従業員の利益」を考え、彼らが生き生きと働かなければ「無形財産」である「俺の会社」の価値は水泡に帰してしまうのである。

機関投資家とサラリーマン社長の「レンタカー」…

1の会社の所有権と経営が一体となった同族経営(オーナー社長)に世間で考えられているよりもメリットが多いことは、7月20日の記事「『プロ経営者』たちが、日本企業を次々に破壊しているというヤバい現実」述べた通りである。

自分の子や孫の代まで会社という「俺の財産」を残したいオーナー経営者は、「無形財産」の中心である従業員を「終身雇用」も含めたシステムで守ろうとする。

しかし、「プロ経営者」を含めたサラリーマン社長は、(大企業の場合)概ね4年間の会社のレンタル期間(任期)のことしか興味がないので、会社の無形財産である社員の将来について深く考えない傾向にある。

1の「所有権」と2の「だれのためにあるのか」とが分かれる、いわゆる「所有と経営の分離」がもたらす大きな弊害である。しかも、この「分離問題」は、所有者である株主そのものにも起こっている。

投資の神様バフェットの少年時代に株式投資を行うのは、ほとんどが個人や一般事業法人であった。現在主流になっている機関投資家はほぼ存在しなかったと言ってよい。

したがって、株主は「自分の資金で企業(の株式)に投資したオーナー」であり、必要とあれば株主(オーナー)として株主総会に出席して意見を述べた。もちろん、短期的な売買益を狙う投資家も多かったが、長期的に企業に投資を行うオーナーが会社の発展を支えたのだ。

「無慈悲なリストラ」の原因は?

ところが、現在では個人や一般事業法人は株主としては少数派に陥ってしまい、多くの企業の大株主として君臨するのはいわゆる機関投資家だ。

この機関投資家の運用担当者は、サラリーマンであり、他人の金を投資している。実際に資金を出しているのは、投資信託(ファンド)の購入者や、年金・保険などの加入者などであるが、企業への投資には直接かかわらない。

だから、レンタカーである投資信託などを運用するサラリーマン担当者は、投資先企業の将来的発展には興味がないし、ましてや投資先の従業員のことなどどうでもよい。

大事なのは、1年ごとにやってくる自分の投資の成績だけだ。だから、自分がサラリーマンであるにもかかわらず「投資先の無慈悲なリストラ大歓迎。投資の先送りで、将来の成長の機会を失うことも良し」というスタンスなのだ。もちろん、目先の経費を減らせば、決算上の収益が向上し、株価が上昇する確率が高いからである。

サラリーマン運用担当者は高給をもらっている場合も多いが、身分は不安定で、1年間で運用成績を出さなければ、自らが「無慈悲なリストラ」のターゲットにされる哀れな存在でもある。

企業(株式)において、機関投資家などによって、1の所有権ばかりが主張され、1年単位の短期的利益ばかりが追及されているのが現状だ。

しかし、そのようなやり方を続けて2をないがしろにすると、会社の長期的な成長の道は断たれ縮小均衡によって会社は結局消滅する。

「プロ経営者」を始めとする会社をレンタカーと考えるサラリーマン社長が横行するようになったのも、短期的な利益しか考えない機関投資家が企業の大株主として君臨していることに最大の原因があると思う。

バフェットを見よ!

目先の利益を上げることだけを要求しても、会社が疲弊するだけだ。そのことを一番よくわかっているのがウォーレン・バフェットであり、彼の視点はまさに長期的な会社の発展を望む企業オーナーである。

そして、サルに任せたりコイントスをしたほうがましである運用成績しか残せない担当者と、バフェットのたぐいまれなる実績を比較すれば、どちらを選択すべきかは、すぐにわかる。

2の「だれのために会社があるのか」を深く考えれば、結果として1の「所有者」としてのメリットも最大限に得ることができるのだ。

金で動く人間ではなく誠実な人間に任せるべきだ

最後に述べたいのは、高額な報酬やストックオプションなどの「金で動く人間」は、企業を発展させることができないということだ。

彼らができるのは、せいぜい(将来の企業の発展を犠牲にして)目先の利益をかさ上げすることくらいだ。

企業が「金儲けマシーン」だという考えは誤っている。企業経営に誠実さ、他者への思いやりが重要であることは、世界で最高の投資実績を誇るバフェットも力説することである。

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