
依頼者(ドクター・コロッソ 40代・帯広在住)
「灯油タンクの色は、東日本は『赤』、西日本は『青』が定着していますが、なぜ東日本の北海道が青なのでしょうか?」
依頼人が言う灯油タンクとは、家庭用のホームタンク…ではなく、灯油を持ち運ぶためのポリタンクのこと。
実は、東京など東日本は「赤」。
大阪など西日本では、なぜか「青い」灯油タンクが使われている。
そして、北海道は、東日本を通り越して、西日本と同じ青なのが不思議だという。
一体なぜ?
調査員は、札幌でも最大級の売り場面積を誇るホームセンター「ジョイフルエーケー屯田店」に向かった。
調査員
「ありました!あちらに、青い灯油ポリタンクが山の様に積み上げられています」
青い灯油タンクが、山の様に積み上げられているではないか。
店内は、正にブルーマウンテン!
しかし、よく見ると…。
調査員
「青いポリタンクの横には、茶色、赤、灰色、緑と、いろいろな色のポリタンクが並んでいます」
なんということでしょう。
青い灯油タンクと比べると数は少ないものの、赤、そして緑のポリタンクも。
これは一体、どういうことなのか?
ジョイフルエーケー屯田店 中澤慎二郎さん
「当社では主に、灯油タンクは青、茶色は取っ手が付いているので、女性や老人でも運びやすくなっている。赤は青よりも容量が少ない10Lということで、色の分別で分かれている。奥が灯油と軽油の両方使えるグレー色のもの、一番奥の緑が軽油用の緑となっている」
ジョイフルエーケーでは、用途に応じて、ポリタンクの色が分けられているのだ。
しかし、なぜ北海道は、青い灯油タンクなのか?
担当者も、詳しいことはわからないという。
そこで、灯油タンクを作っている工場があると聞き、函館に飛んだ!
こちらの工場では、24時間、製造作業が行われているという。
ところで、灯油タンクって、どのように作られているか、知っていますか?
調査員は、灯油タンクの中央にある線に注目した!
きっと半分ずつ作って、最後に真ん中で貼り合わせているに違いない!
しかし、そこには驚くべき現実が待ち構えていた。
北海道の灯油タンクは、なぜ青なのか?
まず、灯油タンクがどのように作られているのか?
見せてもらった。
調査員
「ポリタンクは、どのように作られている?」
三王ポリ 井手優之 取締役
「原料と顔料を混ぜて、約175℃の高温で溶かしながら、左右対称の2つの金型で挟んで、中に空気を入れて成型している」
まず、原料となるポリエチレンと色を付けるための顔料を混ぜ合わせ、機械の中で加熱して溶かして、ところてんのように押し出す。
それを両サイドから金型で挟んだら、中に空気を入れて膨らませる。
つまり、溶かした原料を金型に流し込み、空気を入れて膨らませることで、ポリタンクの形にしているのだ。
では、灯油タンクの中央にある線は何なのか?
答えは、型と型の間のはみ出した部分。
仕上げに、カッターナイフで切り取っているのだ。
では、北海道の灯油タンクは、なぜ青いのか?
こちらの工場の発注元で、灯油タンクを始め、アイラップなど様々な化学製品を製造する「岩谷マテリアル」に話を聞いた。
岩谷マテリアル 外岡文直 部長
「これにはいくつか理由があって、灯油タンクの赤に使われている顔料には、昔は鉛が使われていたが、それが人体に影響するということで、鉛を使わなくなったら、非常に高価な顔料になってしまった。そこで、関西は比較的安価な青色の顔料を使い、関東は赤=危険物ということで、真面目に赤を使い続けた。それで西と東が分かれたという説がある」
そもそも灯油タンクの色に決まりはなく、灯油が劣化してしまう白や透明以外であれば何色でもいいのだ。
関西でも、もともと赤色を使っていたが、価格の高騰により青色に変更。
一方、関東では引き続き赤を使い続けたと言われている。
では、北海道のポリタンクはなぜ青なのか?
岩谷マテリアル 外岡文直 部長
「根本的には、青色が安いということで、北海道でも青色を選んだのではないか。もともと北海道には、いろいろな色があったと聞いているので、最終的には力の強い店が青を広めたからではないか」
青い灯油タンクを販売していたお店が、道内各地に店舗を拡大したことによって、北海道は青が主流になったのだという。
<調査結果>
北海道の灯油タンクが青いのは、「昔は青い顔料の方が安く、大手ホームセンターが、青い灯油タンクを販売していたから」。
また、意外と知られていないのが、実は灯油タンクには製造日が記されている。
真ん中の数字が作られた年、周りの時計の様な数字が作られた月を表している。
灯油タンクには寿命があるので、5年を目安に交換することが推奨されている。
3月17日(金)「今日ドキッ!」午後5時台
HBC北海道放送