カーリング女子日本代表に帯同する、あのイケメン外国人は何者か

カーリング女子日本代表に帯同する、あのイケメン外国人は何者か

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2018/02/14
No image

フリーランスの悲哀を味わい、取材パスもないまま、五輪開幕を迎えた竹田聡一郎記者。「観戦チケットでの取材になりますが、気合いの入った原稿を書きますよ」と、勇躍平昌へ向かった。まず最初に送られてきたのは、日本カーリング初のメダルを左右する影の重要人物の紹介だった。

その謎の男の名はJD

今回の平昌五輪のカーリング競技、初めて、あるいは4年ぶりのカーリングTV観戦のとなる方も多いだろう。

ソチ五輪後も、すべて地上波とはいかないが、日本カーリング選手権はNHKが、どうぎんカーリングクラシックはUHB(北海道文化放送、フジテレビ系列)が、軽井沢国際カーリング選手権はテレビ朝日が、粘り強く中継を続けてくれていたのだが、認知度は高いとはいえない。

カーリングに限らないが、フィギュアスケートの浅田真央や羽生結弦、スキージャンプの高梨沙羅や葛西紀明といった世界のトップを争うスーパースターがいない冬季種目は、五輪が開催される4年ごとのスパンでしか注目を浴びることがない。これが、国民のほぼ全体が良くも悪くも五輪至上主義に染まったニッポンの、冬季競技への興味の持たれ方だろう。

そういうわけで、カーリング中継の放送権を持つNHKの総合、Eテレ、BSをはじめ、すべてのキー局、フジテレビ、テレビ朝日、TBS、日本テレビ、テレビ東京はまずルール、見所からわかりやすく解説をすべく準備しているらしい。

おそらく、カーリングの基礎であるデリケートなアイスの説明から入り、かつ出場選手の横顔を紹介することになるだろう。これについては、事前に選手にアンケートを配って回答を得ているので各局の色が出て来るだろう。比較すると面白いかもしれない。個人的には選挙特番よろしくテレビ東京に期待したい。

ただ、某選手からは「同じことを何枚も書いたので、まとめてほしい」との声も挙がっていた。今後の課題として局と協会の間で極力、選手に負担をかけない方法を相談してほしいものだ。

ともかく、今回もピンマイクが拾う氷上の選手の声、ハーフタイムのおやつなど、4年前同様の盛り上がりが見込まれるが、そんななか、今大会の新ネタとして話題になりそうなのは、日本代表のコーチボックスに座るイケメン外国人である。

彼の正体は、ナショナル・コーチのJDこと、ジェームス・ダグラス・リンド(James Douglas Lind)コーチだ。

No image

2016年、どうぎんクラシックでのJD

JDは1985年カナダ・カルガリー生まれ。幼少の頃からカーラー(カーリングの選手)として国内トップレベルでプレーしてきた。

指導者としては、2007年、CCA(カナダカーリング協会)のナショナルトレーニングセンターの代表強化スタッフ時代にジュニアチームのヘッドコーチとして世界ジュニア選手権制覇を経験している。その後もカナダのジュニアチーム、中国男子代表チームのコーチを歴任するなど、10年を超えるキャリアのなかで多くのトップカーラーを育ててきた。

女子日本代表躍進の原動力

日本には、ジュニアチームの指導で初来日したのをきっかけに、2013年夏に北海道庁が運営する「北海道女子カーリングアカデミー」のヘッドコーチに就任した。

これは、道内のトップカーラー約30人を集め、チームの枠を超えた個人強化を目的とする、3年に渡るプロジェクトだった。参加した小笠原歩や本橋麻里といった日本のトップカーラーが「最新の戦術が学べるので本当にありがたい」と、JDの指導に対して絶賛の声を上げている。

その結果、日本女子代表が、2014年ソチ五輪出場と5位入賞、そして2016年の世界選手権では銀メダルを獲得する原動力のひとつとなった。

これらの結果を受けてJCA(日本カーリング協会)が、カーリングアカデミーと並行してナショナル・コーチのオファーを出し、JDがこれを受諾。アカデミーは2016年で終了したが、JDはナショナル・コーチとして現在も日本カーリングの強化に尽力している。

1分間の「タイムアウト」こそJDの出番

その人柄については、誰に聞いても「ナイスガイ」と帰ってくる好漢である。われわれ、記者陣にも分け隔てなく接してくれて、必ず最後には「See you soon」と笑顔で握手をしてくれる。

生活のベースはカナダだが、シーズンの半分近くを日本で過ごすため、箸の使いも上手く、寿司や天ぷら、特にラーメンが大好きらしい。平昌五輪直前の男子代表の軽井沢合宿では選手と共にレア気味の焼き鳥を旨そうに頬張っていたそうだ。

肝心のコーチングについても、選手の信頼は厚い。

「感謝しかない。いつもピーチクパーチク言う私たち一人一人をしっかり見てくれる。彼がくれた『自分自身を信じて欲しい』という言葉を胸にカーリングしています」(LS北見・吉田知那美)

「一歩引いたところで、それでもしっかりとチーム全体を見ていて、効果的な意見を複数くれる。カナダ合宿などは彼のサポートがなければ厳しかった」(SC軽井沢クラブ・両角公佑)

両角公佑の言う「サポート」とは、カナダ遠征のアレンジのことだ。大会出場のスケジュールについてはチーム単位で決定と申請を行うが、その間の試合がないウィークデーの練習で使用するホールの手配に苦労するのが通例だ。この遠征では、その手配をJDが一手に引き受けてくれた。

カルガリー市内にある会員制高級総合スポーツ施設のリンクをJDが貸切で抑え、男女代表は思う存分に個人の課題を消化した。その週末の大会では、男女揃っての決勝トーナメント進出を果たし、「時間を無駄にしない充実した合宿が組めた」と誰もが万能なこのコーチへの感謝を口にした。さらに巨大なバスをレンタルして、空港まで女子代表を送迎。タフな雪道のドライバーまでこなす八面六臂の活躍だった。

そのJDが、今回の五輪でもっとも注目を浴びるのは、「タイムアウト」になるだろう。

カーリングではゲーム中に作戦面で迷った際、コーチをアイスに呼ぶ1分間の「タイムアウト」を取ることができる。

男子代表のSC軽井沢クラブの「タイムアウト」では、チーム結成時からのコーチで「もはや家族」とメンバーも公言する〝グレイト・ピジョン〟こと長岡はと美コーチが、メガネを光らせてザーマス感満載に降臨するが、女子代表でこの役割を務めるのはJDである。細身のブラッド・ピットといえば少し大袈裟だろうか、母方がイタリアにルーツがあるらしいこの伊達男が、「タイムアウト」になるとアイスに見参する。

No image

平昌へ飛び立つ直前。空港での取材にも快く答えてくれた

残念ながら2016年に結婚したが、女性がカーリングに興味を持つきっかけになるかもしれない。ぜひテレビでその勇姿を堪能してほしい。

競技の中継中は、ピンチのとき、あるいはショットセレクションが定まらず煮詰まっているときに画面に現れるだろう。局面を変える重要な役割も担うので、彼らの1分間のミーティング「タイムアウト」の内容にも注目だ。

2月19日、彼の母国・強豪カナダと決戦!

来季以降だが、昨シーズンが終わる時点では平昌五輪までの契約だったが、関係者によると五輪後の来季以降も続投の方向で五輪終了後に改めて契約内容の交渉の席に着くようだ。

その一方で、日本カーリング界は彼に依存している部分があることを指摘せざるを得ない。

現段階で彼の続投はベストではあるが、一方で彼の持つノウハウや知識を国内の指導者にフィードバックする動きが十分かといえば、そうとは思えない。いつかは彼も去る日が来る。その日に備えて次の指導者を育てる、あるいは探すことを同時に行っていかなくてはならないだろう。それが次の4年間の大きな課題になってくるはずだ。

JDは2月19日(月)、32歳の誕生日を迎える。この日、女子代表は、早朝9:05から、彼の母国で金メダル候補大本命のカナダと対戦するのだ。

LS北見のメンバーは、愛するJDに最高の誕生日プレゼントを贈ることができるか。番狂わせへの期待はいやが上にも高まる。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

サッカー日本代表カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
カーリング女子日本代表・藤沢五月選手がかわいすぎると話題に
開幕スタメンに大抜擢! Jデビューの藤本寛也、ルーキー“らしからぬ”存在感発揮
カーリング女子日本代表に帯同する、あのイケメン外国人は何者か
混複でカー娘バトル!3月日本選手権で世界切符争うライバルに/カーリング
カーリング女子。マナーを知らぬ韓国ファンが、逆に日本の勝利を呼ぶ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加