女性監督が初天皇杯 鈴鹿惜敗も「ググる」から躍進

女性監督が初天皇杯 鈴鹿惜敗も「ググる」から躍進

  • 日刊スポーツ
  • 更新日:2020/09/16
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試合前のミラグロス・マルティネス監督(鈴鹿ポイントゲッターズ提供)

<天皇杯:マルヤス3-2鈴鹿>◇1回戦◇16日◇パロ瑞穂

日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿ポイントゲッターズ(三重、前鈴鹿アンリミテッド)を率いるスペイン人女性、ミラグロス・マルティネス監督(35)が天皇杯デビューを果たした。

同杯で女性監督が指揮した例は、事務局が確認できる限りではないという。同じJFLのマルヤス岡崎(愛知)に2-3で敗れたが、クラブ6度目の出場で確かな爪痕を残した。

◇   ◇   ◇

敗戦を告げる笛が鳴っても、マルティネス監督は簡単に諦められなかった。4分のロスタイム中にプレーが止まり、認識では1分の追加。手元の計算では5分を満たしていなかったといい、審判に詰め寄った。最後はイエローカードを受けるまで執念を見せたが「勝ち上がると特別な雰囲気がある大会。1戦、1戦、楽しみにしていたので、敗戦は残念」と唇をかんだ。

腕組みをして見守っていた前半24分。1点追う重苦しい展開で、間接FKのこぼれ球をMF和田篤紀が詰め切った。同点ゴールに客席から拍手を送られたが、再度引き離された。2点を追う後半43分、途中出場したFW遠藤純輝のゴールで1点差。築き上げた攻撃的なスタイルを示せたからこそ「ボールを失った後の守備ができなかった」。そこまでの展開が苦しかった。

会場への到着は想定より早い2時間半前。試合前練習から選手の側で見守り「もっと! もっと!」などと、日本語でも指示を送った。今回で第100回を迎える天皇杯だが、女性監督が出場したケースは事務局が確認できる限りはないという。就任2年目となるがJFL(4部リーグ相当)およびJ1、J2、J3において、女性が監督を務めるのも史上初だった。

歴史的な瞬間は、18年12月中旬から始まった。

「サッカー 女性 監督」

JFL昇格を決めた同年、クラブは前監督から退任の意向を聞いた。女性監督に可能性を感じていた幹部の初動は「Google」での検索。最終的には関係者を通じてリストアップされた4人からマルティネス監督に白羽の矢が立った。

広報担当を先発MF海口彦太が務めるなど、手作り感のあるチームが目指すのはJリーグ。1点差の悔しさを糧に、最後まで大声で指示を送り続けた女性監督と、鈴鹿イレブンの挑戦は続く。【松本航】

<ミラグロス・マルティネス>

◆生まれ 1985年4月23日、スペイン

◆経歴 アルバセテ・バロンピエ(スペイン)でU-6(6歳以下)~U-12の男子コーチ、U-18女子コーチを歴任。13年から女子の監督兼ゼネラルマネジャー(GM)。同クラブのコーディネーター&スポーツディレクターを経て、18-19年に同国アトレティコ・トメリョソで女子監督。19年から鈴鹿の監督に就任

◆保有ライセンス UEFAプロライセンス(日本のS級に相当)

◆年俸 1季目は推定500万円

◆鈴鹿市のお気に入り 椿大神社(つばきおおかみやしろ)

◆血液型 A型

◆天皇杯全日本サッカー選手権 1921年(大10)に始まったサッカー日本一を決めるカップ戦で、20年度で100回目。今回は新型コロナウイルスの影響で大会方式が変更。52チームによるトーナメント方式で16日から開幕。準々決勝(12月23日)からJ2、J3のそれぞれリーグ優勝チームが出場。J1からはリーグ優勝と2位の2チームが準決勝(12月27日)から登場する。決勝は21年1月1日に国立競技場で行われる。

◆鈴鹿ポイントゲッターズ 09年からFC鈴鹿ランポーレとして活動し、16年から運営体制の変更と商標権の都合により、鈴鹿アンリミテッドに改称。東海社会人リーグの代表として、18年に全国地域サッカーチャンピオンズリーグに出場し、2位でJFL昇格を決めた。マルティネス監督が就任し、JFL初年度となった昨季は12位。今年2月から現チーム名。サポーターがポイントサイトを活用することで、クラブ運営費を稼ぐスタイルが由来。今季は1勝2分け2敗の9位。本拠地は三重・鈴鹿市。

◆男子クラブの女性監督 14年にフランス2部のクレルモンが元イラン女子監督で、ポルトガル人女性のエレナ・コスタ監督と契約。だが、シーズン開幕を前に辞任。続いてフランス女子代表として121試合に出場したコリーヌ・ディアクル監督が就任した。同監督は1季目にリーグ12位、2季目に同7位と成績を残し、フランス女子代表監督に転身。自国開催だった19年女子W杯8強に導いた。アジアでは香港出身の陳婉〓(女ヘンに亭)(チャン・ユェンティン)監督がイースタンを率い、16年に同国リーグを制覇。17年にはACLに出場し、FIFA(国際サッカー連盟)が「男子チームの大陸別の大会で指揮を執った初の女性」としている。

<他競技の主な女性監督>

◆アメフト 今年2月、関西外大に沢木由衣監督が就任。同大のOGで在学中は主務。国内初の女性監督として、昨年4部に降格した母校の再建を託された。

◆バスケット 11年秋に、男子bjリーグの埼玉で米国出身のナタリー・ナカセ・アシスタントコーチが昇格して監督に就任。12年シーズンは東地区最下位でオフに退任した。

◆高校野球 近年増えつつあり、16年夏の西東京大会では東京電機大高の市川麻紀子監督が就任6年目で初勝利。新潟では08年に長岡農の井上麻子監督が夏県大会で2勝した。

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