恐ろしい...元・会社員「60代で住宅ローン破綻」が増えているワケ

恐ろしい...元・会社員「60代で住宅ローン破綻」が増えているワケ

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2022/05/14
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住宅ローン破綻が急増している……最近、ニュースでも取り上げられている話題ですが、その理由は、長引くコロナ禍の影響や金利上昇などさまざま。なかでも、当初から無理な返済プランだったことが原因というケースが増えているといいます。どういうことなのか、みていきましょう。

金利上昇の兆し…住宅ローン利用者は冷や汗

最近、「住宅ローン破綻急増」というニュースをよく耳にするようになりました。

実際のところどうなのか、住宅金融支援機構の報告書で、住宅ローン返済の相談件数についてみていくと、2020年4月、国内で初めての緊急事態宣言が発令された際、前月から7倍以上の669件に達し、5月489件、6月255件と高水準で推移しました。その後は足元の相談件数は減少傾向にあります。

ただコロナ禍の影響で返済困難になった人たちへの対応として、1万4,000件を超える返済方法の変更を行ったそうです。

同機構によると、コロナ禍以前の住宅ローン破綻率は毎年4%程度。全体としては2%程度といわれています。民間の融資のほうが審査が厳しいため、住宅支援機構の数字は高くなると考えられます。

コロナ禍による収入減、それによる家計不安からローン破綻は増えたものの、コロナ禍3年目、状況は落ち着いた感があります。そのような状況で「住宅ローン破綻急増」と言われるようになったのは、昨今の住宅ローンの金利上昇にあります。

先日、大手銀行5行は、代表的な固定期間10年の最優遇金利を引き上げました。引き上げ幅は三菱UFJ銀など3行が0.15%、みずほ銀行が0.10%、三井住友信託銀行が0.05%。

何千万円と借入を行う住宅ローンでは、金利のわずかな変動で、支払総額が大きく変わります。実際に低い金利を求めて借り換えを検討する人も増えているとか。

今後、金利がどのように動いていくか、専門家によっても意見はさまざまで、金融緩和解除は難しいという見方が強いようです。つまりこの超低金利はしばらく続く、というのが大方の見方。ただ黒田日銀総裁の任期が1年をきったいま、その後は金利引き上げに動く、という可能性もゼロではなく、その動向を固唾をのんで見守っている人は大勢います。

人生に2度ある「大幅な収入減」に対応できるか?

そのような状況下、苦境に陥っているのが、アベノミクス時代の超低金利、乗り遅れてはいけないと、少々無理をして借入を行った人たち。マイホームを実現した当初から、返済負担に四苦八苦している人たちです。

住宅金融支援機構では、年収400万円以上の場合、返済負担率(税込年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合)は35%としています。つまり年収400万円であれば、年間140万円、月々11.6万円程度の返済が上限だということです。年収400万円であれば、賞与などを考えると、月収は26万円、手取りにすると20万円程度。これで月々11.6万円のローン返済を行うというのは、なかなか難しいでしょう。上限いっぱいで借入を行うのは、少々現実的ではないように思えます。

同機構の調査によると、変動/固定関わらず、返済負担率「15~20%」がボリュームゾーン。しかし返済負担率30%超えが、全金利タイプで1割を超えています。

【返済負担率の分布】

■返済負担率10%未満
変動型10.6%、固定期間選択型8.8%、全期間固定型6.4%

■返済負担率10~15%以内
変動型19.8%、固定期間選択型19.9%、全期間固定型14.5%

■返済負担率15~20%以内
変動型26.7%、固定期間選択型25.7%、全期間固定型23.8%

■返済負担率20~25%以内
変動型20.3%、固定期間選択型19.3%、全期間固定型22.7%

■返済負担率25~30%以内
変動型11.2%、固定期間選択型13.5%、全期間固定型18.6%

■返済負担率30%以上
変動型11.3%、固定期間選択型12.8%、全期間固定型14.0%

出所:住宅金融支援機構『住宅ローン利用者の実態調査』(2021年10月調査)より

今回のコロナ禍のように、突然の給与減は予測できないもの。だからこそ、住宅ローンを検討する際は、そもそも「なんとかやっていける」とギリギリの借入は避けたほうがいいのは、いうまでもありません。

さらに予測できる給与減についても、きちんと考えておきたいもの。会社員が大きく給与を減らすのは2回。「定年」と「完全リタイア」のタイミングです。

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性会社員の年収は、年齢が上がるにつれて上昇。50代前半がピークとなりますが、50代後半でも同水準をキープします。しかし多くの人が定年を迎え、再雇用などで働き続ける60代前半ではそれまでの給与から3割ほど減少します。

【大卒男性会社員の年収推移】

20~24歳:341万5,500円

25~29歳:451万8,400円

30~34歳:533万5,200円

35~39歳:625万2,200円

40~44歳:684万4,800円

45~49歳:748万0,400円

50~54歳:841万8,800円

55~59歳:833万4,000円

60~64歳:649万7,600円

65~69歳:593万3,700円

70歳:601万6,300円

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』

さらに完全に仕事をやめ、年金生活に入ったとしましょう。厚生労働省によると、元会社員の平均年金受取額は、月に15万円程度。年収にして180万円程度になります。65歳で完全リタイアしたとなると、収入はそれまでの3割程度になる計算です。

実際に「定年」や「完全リタイア」のタイミングでローン破綻を迎えるケースは増加傾向にあります。それは結婚年齢の上昇。それにより第1子誕生、住宅購入といったライフステージの年齢が、全体的に後ろ倒しになっているのです。それまでは定年前に返済が終わっていた住宅ローンが、現在は定年後もリタイア後も続く、というのは珍しくありません。

そこにライフステージの変化による収入減が直撃。60代や70代にして住宅ローン破綻を迎えるというわけです。

コロナ禍のような未曾有の危機を予測することは難しいですが、人生において訪れる2回の大幅な収入減は予測できるもの。これらを考慮したうえで、無理のない返済プランを検討することが、老後の住宅ローン破綻を回避するための最善の方法だといえるでしょう。

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