ディズニーR、入園前にぐったり、年間パス使用不可日...値上げしても顧客満足度低下の惨状

ディズニーR、入園前にぐったり、年間パス使用不可日...値上げしても顧客満足度低下の惨状

  • Business Journal
  • 更新日:2018/06/25
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東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドは6月14日、混雑緩和をひとつの目的とした東京ディズニーシー(TDS)の拡張計画を発表した。東京ディズニーランド(TDL)とTDSに隣接する駐車場を転用し、約10万平方メートルをテーマパークなどの用地に充て、約2割拡張するという。

この計画には約2500億円を投じ、TDS内に8つ目となる新エリアを設け、ディズニー映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』をテーマにした計4つのアトラクション、複数の飲食・物販の施設、最上級ホテルを新設する。約3350億円を投じて2001年にTDSを開業した時に次ぐ大規模投資となる。22年度中の開業を目指す。

TDRが直面している大きな問題に「顧客満足度の低下」がある。日本生産性本部サービス産業生産性協議会が3月に発表した「日本版顧客満足度指数」(17年度)において、TDRの「顧客満足」は36位と低調だった。16年度の27位から大きく後退している。かつてTDRは1位か2位を常にキープしていたが、近年は順位の低下が続いていた。

顧客満足度低下の理由としてよく指摘されるのが「パークの混雑」だ。パーク内は来園客でごった返し、人気アトラクションともなると「2時間待ち」や「3時間待ち」など、長時間行列に並ぶのが当たり前となっている。少しでも多くのアトラクションを楽しもうと、パーク内を走り回る来園客が少なくない。繁忙期になると、入園前に自動車を駐車場に停めるだけで多くの時間を費やすことを余儀なくされる。そのため、多くの来園者はパークを去る頃にはぐったりしてしまう。こうしたことを嫌忌し、顧客満足度が低下しているのだ。

そうしたなか、オリエンタルランドはパークを拡張することで混雑を緩和し、顧客満足度を高めたい考えだ。

今回のパーク拡張は混雑緩和がひとつの目的だが、新規顧客の獲得を目指すほか、パークチケット料金の値上げに向けた布石とする狙いもある。

TDRの来園者数は、13年度に年間3000万人を突破したものの、それ以降は頭打ちとなっている。これは、チケット料金の値上げが影響している。オリエンタルランドは入園者数の抑制と収益の向上を目的に16年まで3年連続でチケット料金を値上げした。大人1日券の価格は、14年4月の改定前は6200円だったが、3度の改定を経て16年4月以降は7400円になっている。だが、値上げは顧客満足度の低下につながるリスクをはらむ。そこで17年は値上げを見送っている。

●入場料値上げは諸刃の剣か

また、オリエンタルランドはチケット料金の値上げ以外の混雑緩和策も相次いで打ち出している。

TDLとTDS共通の年間パスポートにおいて、今年3月以降の販売分から、お盆休みや年末を中心に「年間パスポート使用不可日」を設定した。18年は8、10、11、12月にそれぞれ2〜4日、合計で12日間使用できなくなる。19年も3月末や8月半ばなどにパスポートの除外日を設ける方針だ。来園者が多い日に除外日を設けることで、混雑緩和につなげる狙いがある。なお、同パスポートは今年3月、大人から小人まで一律4000円値下げした。

また、パーク内で土産物やグッズを検索・購入・自宅へ配送したり、アトラクションの待ち時間を確認できるスマートフォン用のアプリを、今夏に導入する予定だ。これにより、待ち時間などに土産物やグッズなどを購入し、帰り際に販売店に立ち寄って商品を受け取れるようになる。閉園間際に土産物やグッズを買い求める人が販売店に集中して混雑の原因になっていたため、アプリの導入で混雑の緩和につなげたい考えだ。

TDRにとって、これ以上の顧客満足度の低下は死活問題といえる。そのため、安易な値上げはできない。しかし、同社のテーマパーク事業の売上高は13年度から17年度まで3900億円近辺で横ばいが続き、同事業の営業利益も同期間において900億円台の横ばいが続くなど、成長が見られない状況にある。同事業で収益を上げるには、入園者数を増やすかチケット料金を値上げする必要がある。パークの拡張は入園者数の増加が見込めるとともに、値上げの言い訳にもなる。

ただ、値上げは難しい問題をはらんでいる。顧客満足度の低下もそうだが、値上げによる収益向上効果が低下しているのだ。値上げが寄与し、14年4月から3年でチケット収入は前期比15%程度上昇したが、その間の入園者1人当たり売上高は5%程度しか上昇していない。チケット収入は上昇したものの、商品販売収入と飲食販売収入が減っているのだ。入園者は、チケット料金の値上げで多く出費した分、お土産の購入や飲食を抑えていると考えられる。

こうしてみると、収益向上効果よりも顧客満足度低下のほうが大きくなっているとみることができる。そうなると、やはり入園者数を伸ばすことがより重要といえるだろう。もちろん、混雑を緩和することが最重要だ。

オリエンタルランドはさまざまな難題を抱えているが、一方で同社はそういった問題を解消するために必要となる資金を十分に保有しているという強みがある。今回発表した拡張計画に約2500億円を投じるわけだが、同社は18年3月末時点で2963億円もの現預金を保有するなど財務状況は極めて良好で、大型投資計画に対しても大きな資金調達を必要としない。同社は実質的に無借金経営を続けており、資金にものをいわせる経営が可能だ。

近年、オリエンタルランドの収益の伸びは鈍化しているが、それでも毎年700億〜800億円程度もの純利益を計上している。そして毎年、同程度のフリーキャッシュフローが生まれ、現預金の積み上げにつながっている。

巨費を投じて問題を解決していくオリエンタルランド。果たして今回の拡張計画で顧客満足度を引き上げ、入園者数を伸ばすことができるのだろうか。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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