「忙しいひとを、美しいひとへ。」パナソニックビューティの、刺さるコピーの裏側

「忙しいひとを、美しいひとへ。」パナソニックビューティの、刺さるコピーの裏側

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  • 更新日:2016/12/01

あのヒット商品は、どのようにして生まれたのか?

東カレ読者が手に取るような商品を作り、創意工夫に満ちたプロモーションを仕掛ける、マーケター。この連載ではそんなエッジィなマーケターに焦点を当て、ヒット作や一風変わったプロモーションの裏側に迫る。

第3回目となる今回は、パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 コミュニケーション部 クリエイティブ課の齊藤美和子さんに話を伺った。

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2010年に全体コンセプトを「忙しいひとを、美しいひとへ。」に刷新

2000年の入社以来、同社でクリエイティブディレクター、コピーライターとして幅広くパナソニックの美容家電や調理家電のプロモーションを担当してきた齊藤さん。

入社当初から一貫してコンセプト作りやコピーライティングに携わり、入社3年目にして東京コピーライターズクラブ新人賞を受賞。2008年にはカンヌ国際広告祭ブロンズ、2009年にはACCグランプリ等、国内外の数々の広告賞を受賞。後輩社員にとっては憧れの存在なのだそう。

2008年に「National」ブランドが「Panasonic」に統一された後、2010年にはパナソニックビューティの全体コンセプトを「忙しいひとを、美しいひとへ。」に刷新。それ以降もコンセプトを維持しつつ、2014年にはメインターゲットを20代後半から30代前半の女性に置き、美容家電の選択を提案している。

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イメージキャラクターには水原希子を起用し、トレインチャンネルや駅構内、量販店で、そのアイキャッチ―な広告に目を奪われた人も少なくないだろう。

「水原希子さんは、ターゲット世代からの好感度が高いだけでなく、その年代よりも年上の女性からも支持されています。ひと括りには出来ない、女性の様々な表情を表現出来る力も起用の理由です。」と語る。

2010年に全体コンセプトを刷新した後は、働く女性を中心に、日々の忙しさゆえに美容に時間をかけられない女性へ向けて「~しながら」効率的に美容ケアが出来ることを訴求してきた。 「乾かすだけでミネラルエステ」、「シャンプーしながらヘッドスパ」、「お仕事しながらオフィスでエステ」等……。

しかし、日本の女性を取り巻く環境やライフスタイルも、ここ数年で大きく変化した。価値観も多様化したことで、商品ベネフィットを直接訴求するだけでは不十分なのではないか、と齊藤さんは考えたのだ。

時代が変わっても、心にすっと入って来るコピー。その秘密は……

女性のホンネを映し出す。思わず「たしかに」と言ってしまうワケ

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そこで、より消費者を理解する為に、美容雑誌の編集者から最近の美容トレンドについて話を聞いたり、グループインタビューやデプスインタビューを重ねて消費者の声に熱心に耳を傾けた。

「20代後半になると、周りの結婚や転職をきっかけに自分の生き方を見つめ直したり、責任ある仕事を任される機会が増えて、忙しくなってきますよね。一方で、肌や髪には手をかけられなくなって、さらに「お肌の曲がり角」まで実感する時期。美容ケアを本気で考えないといけなくなる頃です。

そんな女性たちが、「今までのケアじゃダメなんだな」と焦った時に、パナソニックビューティを選択肢として捉えてもらえるようなコミュニケーションをしようと考えました」

そして、直接的な商品の利点訴求ではなく、ターゲットを明確化し、広告表現によってまだ消費者が気付けていないニーズを浮き彫りにしていくことを提案。

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日常生活の中で、女性が心の中でふとつぶやきそうな言葉が並ぶ。

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生活のひとコマに、自然とパナソニックビューティがそばにある。

2010年に設定した「忙しいひとを、美しいひとへ。」というコンセプトを維持しながらも、時代に合わせてその裏側にあるメッセージをアレンジした。齊藤さんは、それをコンセプトリノベーションと呼ぶ。

そして、それはクリエイティブの見せ方にもみられる。

2010年のクリエイティブを見てみると、「忙しいひとを、美しいひとへ。」のコンセプトを使いながらも、モデルはパキっとした白いシャツに身を包み、所謂「キャリアウーマン風」。現在の水原希子の、カジュアルで自然体な女性像とは異なることに気が付く。

当時は、「忙しい女性」をわかりやすく表現する為に、仕事で奮闘するキャリアウーマンのイメージを描く必要があった。しかし、女性らしさを持ちながらも、仕事やお洒落を楽しむ等身大の姿に今のターゲット層は自分を重ね合わせるのだという。

わずか3~4年で、時代の空気は変わるもの。女性の価値観やライフスタイルをあらゆる切り口で捉え、その時代の「忙しさ」の概念や女性の「こうありたい」を表現しようとしたのだ。

6年経っても色褪せない、「忙しい」が意味するもの

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「忙しい」という言葉1つでも、人によって度合いも解釈も異なるもの。仕事であれ、子育てであれ、趣味や勉強であれ、皆忙しさを感じているものだ。

「『忙しい人は美しくないのか』、というご意見をいただいたこともあるんですよ。ターゲット女性にどんな言葉が響くのか、言葉選びは非常に悩みましたね。

共感を生む言葉と「刺さりすぎない(=傷つけない)」言葉の微妙なニュアンスの違いにも気を遣わなくてはならないですし、メッセージを伝える側の片思いにならないよう、両想いになれるコミュニケーションになるよう心がけました」

誰もが使う「忙しい」という言葉が、仕事や子育てなどで一生懸命な女性の価値観や想いをすくい取ってくれているようだ。全体コンセプトの刷新から6年が経過しようとする今も、時代の変化に左右されることなく、そのコピーの”新鮮さ”は今なお健在だ。

それに、齊藤さんがパナソニックビューティを通じて実現したいのは、単に「商品を売ること」ではない。

「キレイになることをゴールにするのではなくて、キレイになることで自分らしい生き方を日本の女性に実現してほしい」という想いが根底にある。

そんな齊藤さん自身も、壁にぶちあたったことも……

悩んでなんていられない! 走って、走って、走り抜く!!のが流儀

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何事にも全力投球、が齊藤さんのスタイル。ずっと走り続けていないとダメなのかも、と齊藤さんなりの突破口を教えてくれた。

「入社時から希望の仕事も出来て、常に前のめりでやってきましたが、30代に入った頃に燃え尽き症候群になってしまったんです。絶対に周りには気付かれてはいけないと思い、悩んだ時期がありました。

でも、悩んでいるだけだと意味がないんです。とにかく目の前にあることに集中して、全力で走りながら考えること。そうすると、自ずと次の目標が見えてきたりするのではないかと思います」

齊藤さん自身がこれまで乗り越えてきた悩みや経験があるからこそ、「忙しい」女性たちの声を代弁出来るのだろう。女性の美と自己実現を応援する為に、走り続ける。齊藤さんの言葉からはそんな気概を感じた。

元気の源は、鳥、ビール、演劇!

舞台女優というもう一つの顔を持つ齊藤さんが、多忙な合間にふと息つけるのは、大好物の鳥とビールにありつけた時!なのだとか。最後に、お勧めの店をいくつか紹介してもらった。

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三軒茶屋の閑静な住宅街の中にひっそりと佇む、『コシラエ』

1つは、新橋にある『ホップ・デュベル』。ベルギービールと焼き鳥のマリア―ジュを楽しめ、串の種類に合わせてビールを選べるのがたまらないという。それに、麻布十番の「がいがい。」は東京で一番好きな焼き鳥屋。

そして三軒茶屋にあるイタリアン料理店『コシラエ』は、是非一度足を運んでもらいたい!と齊藤さん大注目のレストランなのだそう。

「駅から少し離れたところにも名店が点在しているのが、三軒茶屋だと思います。『コシラエ』は、名前の通り仕込みを大切にしているイタリアンダイニングで、煮込み、炭火焼き、野菜の3本柱で素材の味を一層深く味わえるお店。お勧めです」

最後になるが、時代が変われば、女性の感覚もアップデートされていく。そんな我々の想いをすくい取ってくれるマーケターがいるからこそ、私たちはさらに力強く、自分らしく日々を輝かせられるのかもしれない。

【これまでのマーケター列伝】
vol.1:『氷結』のグイグイ攻めてる企画が気になる! それは、この美人マーケターの仕業だった!
vol.2:売ろうとしないサイトがまさかのヒット!『ユナイテッドアローズ』のマーケティング観とは

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