恐怖と絶望の中、死の直前に絞り出したメッセージ... 2007年「名古屋闇サイト殺人事件」に迫る慟哭のノンフィクション

恐怖と絶望の中、死の直前に絞り出したメッセージ... 2007年「名古屋闇サイト殺人事件」に迫る慟哭のノンフィクション

  • ダ・ヴィンチニュース
  • 更新日:2016/12/01
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『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 (大崎善生/KADOKAWA)

デビュー作『聖の青春』が映画化され、話題となっている作家・大崎善生の最新作『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』が2016年11月30日(水)に発売された。

【画像あり】詳しくはダ・ヴィンチニュースへ

2007年8月、深夜。名古屋の高級住宅街の一角に1台の車が停まった。車内にいた3人の男は、帰宅中の磯谷(いそがい)利恵さんに道を聞く素振りで近づき、拉致、監禁、そして殺害。非道を働いた男たちは3日前、携帯電話の闇サイト「闇の職業安定所」を介して顔を合わせたばかりだった。車内で脅され、体を震わせながらも悪に対して毅然とした態度を示した彼女は、命を賭して何を守ろうとし、何を遺したのか。そして、死の直前に遺した「2960」の意味とは―。

同書は、被害女性の生涯に寄り添いながら、事件に迫る長編ノンフィクション。磯谷利恵さんの母・富美子さんと著者の大崎は同書にこんなコメントを残している。

娘が遺した最後の言葉に、ただただ胸がかきむしられる思いです。
磯谷富美子

私にとって、この作品がひとつのピリオド。『聖の青春』からはじまった作家人生は、この物語を書くためだったのかもしれない。これで終わっても、引退してもいいと思うほど書ききった。
大崎善生

<名古屋闇サイト殺人事件>
名古屋市千種区の路上で2007年8月、帰宅途中の会社員磯谷利恵さん(当時31歳)が男3人に拉致、殺害され、遺体は岐阜県瑞浪市の山林に捨てられた。3人はインターネットサイト上の「闇の職業安定所」を通じて知り合い、犯行に及んだことから、「闇サイト」が社会問題となった。

名古屋地裁は2009年3月、神田司、堀慶末の両被告に死刑、自首した川岸健治被告に無期懲役の判決を言い渡した。3人は判決を不服として控訴したが、神田被告は同年4月に控訴を取り下げたため死刑が確定。2015年6月に死刑が執行された。残り2人は12年までに同事件での無期懲役が確定。母の富美子さんは事件後、日本の司法の下では被害者が1人の殺人事件で死刑判決が言い渡されるのはまれだと知り、被告人3人への極刑を求めて、署名活動を展開。署名は最終的に33万人分に達した。

大崎善生
1957年北海道札幌市生まれ。日本将棋連盟に就職。「将棋世界」編集長を経て、2000年『聖の青春』でデビュー、新潮学芸賞を受賞。以後、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞、『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。06年には『アジアンタムブルー』が映画化。近著に『赦す人』『さようなら、僕のスウィニー』など。

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