飲料王子が教える眠気覚ましの新常識「コーヒーは苦いほど効く」は大間違い 「緑茶界のレッドブル」って?

飲料王子が教える眠気覚ましの新常識「コーヒーは苦いほど効く」は大間違い 「緑茶界のレッドブル」って?

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  • 更新日:2021/02/23
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飲料専門家 江沢貴弘さん(44)/食の専門校「レコールバンタン」の飲料部門責任者を経て、複数の飲料協会理事に就任。飲料企業への技術、レシピ提供なども(撮影/写真部・張溢文)

「眠気覚ましと言えば苦~いコーヒー」。それ、間違ってます。AERA 2021年2月22日号から、コーヒー、紅茶、緑茶のパワーを最大限に生かす効果的な入れ方や飲むべきタイミングを紹介する。

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日によってはぽかぽかと春めいてくる今の季節。人目のあるオフィスにいても眠いのだから、在宅はもっと眠い。仕事は山積みなのに、ひなたのソファがチラチラ目に入って、「5分だけ横になれば?」と悪魔がささやいてくる。

そんなとき、多くの人が手に取る飲み物といえば、昭和の昔からコーヒーと相場が決まっている。ただしこれには、いくつかの誤解もあるらしい。コーヒー、紅茶、緑茶からビール、カクテルなどのアルコール類まで、飲料全般にくわしい飲料専門家で、“飲料王子”の異名を取る江沢貴弘さん(44)はこう話す。

「『夜明けのコーヒー』と言われるように、コーヒーに含まれるカフェインに目を覚ます効果があるのは本当です。カフェインには集中力を高め、疲労を回復させる効果もある。ただ量の差はあれ、カフェインは紅茶や緑茶にも入っている成分。どれもコーヒーだけの効果ではないんです」

たしかにコーヒーはカフェインの含有量が多いが、たとえば緑茶の「玉露」は、100グラムあたりのカフェイン含有量がコーヒーの2.5倍もある。

まさに「緑茶界のレッドブル」とも言えるこのお茶が「夜明けの玉露」とならなかった理由を、江沢さんはこう見る。

「お茶の抽出液にはカフェインが含まれるため、目が覚める飲み物という印象を持つ人も多いでしょう。でも実は、お茶の覚醒作用は穏やか。これはお茶の旨味成分であるテアニンが作用し、覚醒を抑制する働きがあるためです」

■「苦いほど効く」は誤解

コーヒーの誤解、その2。苦いコーヒー=カフェインが多い、という勘違いだ。現在、広く飲まれているコーヒーは大きく2種類。

「かつてコーヒーといえば深煎りのブレンドコーヒーでしたが、今は浅めのローストで、その豆独特の味わいを引き出すシングルオリジンと呼ばれるコーヒーも人気になっています。苦みが強い深煎りブレンドコーヒーのほうが、眠気覚ましなどの効果が高いと思いがちですが、カフェインは熱に弱いので、実はロースト、つまり火入れ度合いが浅い浅煎りは、豆の成分がより残り、カフェインの含有量が多いのです」

例えば苦いコーヒーの代表格、エスプレッソコーヒーは抽出時間が20~30秒と短いため、カフェインは抽出時間が2分半のドリップコーヒーの方が多くなる。苦み走った顔つきでエスプレッソを流し込み、キリッと目を覚ます大人な自分が好きだった若者時代。あれって勘違いだったみたいで。

「コーヒーの香りには気分をゆったりさせてくれる効果があります。また、香りを楽しみながら豆を手で挽けば、香りとカフェインの合わせ技で、目を覚ますだけでなく、集中力を高める、イライラをしずめるなどの効果も期待できます」

さらにコーヒーに最大限のパフォーマンスを発揮させるなら、抽出方法にもこだわるべし。コーヒーを入れる方法は、ハンドドリップから、カプセルコーヒーマシンまでさまざまだが、江沢さんのおすすめは、誰でも簡単においしいコーヒーが入れられる「フレンチプレス」だ。

「コーヒーの粉を入れて、湯を注ぎ、待つこと4分。ゆっくりプレスすればできあがりです。香りの元になるせっかくのコーヒーの油脂を吸収してしまうペーパーフィルターが不要なうえ、コレひとつあれば、コーヒーだけでなく、お茶を入れるのにも使えるので便利です」

なお、インスタントコーヒーでも、カフェインなどの成分はドリップで入れたコーヒーとほぼ同じ。ただし香りが出にくいので、「スプーン数杯の水で溶いてから」お湯を注げば、コーヒーの香りが出やすいという。

ではコーヒーの部をまとめます。眠気を吹き飛ばしたり、集中力を高めたり、意気を高めたりしてくれるカフェインの効果を狙うなら、深煎りより、浅煎りのコーヒーがおすすめ。さらにゆったりした気分をプラスしてくれる香りの効果を上乗せするなら、豆から手挽きするなどして、コーヒーの香りを存分に楽しむのがコツとなる。

■熱めでカテキン豊富に

続いてお茶類。星の数ほど種類があるお茶のそれぞれにさまざまな効果があるが、まずはお茶の基本知識を学ぼう。

まず知られているのは、紅茶も、緑茶も、そしてウーロン茶も、元は同じ茶葉からできているということ。ではなんであんなに味や香りが違うかというと、茶葉を摘んだあとの発酵具合が違うからだ。

「発酵していないのが緑茶、発酵しているのが紅茶、その中間がウーロン茶です」

発酵はさまざまな効果をお茶にもたらすが、わかりやすい発酵の効果は、「渋み」を作るタンニンが増えること。

「発酵で赤くなった紅茶は、食事のあとなど、口のなかが脂っぽいときに、渋みが口のなかをさっぱりリセットしてくれます」

一方、発酵していない緑茶は、言ってみれば青青とした茶畑のお茶のまんま。豊富に含まれるカテキンには適度な苦味があり、口の中をさっぱりさせるリフレッシュ効果があるそうだ。

カテキンは、強い殺菌作用や免疫力をアップさせる作用が研究され、注目されているお茶の成分。緑茶は玉露で50度前後、一般的な煎茶で70~90度で入れるのが適温といわれるが、カテキンをたっぷりとるには90度くらいがいいという。

「温度が高いお湯で入れた緑茶はカフェインもたっぷり出ることがわかっています。つまり高温で入れたお茶は、カフェインもカテキンも豊富なんです」

種類によっても効果が変わるお茶類。紅茶、緑茶、中国茶など世界のお茶、数百種類がそろう「世界のお茶専門店 ルピシア」にも、お茶のTPOを聞いて味見させてもらった。その中で、筆者がリピートしているものをいくつか紹介したい。

■失敗した日は柑橘系を

眠気撃退は、カフェインが抽出される紅茶や緑茶も得意技だ。

「ストレートで入れたスリランカなどの紅茶の香りとコクや、高めの温度で入れた煎茶の上品な苦みなどがおすすめです」(ルピシア広報)

そう言われて飲んでみると、ストレートの紅茶や熱い煎茶からも、たしかにカフェインがガツンと迫ってくるような。王子に教えてもらったように、香りも意識して嗅ぐと、さらに目がパチリと覚めた気がした。

江沢さんらの話をもとに、在宅ワークでありがちな七つのシチュエーションで「飲むべき飲み物」をまとめた。コーヒー派の人も紅茶派の人も、ぜひ今日から参考にしてほしい。

仕事で失敗するなどして落ち込んだとき、ドリップコーヒーだけでなく、紅茶の「アールグレイもおすすめ。柑橘類の一種ベルガモットの香りで、ストレス解消などに効果ありとの説がある。

実はアールグレイは、自分が普段家で仕事をするときに1日7~8杯は飲んでいる紅茶。そんな効果があるとはつゆ知らず。まさに失敗とストレスにまみれた日々だけに、体が欲したとしか思えない。いただいたアールグレイは、通販で買った100個入りティーバッグとはまるで別物のいい香り。よし! 気分があがってきた。

■自家製ほうじ茶で幸せ

最後はもう一つ、自分自身に必要な「イライラを落ち着かせるとき」のお茶だ。ルピシアのおすすめは、ほうじ茶だ。

「たとえば弊社の『信楽 熟成ほうじ茶』です。刺激が少なく、香り豊かなほうじ茶でひと休みして、イライラを落ち着かせてみるのはどうでしょう」(ルピシア広報)

はい。ほうじ茶の香ばしさが心まで温めてくれて、ひと休みと言わず一日中飲んでいたいほどのほっこり効果。実はほうじ茶については、王子こと江沢さんからもウラ技を教えてもらっていた。ズバリ、自家焙煎だ。

「油分のないフライパンを火にかけ、緑茶を入れて火からはずします。煙が出てくるので、火からはずしたまま、フライパンをあおって煎る。煙が出なくなったら、再び火にかけて、はずしてあおるを繰り返します。3~5分くらいで、オリジナルローストのほうじ茶が完成します」

このオリジナルほうじ茶のいいところは、お茶のいろんな効果を後押しする「香り」が存分に楽しめること。実際、昔の商店街にあったお茶屋さんの店先のような香りが部屋中に広がって、何だか幸せな気分だ。

「煎ることでカフェインが減るので、ほうじ茶は寝る前などに飲むのがおすすめ。さらにローストの香りで癒やされるので、カフェインを控えたい方にもおすすめしています」

お茶の部をまとめます。高温で入れるとカフェインが多く出て、眠気ざましや、疲労回復などにも効果が。反対に、カフェインを取りたくないなら、緑茶をほうじ茶にして、煎っているときの香りごと楽しむのも一案だ。フレーバーティーも各種あるので、風味をあれこれ楽しめるのも、紅茶ならでは。

エンジョイ! 在宅ワーク。(ライター・福光恵)

※AERA 2021年2月22日号

福光恵

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