「恥ずかしくて、誰にも言えない...」彼氏にフラれ寂しくて、女がつい手を出してしまったこと

「恥ずかしくて、誰にも言えない...」彼氏にフラれ寂しくて、女がつい手を出してしまったこと

  • 東京カレンダー
  • 更新日:2021/02/27

大抵どんな夫婦にも、互いに“秘密”があるものだ。

『愛しているからこそ、全てを知りたい』

そう考えた一人の男がいた。

愛しすぎることは、罪なのか……?

◆これまでのあらすじ
里紗に届いていた謎のDMの送り主は、同僚の梓だった。そして、毅の元カノだという梓から、毅はストーカーだと告げられる。動揺する一方で、 里紗には思い当たる節があった…

▶前回:「やっと2人きりになれた…」夫が知らない、妻と同僚の会話。その衝撃の内容とは!?

No image

社会人になりたての頃、里紗は一生忘れられない恋をした。

相手は、里紗の高校時代の友人が企画した飲み会で出会った、同い年の広告マン・翔太郎。

陽に焼けて髪を少し染めた彼は、常に会話の中心にいて、その場の空気を巻き込んでいた。そんな彼に、里紗は無性に惹かれた。ほどなくして翔太郎からのアプローチもあり、自然な流れで付き合うことになる。

「俺、里紗のゴハンがないと生きていけない」

翔太郎はそう言って、仕事が終わると毎日のように、当時駒沢公園の近くに住んでいた里紗のもとを訪れていた。里紗は幸せだったし、料理の腕もどんどん上がっていった。

そして付き合って5年目になる頃、唐突にLINEが入る。

『週末、大事な話をしたいから、時間を取ってほしい』

直感でわかった。プロポーズだ。

この5年、彼にときめかない日はなかった。喧嘩をすることもあったが、より仲が深まるようなものばかりだったし、自分たちはずっと一緒にいると信じて疑わなかった。

里紗は、その日のために新しい服と靴を買い、待ち合わせの前には美容室にも寄った。

しかし、翔太郎からされたのはプロポーズではなく、別れ話だった。

里紗が翔太郎を思ってレシピやテーブルコーディネートを考えている頃、彼は読者モデルをやっているという美女と愛を育んでいたのだ。今までの5年が嘘だったかのように、その瞬間、愛情も信頼もすべて消えた。

そして里紗の胸には、ひとつの教訓が刻みこまれる。

失恋した里紗が、思わずやってしまった赤面の行動とは?

―男の胃袋を掴め、というのは迷信。結局、男は顔とスタイルが良い女が好きなのね。

そう肝に銘じた里紗は、突然YouTubeを始めた。

今となれば、当時27歳だった自分はどうかしていた、と分かる。

しかし、あの時はそれ以外に自分を慰める方法がないように思えた。

いつもより濃く、セクシーに見えるようなメイクに、大きく胸元が開いたTシャツ。カメラは手元がよく見えるようにという名目で上から撮ったが、実際は手元よりも胸元に視線がいくように意識した。

No image

翔太郎を見返したかったし、普通すぎる自分が嫌だったという思いもある。

だから投稿した動画にリアクションがあったのは嬉しかった。男性からコメントが付けば、自分に女性としての魅力があるのだと励みになった。

やがてメッセージが届くようになる。いずれも動画を視聴した男性からで、その内容は全員が全員「会いませんか?」というもの。

最初の何通かのメッセージを受け取ったときは、『こんな出会いも意外とアリかも』と思ったが、返信をするほどの勇気はなかった。アップした動画はたった2本だけなのに、男性たちからの「会いませんか?」というメッセージは、途切れることなく届き続ける。

里紗の動画は、それほどまでに男性の心に刺さったのだろう。

次第に里紗は、一瞬でも心が揺らいだ自分が、恥ずかしくなっていった。

―私は、なんてことをしているの?誰でも見られるようなサイトに、あんな動画をアップするなんて…。

我に返った里紗は、すぐに動画を削除した。

人生の汚点だ。YouTubeは里紗の黒歴史となった

悪いことは重なるもので、自分の奇行に落ち込んでいたころ、勤務先も異動になる。

里紗は当時、自由が丘にあるインテリアショップで店頭に立っていた。おしゃれで洗練されたインテリアに触れると心が落ち着いたし、何より接客が好きだった。いつも笑顔で心から楽しんで仕事をしていたし、常連客の名前や好みも忘れたことはない。

そういう接客を続ける里紗を見ていた店長が推薦し、表参道にある本社へ異動となったのだ。

しかし、本社勤務の初日、表参道駅に降りた里紗は不安でいっぱいだった。休日に遊びに来るならまだしも、毎日ここに通うのかと思うとげんなりした。当時の里紗には、眩しすぎる環境だったのだ。

本社に到着すると、里紗の倦怠感はよりいっそう増す。

そこで働く女性は皆がモデルのように美しく、ハイセンスな人ばかり。容姿も体形も服の好みも、“普通”で“一般的”で“平均的”な自分は浮いているような気がして、恥ずかしかった。新しく覚えることばかりで忙しい日々と、増していくコンプレックス。

最初こそ自分も美しくなるよう努めていた里紗だが、やがて疲れ切ってしまい、料理すること――それ以上に食べることに、逃避するようになった。

翔太郎のためではなく、ただ自分のために作る料理。

好きな食材を使い、好きな味付け。自分を労い、慰めるためだけに食事することは、里紗の救いだった。

しかし、いくら自炊とはいえ、量を食べれば体重は増える。

本社勤務になってから2年が経ったころ、久しぶりに体重計に乗った里紗は頭が真っ白になった。

―どうしよう…。私史上、今、一番重い…。

考えた結果、里紗は体重に関しては気にしないことにした。

―どうせもう店頭に立たない。接客もしない。恋も一生しないはず。それならストレスを溜めないようにし、仕事に専念すればいい。

時を同じくして会社では、渋谷に完成する超高層ビルのショッピングエリアに、新店舗を出すプロジェクトが進んでいた。

そのプロジェクトメンバーに選ばれた里紗の前に、外部の空間コーディネーターとして現れたのが、今の夫・毅だった。

里紗が毅と出会った時、彼はどういうつもりで彼女に近づいていた…?驚きの真相が明らかに!?

「今回、御社の新店舗のデザインとコーディネートをさせていただきます、榊原毅と申します」

「森田里紗です。よろしくお願いいたします」

真面目な人だな、という第一印象だった。

物腰が柔らかく、こちらの意見もよく聞いて、希望を取り入れてくれる。それに知識も豊富で、里紗がふんわりとしたイメージを説明すると、そのイメージ通りの提案をしてくれる。

―この人となら、素敵なお店が作れそう。

里紗は俄然、仕事が楽しくなった。

そんな、ある日のこと。打ち合わせで毅と対面したとき、里紗はふと気づいた。

「…榊原さん、少しお痩せになりました?」

そう聞くと、毅は照れたように頭を掻きながら言った。

「実は体力作りのためにキックボクシングを始めたんですよ」

よく見ると、髪も少し染めたようだ。服装も初対面のときほど堅苦しくなく、里紗の好みだった。

「そうなんですね。実は私もダイエットのために、キックボクシングに通いたいと思っていたんです!」

話を合わせたわけではなく、本当のことだった。

「今のままでも魅力的なのに、ダイエットを考えてるんですか?」

社交辞令だと思いつつも、里紗は毅の言葉に舞い上がってしまった。意識をしないと、頬が緩んできてしまうから、努めて平静に返事をする。

「ええ。ですから経験者のお話が聞きたいです!」

打ち合わせはいつも通りスムーズに終わり、その後30分ほど雑談をした。毅の通っているジムの話に始まり、休日の過ごし方や里紗の趣味が料理だということまでたくさんの話をした。

「料理が好きなら、運動と並行すればダイエットなんて簡単だと思いますよ」

その日を境に、里紗は毅と仕事以外でもプライベートの話やメールのやり取りをするようになる。

―もう一生、恋なんてしなくていいと思っていたのに…。

里紗は、毅との未来を夢想し始めた。

No image

「これが私の思い出なの。毅さんと出会ったときの思い出」

どうしようもなく震える膝を両手で抑え、うつむきながら里紗は呟いた。

「あなたは、どう?」

里紗は勇気を振り絞って顔を上げ、彼にぶつけた。

「毅さんはストーカーなの?」

「……」

夫は、黙ったままだ。

その日の夕方、里紗はキッチンスタジオで、フードデリバリー事業のスタッフ・梓から衝撃の事実を聞いたのだ。

里紗と出会う前、毅が梓と付き合っていたこと。そして梓に対してストーカー行為をした末に別れていたことを。

最初は、信じられなかった。

でもすぐに、最近の毅が起こした“数々の言い間違い”が脳裏に蘇った。

思い起こせば、他にも不思議な点はある。毅にストーカー気質があるなら、それらはすべて繋がる。

まず、本人に確認しなければと里紗は思った。だから夕食時、毅がテイクアウトしてくれたフォーをすすりながら、この話を切り出したのだ。

―ストーカーなんかじゃないって、お願いだから言って。

里紗は、心の中でそう呟いた。

まっすぐにこちらを見つめる彼の目を見て、里紗にわずかな希望が生まれる。

奇妙にして致命的な“言い間違い”をしたときは、あれほど狼狽していた毅が、今は堂々としている。

―やっぱりこの人がストーカーなんて、誤解よね。

しかし、毅の薄い唇から発された言葉に、里紗の期待は裏切られる。

「自分では、そんなつもりはないんだけど。過去に『ストーカーだ』って言われたことはあるよ」

「……」

里紗は言葉を失った。まさか、あっさり認めるなんて。

「でも、里紗、ちゃんと聞いて。俺はただ里紗を愛してるだけなんだ。それを他人からストーカーだって言われることが、信じられないよ」

熱がこもった声と表情で、毅は言う。

「だから、ちゃんと俺の話を聞いてほしいんだ」

▶前回:「やっと2人きりになれた…」夫が知らない、妻と同僚の会話。その衝撃の内容とは!?

▶Next:2月28日 日曜更新予定
今度は毅が語る!里紗に恋して“出会う”までの物語。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加