羽生結弦「跳べない期間をいかしたい」 平昌五輪のプログラムを徹底予想!

羽生結弦「跳べない期間をいかしたい」 平昌五輪のプログラムを徹底予想!

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  • 更新日:2018/02/15
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(c)朝日新聞社

平昌五輪が開幕した。羽生結弦にとっては昨年11月のケガからの復帰戦であり、男子で66年ぶりとなる五輪連覇を狙う舞台となる。あの転倒から約2カ月、練習できない日々が続いた。目指す金メダルは、その視線の先に見えているのだろうか。

【図表】平昌五輪で予想される演技構成はこちら

日本スケート連盟の小林芳子フィギュア強化部長が、羽生結弦(23)が練習を再開したことを明かしたのは1月16日。その約1週間前から氷上練習を始めていたという。男子のショートプログラム(SP)が行われるのは2月16日。羽生は練習期間1カ月ほどで、連覇を目指す平昌五輪を迎えることになる。

練習再開後、短い期間で失敗の確率を低くするには、4回転ジャンプの種類を絞ったほうがいい。これまでの実績から分析すると、高難度の4回転ルッツや4回転ループを無理に跳ぶ必要はなさそうだ。4回転サルコーと4回転トーループだけで、十分に高得点を狙える。

今季序盤の大会のSPが、このことを証明している。

羽生のSP自己ベストであり世界歴代最高得点でもある112.72点は、今季初戦、2017年9月にカナダ・モントリオールであったオータム・クラシックで出したものだ。このとき、右ひざに違和感があった羽生は4回転ループを回避。4回転サルコー、3回転アクセル、4回転トーループと3回転トーループのコンビネーションというジャンプ構成だった。

SPの今季ベストで羽生の次に高い得点を出しているのは、スペインのハビエル・フェルナンデス(26)。フランス杯で完璧なSPを披露し107.86点をたたき出したが、羽生の自己ベストとは約5点の開きがある。

羽生は11月9日、NHK杯の練習中に4回転ルッツを跳んで右足首を捻挫(ねんざ)。当初の診断は足首外側の靱帯(じんたい)の損傷だったが、その後、腱と骨にも炎症があることがわかったと発表された。

4回転ループは右足首だけで踏み切るジャンプ。右足の外側のエッジに乗って後方に滑り、反時計回りに円を描きながら跳び上がる。右足に負担がかかるこのジャンプと、ケガをした4回転ルッツは避けたい。

左足だけで踏み切る4回転サルコーと、右足で滑りながら左足のつま先をつく、いわば両足踏み切りの4回転トーループなら、痛めた右足首への負担は軽い。

いずれも4年以上前に習得し、いいジャンプを跳ぶこつも熟知しているから、短期間の練習で高い成功率まで戻せるはずだ。

フリースケーティング(FS)では、17年夏の公開練習で口にしていた構成を目指すことになるだろう。それが、4回転サルコーから始まる構成だ。3回転ループについては「4回転ループ」と言っていたのだが、合計点では、3回転ループでも勝てる。

ステップやスピンなどの点と演技構成点は今季ロシア杯のものを使い、前述のジャンプ構成と組み合わせた。ジャンプの出来栄え点(GOE)を昨季後半と今季前半の1年間で羽生が獲得した平均約1.2点で計算すると、207.85点。オータム・クラシックのSPと合わせると、320.57点。世界歴代最高得点でもある羽生の自己ベスト330.43点には及ばないが、世界歴代2位の得点である宇野昌磨(20)の自己ベスト、319.84点を超える。

SP、FSを通じて4回転ジャンプ2種類というのは、羽生自身が一番悔しいだろう。しかし、ジャンプでの転倒、予定より回転数が少なくなる「パンク」さえなければ、羽生は勝てる。勝つための戦略として、習熟度の高い4回転トーループと4回転サルコーだけで五輪に臨むことを考えてもいいはずだ。

試合から長く離れていることを心配する声もあるが、羽生ほど多くの病気やけがを経験、克服してきた選手はいない。

最も記憶に残るのは14年11月、頭部や左太ももなど5カ所を負傷した、中国杯公式練習中の他の選手との衝突だろう。

氷上練習を再開できたのは、次のNHK杯まで約1週間というタイミング。NHK杯は4位だったが、その約2週間後、つまり氷上練習再開から約3週間後のグランプリ(GP)ファイナルでは、4回転のトーループとサルコーをきれいに決めて、日本男子初の2連覇を達成した。

14年末から15年3月にかけては、尿膜管遺残症で下腹部を手術し、その後に古傷の右足首を捻挫。股関節も痛めるなど、不運が重なった。それでも、手術後の氷上練習再開から1カ月弱で迎えた世界選手権で、2位になっている。

この時、復帰から目指す大会までの短い練習期間の中でも調子の浮き沈みがあった。そのことについて羽生は語っている。

「ジャンプできない期間があったことで、これだけジャンプしなかったら調子が悪くなるとか、ジャンプをしすぎると逆に悪くなっていくという感覚がつかめた。自分のピーキングについて考えるきっかけになりました」

「4回転ジャンプはミスをしましたが、それでも世界選手権で2位に入る演技ができるというのは、すごく自信になりました。ピークを合わせることは大切ですが、ピークではない時も練習では跳べる。じゃあどうすれば試合で跳べるのかという点を、反省として生かしたい」

この時の経験が、おそらくは平昌五輪に生きる。

13年には、2月にインフルエンザで10日間休み、その後の練習で左ひざを痛めて、3月に痛み止めを服用して出場した世界選手権で4位になった。

16-17年シーズン前には、左足甲付近のリスフラン関節靱帯損傷で約2カ月間の休養。しかし、そのシーズンにはGPファイナル4連覇を果たし、世界選手権優勝で締めくくった。

幼い頃からのぜんそく。繰り返されるけが。練習場所が確保できない時期もあった。そんな厳しい環境で培われた「効率の良さ」が、短期間での復活を支えているのだろう。

特に、コーチの助言や自分のひらめきを言葉にしてノートに記録し、その言葉を動きに変換する力はずばぬけている。一度身につけたジャンプの感覚を短期間で取り戻すことができるのはそのためだ。

4回転サルコーを完全には自分のものにできていなかった13年、羽生がコーチのブライアン・オーサーを質問攻めにしたことがあった。

「助走のカーブは?」

「跳び上がる方向は?」

「氷についていないほうの足の使い方は?」

「腕をどう使うのか?」

平昌五輪では、そうやって身につけた4回転サルコーが連覇のカギを握る。

※AERA 2018年2月19日号

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