航空機追跡サイト「フライトレーダー24」、その内側に迫る

航空機追跡サイト「フライトレーダー24」、その内側に迫る

  • CNN.co.jp
  • 更新日:2022/11/27
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ペロシ下院議長を乗せた米政府専用機=8月3日、台湾・台北/Annabelle Chih/Getty Images

(CNN) 世界でごく普通の日に発着するフライトの総数は20万便以上に上る。その中には、全体の約半分を占める商用機、貨物輸送機、チャーター機に加え、ビジネスジェット機、自家用機、ヘリコプター、救急輸送機、政府専用機および軍用機、ドローン、熱気球、グライダーも含まれる。

大半の航空機は、位置などの飛行データを航空交通管制に伝えるトランスポンダーと呼ばれる装置を搭載しているが、このトランスポンダーが発信する信号は、放送型自動従属監視(ADS―B)と呼ばれる技術に基づいた安価な受信機で受信可能だ。フライト追跡サイトは、この信号を受信することにより、(いくつかの例外を除き)飛行している全ての航空機のリアルタイムのスナップショットを提供している。

このフライト追跡サイトは、今や航空ファン以外にも広く利用されている。8月上旬にペロシ米下院議長を乗せた米空軍機が台湾に着陸した際、フライト追跡サービス「フライトレーダー24」を通じて70万人以上がその様子を目撃した。

ボーイング737の軍用機版であるC40は、マレーシアのクアラルンプールを出発した後、中国軍との遭遇を避けるために遠回りをして台湾に向かったため、飛行時間が数時間延びた。そのため最終目的地がすぐには分からず、同機がゆっくりと台湾のある北の方向に針路を変えると、オンライン上で同機が話題になった。

その結果、同機はフライトレーダー24の開設以来最も多くの人に追跡されたフライトとなり、292万人が7時間のフライトの少なくとも一部を追跡した。

フライトレーダー24は、2006年にスウェーデンで開発された。広報担当のイアン・ペチェニク氏によると、同サイトの開発は「全くの偶然」で、航空券の価格比較サービスにトラフィックを振り向けるための手段として開発されたという。

同サイトが初めて世界の注目を集めたのは10年だった。当時、アイスランドの火山が噴火し、数千便が飛行停止となった。この時、400万人が同サイトを訪問した。

関心の高まり

フライトを追跡する人の数は増え続けている。

「多くの人がフライトレーダー24を利用して、最愛の人が乗っているフライトや自分が乗っているフライト、さらにその日に乗る予定のフライトを追跡し、そのフライトが近づいてくるのを確認している」とペチェニク氏は言う。

また航空ファンが空港に行って、追跡アプリで次に着陸する航空機を確認したり、航空機を所有し貸し出している人が自分の航空機を管理したり、さらに航空会社、空港、航空機メーカーも飛行データの収集のために利用するという。

データの収集方法

フライトレーダー24は、飛行データを収集するために独自にADS―B受信機のネットワークを構築した。約3万4000台の受信機で構成されるこのネットワークは世界最大で、南極大陸などの遠隔地もカバーしているという。

ネットワークを構成する受信機のうち、フライトレーダー24が製作したのはわずか4分の1ほどで、大半は航空ファンらが自ら組み立て、収集したデータを自主的に同サイトに提供している。

受信機の製作費は比較的安価で、部品代の総額は約100ドルなので、09年にフライトレーダー24がネットワークを一般に公開して以来、多くの人が登録した。

全世界のフライトを追跡するには多くの受信機を高密度で設置することが必要不可欠だが、海ではまばらにしか設置できない。では、陸地から離れた海域の上空をカバーするにはどうすればいいか。

ペチェニク氏によると、フライトレーダー24はできる限り島を見つけ、そこに受信機を設置しているが、最近、海洋上空の航空機の追跡を容易にするため衛星ベースのADS―B受信機の使用を開始したという。しかし、最も重要な情報源は現在も同社の地上ネットワークだ、とペチェニク氏は言う。

このような詳細かつ局地的なデータの収集は、緊急事態や事故の早期把握に役立つ可能性がある。

ペチェニク氏によると、フライトレーダー24ではサーバーに入るデータを全て保存し、必要なら特定の受信機から生データを抽出することも可能だという。通常、それを行うのは事故が発生した場合や、航空ナビゲーションサービスプロバイダーや事故調査部門から要請があった場合に限られる、とペチェニク氏は言う。

飛行機の墜落の原因が、公式調査で明らかになる前に飛行データから判明することもある。

15年3月24日に独ジャーマンウィングス9525便の副操縦士が同機を意図的に山中に墜落させた事故では、データが事故当時の状況を極めて明確に示していた。

「ジャーマンウィングス機の墜落事故に関して我々が受信したデータ一式からMCP ALTと呼ばれるパラーメーターの一つが読み取れた。これは航空機のオートパイロット(自動操縦装置)にどのくらいの高度で飛行するかを指示するために回すノブで、ジャーマンウィングス機のデータを見ると、高度はゼロに設定されていた」(ペチェニク氏)

しかし、あらゆる飛行機のデータを全て入手できるわけではなく、トランスポンダーや受信機の種類によって入手可能なデータは異なる。

また航空機の所有者やオペレーターは、例えば米連邦航空局(FAA)が管理する「航空機データ表示制限(LADD)」プログラムに登録することにより、自分の航空機に関するデータを一般公開されないようにすることも可能だ。特に軍用機、政府専用機、自家用機のデータは非公開が一般的だ。

「この方法により、航空機のオペレーターはデータを異なる方法や匿名で表示したり、場合によっては全く表示させないようにすることも可能だ。我々が日々追跡している航空機のうち、全体の約3%は何らかの形でデータの表示が規制されている」(ペチェニク氏)

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