イヌ型ロボット「アイボ」復活、あきらめなかった技術者たち

イヌ型ロボット「アイボ」復活、あきらめなかった技術者たち

  • sippo
  • 更新日:2018/01/15
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ソニーのイヌ型ロボット「aibo(アイボ)」が復活した。鳴き声の「ワンワン」にちなみ、戌(いぬ)年の1月11日に発売。予約購入者に引き渡された。初代は1999年に発売されてブームになったが、リストラで2006年に生産終了。今回、AI(人工知能)を搭載、動きも機敏になった。復活の裏に技術者の奮闘があった。

2015年の夏。「アイボ復活はソニーらしさの復活の象徴になります」。先代アイボの開発の中心にいた藤田雅博さん(58)が経営陣に訴えた。リーマン・ショック後のリストラが一巡。社内に成長の芽を探す機運が生まれていた。

藤田さんは「アイボは愛情の対象となる特殊な商品。長い間お客さんとつき合う決意が必要」とも強調。復活したら、安易な撤退はできないと迫った。

アイボの終了でファンは取り残され、社内でも成長事業となるはずのロボットへの関心は薄れた。

ただソニー社内は「潜在的に作りたい技術者はたくさんいた」(ロボット事業責任者の川西泉さん)。藤田さんが復活を訴えたころ、有志の技術者たちが空き時間を使って試作機づくりを始めたのだ。ゲーム機プレイステーションも生んだ、ソニー用語で言う「机の下開発」だ。

デジカメ部門にいた森田拓磨さん(39)も有志の一人。東大院でAIを専攻、ロボット開発を志して03年に入社したが、あきらめていた。東京・品川の本社エレベーターホールで、たまたま同僚に声をかけられ、アイボの頭脳部を任された。「忘れていた初心を思い出し、夢中になれた」

生かせる技術を総動員し、AI搭載のロボットのコンセプトが固まっていった。藤田さんは「先代の終了後も、画像や音声認識、力を制御する技術を磨いていました」と話す。試作機は16年春に完成。これを見た平井一夫社長の第一声は「面白いね!」だった。やがてゴーサイン。開発組織の発足は16年7月だった。

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新型アイボの最大の特徴はAIだ。鼻先のカメラで人の顔の情報を蓄積。遊んでくれた人をランク付けし、愛らしい行動を返す。自社開発の小型駆動装置で、おしりを振ったり、首をかしげたりするしぐさができる。ネット上のサーバーであるクラウドにつながって自ら個性を育てる。「AIで個性は無限大になった」と森田さん。

アイボは4千個の部品からなる。常に動き回り、消耗や故障のリスクは大きい。開発リーダーの伊豆直之さん(37)は「他の家電とは桁違いの耐久性や信頼性をめざした」と振り返る。

事業の責任者、川西さんはこう言う。「ロボットで人々の生活をより刺激的に、豊かにしたい。アイボの復活は我々の挑戦のスタートにすぎない」

(西尾邦明)

■本体19万8千円、次回は抽選販売

本体は税抜き19万8千円。基本プランへの加入が必要で月2980円、3年一括で9万円。過去の予約分は完売したが販売台数は未公表。店頭販売はせず、次回は14日までに「アイボニュースメール」登録者に抽選販売。詳しくはホームページ(https://aibo.sony.jp/)。

■ロボ開発、失われた10年

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先代アイボの生みの親である土井利忠・元ソニー上席常務は昨秋、「お見せしたいものがあります」とひそかに同社に招かれた。新型アイボが披露され、土井さんは「やっとここまで来られた」と感慨深かった。

アイボを開発していた90年代、土井さんはあえてコンセプトを「役に立たないエンターテインメント用」と定めた。当時の技術では高機能は望めなかったし、「人は遊びを求める」という洞察があったからだ。そんな製品開発を許した風土こそ、往時のソニーだった。「無謀とも思える夢を追求させたのがソニーの活力だった」

そうした美風は次第に失われた。社内で「これはカネになるのか」と研究開発に注文がつくようになり、やがてロボットは中止に。本格開発は10年超の間、途絶えた。その間、ソフトバンクなど後発企業がロボットに参入。「開発を続けていたら2年後には今のアイボと同じモノができた」と元担当幹部は悔しがる。

土井さんは、アイボと同様に開発中止となったヒト型ロボット「キュリオ」について、今でも「ソフトバンクのペッパーよりすごい」と思っている。だが、いまさら愚痴を言ってもはじまらない。

ソニーは今年度に過去最高の営業益を見込む。「再びロボットの夢を追いかけられるようになった。だからソニーの業績が良くなったんですよ」。土井さんはそう思うことにしている。

(大鹿靖明)

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