プジョーの新型SUV一気乗り! EVもラインナップされて猫足も健在

プジョーの新型SUV一気乗り! EVもラインナップされて猫足も健在

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  • 更新日:2021/05/05
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プジョー「3008 GT HYBRID4」

すっかり春めいた日が続く4月中旬、浅間山を望む奥軽井沢で開催されたプジョーの試乗会に参加してきました。ハンドルを握ったのは、2008、3008、5008という3台のSUV。最新プジョーSUVのオール・ラインナップです。

プジョーの数字の意味 数字で車格や世代を示すのがプジョーの名づけ方

インプレッションの前に、まず車名の説明をしましょう。プジョーは車名に数字を使うのが伝統です。最初の数字は車格を示し、最後の数字は世代を表します。車格が大きくなるほど、世代が新しくなるほど数字が大きくなります。車格で言えば2008の「2」はBセグメントで、日本車でいえばトヨタのヤリスクロス、ホンダのヴェゼル相当。3008の「3」はCセグメントで、トヨタのRAV4やハリアー、ホンダのCR-V。そして5008の「5」はDセグメントで3列シートを備えており、マツダCX-8などがライバルとなります。

また、2008、3008、5008の末尾の数字である「8」は、最新世代であることを示します。そして、真ん中に00を持つ4桁数字がSUVとなっています。逆に208、308と、ゼロひとつが普通のハッチバックやセダンとなります。こうしたプジョー独自のルールを知ってしまえば、車名だけである程度どんなクルマなのか想像できてしまうのです。とても合理的な命名方法ですね。

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プジョー「2008 GT Line」

プジョーというブランド 世界で初めて自動車を量産したメーカー

次に簡単にプジョーというブランドについて説明します。

プジョーのエンブレムはライオンです。ここにプジョーの歴史のひとつがあります。プジョーの創業は古く、自動車生産よりはるか昔から、コーヒーミルなど鉄製品の製造・販売していました。200年も前の1800年代前半にはすでにライオンのマークを使っていたのです。「ライオンのように強い」というアピールだったのでしょう。そして、1800年代末には自動車生産に乗り出し、1890年に初のガソリン・エンジン車“クワドリシクル”を4台作製します。当時の自動車は手作りによる一点ものが常識でしたから、4台も同じモノを作って販売したプジョーは「世界で初めての自動車メーカー」と呼ばれることになったのです。ちなみに、エンジンはドイツのダイムラー製(今のメルセデス・ベンツ)です。ガソリン・エンジン車を発明したのはメルセデス・ベンツでしたが、自動車ビジネスを最初にスタートさせたのがプジョーだったのです。

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プジョー「3008 GT HYBRID4」

プジョーの魅力 デザインの良さとコンサバな実用性の高さ

その後、プジョーのライバルとして、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンといったドイツブランドや、同じフランスのルノーやシトロエンなどが登場します。しかし、プジョーはライバルに負けることなく、いつしかフランスを代表する大メーカーに成長したのです。個人的にプジョーの強みは、歴史的に終始一貫しているところだと考えています。第一にデザインがよかったこと。次に実用的で保守的でもあったことです。世界最先端の技術を売りにする高級車ではなく、デザインが良くて使いやすい大衆車がプジョーの最も得意とするクルマだったのです。

“デザインが良い”という特徴は、今回試乗した3台のSUVを見れば、誰もが納得できるのではないでしょうか。3台とも、彫刻的というかグラマラスで躍動的な印象を受けます。躍動感は、左右のライトからバンパーに向かって伸びるLEDデイタイム・ランニングライトの存在も効いています。“セイバー(サーベル)”と呼ばれる、このLEDライトがあることで、ライオンのマークを掲げる3台のSUVは、大型のネコ科の動物を彷彿とさせます。また、ディテールは違っているのですが、3台の印象は非常に似通っており、一瞬どれもが同じクルマのように見えてしまいます。強烈で一貫したデザイン・コンセプトのもとに生まれたということであり、それだけデザインの力が強いことを意味します。

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新しくなったプジョーのロゴ

3台の印象が似ているのはインテリアも同様です。実際のデザインは3008と5008が同じで、2008が異なりますが、統一されたコンセプトを感じます。ステアリングが小さく、その上から覗き込むようにメーターがあるところや、全体の色合い、シフトノブやスイッチ類などのテイストが統一されているのです。全体として、モダンで身体を包み込むような雰囲気です。3台ともシートは、ホールド性が高くて、手触りが柔らかく、座り心地に優れます。シートのデキの良さは昔からフランス車の伝統であり、最新のプジョーの3台のSUVも、そうした歴史をしっかりと受け継いでいます。

三者三様の個性を持つ3台のプジョーSUV

続いて3台のアウトラインを解説します。3008と5008は、実は兄弟車と呼べる関係です。どちらも、Cセグメントのハッチバックである308をベースにSUVとしたモデルです。3008は2列シートの5人乗りであるのに対して、5008は3列シートの7人乗り。2008は、さらに小さい208をSUV化したモデル。3008と5008は2016年にデビューして、2021年1月にマイナーチェンジを行ないました。2008は2020年9月に発売されています。2008はエンジン車だけでなく、EV(電気自動車)版のe-2008も同時に発売されているのが特徴です。また、3008は2021年1月のマイナーチェンジでシリーズ初のプラグインハイブリッド4WDグレード、3008 GT HYBRID4が追加されているのがトピックです。

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プジョー「5008 GT BlueHDi」

ちなみに3モデルとも、衝突被害軽減自動ブレーキやステアリング・アシスト、ACC(アクティブ・クルーズコントロール)などの先進運転支援システムが、しっかりと用意されています。

3008の走り プラグインハイブリッド化でパワーと4WDの安心を得た3008

試乗インプレッションで最初に紹介したいのが、今回のマイナーチェンジで追加された「3008 GT HYBRID4」です。このモデルは3008シリーズ初となるプラグインハイブリッドで、しかも4WDです。現在のプジョーのSUVはFF(前輪駆動)を基本とします。それに対して、3008 GT HYBRID4は前輪だけでなく、後輪にもモーターを配置することで4WDとしています。前輪は最高出力200馬力の1.6リッター4気筒ガソリン・エンジンと110馬力のモーター、後輪は112馬力のモーターを搭載します。システム総合出力300馬力/最大トルク520Nm。13.2kWhのリチウムイオン電池を搭載して、最高64㎞(WLTCモード)のEV走行を可能とします。

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最初に舗装路を走らせたのですが、システム最高出力300馬力&最大トルク520Nmは伊達ではありませんでした。とんでもなく速いのです。CセグメントのSUVとしては、必要十分以上の動力性能です。でも、足回りが固められているわけではないので、ワインディングを飛ばすようなキャラクターではありません。そのかわりに段差を乗り越えるときのショックは少なく、ロールも自然で穏やか。乗り心地の良さが前面に出ています。高速道路を快適に移動できるのが狙いでしょう。トランスミッションのトルクコンバーター部にモーターを換装し、クラッチでコントロールするアイシン製ハイブリッドシステム「E-EAT8」のスムーズさも印象的でした。エンジンの稼働音は小さく、パワートレインがあまり主張しないというキャラクターです。

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また、1輪が浮いてしまうようなタイトコーナーもある急峻な坂道を走らせても、非常に安定しています。急坂を一定速度でゆっくり下る、ヒルディセントコントロールもありがたい装備です。キャンプやスキーなど、足元の悪い場所に安心して向かうことができるのが魅力です。

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デザインの良い実用的なSUVという土台に、PHVのパワフルさと4WDの安心感をプラスしたのが3008 GT HYBRID4でした。価格は565万円。1.6リッターのガソリン車と2リッターのディーゼル車の価格は397万6000円~473万6000円。エンジン車より100~150万円ほども高いのですが、内容を考えると価格は妥当なのではないでしょうか。それほど3008 GT HYBRID4の走りは満足感が高かったのです。

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5008の走り 3列シートのファミリーカーらしい、5008の安心の走り

続いては3列シートの5008。試乗は最高出力177馬力/最大トルク400Nmの2リッター直列4気筒ディーゼル・エンジン車の5008 GT BlueHDi。8速ATのFFモデルです。価格は5008シリーズで最も高い501万6000円です。走らせてみれば、力感は2リッターのディーゼル・エンジンとしては及第点。速いわけではありませんが不足もありません。エンジン音は控えめで、存在感の主張も小さなもの。また、コーナーのロールはゆっくりとしており、まったり&のんびりという言葉がお似合いです。3列シートに家族と荷物を満載して気分よく旅するのが狙いなのでしょう。同乗者を不安にさせない、落ち着いた動きに終始します。かつて“プジョーの猫足”と呼ばれたしなやかさは、最新の5008からも感じとることができました。

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また、ウッドチップを敷き詰めてデコボコ道として疑似オフロードを走らせても、FFの5008でも意外とすんなりとクリアできます。トラクションとブレーキを電子制御することで、高い走破性を実現するアドバンスドグリップコントロールがよい仕事をしているのです。アクセル操作にあまり気を使わなくても、スタックなしでコースをクリアできました。

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人と荷物をたくさん積むファミリーカーと、デザインや乗り心地の良さなどのプジョーの魅力が融合するSUV。それが5008でした。

2008の走り 一体感ある走りが楽しい2008

最後に試乗したのが2008です。最高出力130馬力/最大トルク230Nmの1.2リッター3気筒ガソリン・ターボ・エンジンに8速ATを組み合わせるFF車です。試乗車は上級グレードの2008 GT Lineで価格は338万円。エントリーの2008アリュールは299万円です。

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乗り込んですぐに気づくのが「3008/5008と比べると、ひとまわり室内が狭い。そして質感も全体にランク下」であることです。デザインのテイストは同じなのですが、やはり車格の違いは明白です。外で見ると、上位2モデルとの差はあまり感じませんが、乗ってみるとやはり2008が小さいということがよくわかります。全長4302㎜のBセグメントの小さなSUVというわけです。また、パワー感も上位2台ほどあるわけもありません。

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では2008がダメかというと、それもまた違います。速いわけではいのですが、クルマが小さいということで一体感があって、運転が楽しいんですね。コーナーに向かってブレーキングをして、ハンドルを切り込んでいく。コーナーを抜けた後にハンドルを戻しつつ、アクセルを踏んで加速してゆく。そうした、動きひとつひとつが思いのままで、運転する実感、走らせる楽しさがあります。3気筒のエンジン・サウンドは、けっして気持ちよいとは言えませんが、8速ATとのマッチングもよいのでしょう。欲しいときに、欲しいだけの加速力を提供する、扱いやすさがあります。

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また、足回りも腰の強さを感じさせつつも、つっぱらない、しなやかなもの。まさに“プジョーの猫足”です。こうした小さくて運転の楽しいクルマこそ、プジョーの得意とするところでしょう。走りを楽しみたいというのであれば、3モデル中、最もオススメとなります。

【まとめ】プジョーの伝統と魅力を端々に感じる試乗

フランスを代表する自動車メーカーであり、古い歴史を誇るプジョー。いつの時代も、優れたデザインを持つ実用的なクルマで人気を集めてきました。その最新のSUVである、2008、3008、5008を試乗してみれば、やはりプジョーの伝統の通り、素晴らしいデザイン、実用性の高さが備わっていました。そして2008はプジョーの走りの楽しさ、3008 GT HYBRID4は先進さと快適さ、5008にはファミリーカーとしての高い実力を見ることができました。

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輸入車といえばドイツ車ばかりがクローズアップされがちですが、フランス車という別の魅力ある選択肢も存在します。輸入車購入を考えているのであれば、プジョーのようなフランス車を試してみるのもよいのではないでしょうか。ドイツ車とは違う、楽しみを見つけることができるはずです。

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筆者紹介:鈴木ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。

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鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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