近未来テクノロジー見聞録 第66回 人間型ロボットは、基礎研究から高度な技術開発や商用化フェーズへ!

近未来テクノロジー見聞録 第66回 人間型ロボットは、基礎研究から高度な技術開発や商用化フェーズへ!

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/11/25
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大阪大学教授でもあり、ATR(国際電気通信基礎技術研究所)石黒浩特別研究所 客員所長など数々の役職に就かれているロボット学者の石黒浩氏。

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2021年9月7日、石黒教授はAVITA株式会社を立ち上げた。

石黒教授のロボット研究は、これまで大学などの研究機関での基礎研究などに注力されてきたが、会社の設立により資金を調達しさらに高度な技術開発、そして商用化につなげていく計画がある、そう理解できる。

今回は、そんな石黒浩教授が手掛けられたジェミノイドやAVITAなど話題について紹介し、人間型ロボットの奥深さを伝えられたらと思う。
石黒浩教授のロボット研究と目指す世界観とは?

石黒浩教授の目指す世界は、どのようなものなのだろうか。ATR石黒浩特別研究所のホームページには、「常に“人とは何か”と人の本質を問いながら、人に近いロボットを用いた新たな人間調和型のコミュニケーションメディアの実現を目指します」とある。

また、大阪大学の石黒浩研究室のホームページには「未来の人間社会を支える知的システムの実現を目指し、センサ工学・ロボット工学・人工知能・認知科学を基礎とし、覚情報基盤・知能ロボット情報基盤の研究開発、そしてこれらに基づき、人間と豊かに関わる人間型ロボットを創成する研究に取り組んでいます」とある。

キーワードをピックアップすると、人間と豊かに関わることができる人間型ロボットを開発することは、“人とは何か”ということを明らかにしていくこと、そのように理解できる。とても奥が深い。

石黒浩教授のロボット研究は、実に多い。ロボットとカテゴライズされているのは、ERICA(エリカ)、CommU(コミュー)、ibuki(イブキ)、ジェミノイド、テレノイド、エルフォイド、ハグビーなどほかにもあるが、これだけたくさんのロボットが挙げられる。

すべてを紹介することは難しいが、ATRで開発された「ジェミノイドHI-2」を紹介したい。

ジェミノイドHI-2は石黒浩教授にそっくりな遠隔操作型アンドロイド。椅子に座っている状態で高さは140cm、全体で50個(頭部13個、胴体15個、手足22個)の自由度を持っており、人のさまざまな振る舞いを再現する事が出来る。

頭部はプラスチック、骨格は金属、皮膚はシリコンでできている。石黒浩教授とジェミノイドHI-2がシンクロしながら挨拶するシーンや別の人に頬をいじられ、「What are you doing?」、「Don't touch!」というシーンの動画も見たことがある。正直、リアルさに驚く。
AVITAが目指す世界は?

2021年9月7日に石黒浩教授が立ち上げた会社、AVITAのミッションは、アバターを用いた実世界の仮想化と多重化を意味する「Virtualize the Real World」。

アバター技術によってヒトの可能性を拡張するという。ヒトは、複数の自分がいるという。例えば、働く自分、家庭の自分、友達との自分などだ。

これをアバターを使って、自分を実世界でさらに多様に拡張することで、さまざまな状況に応じた活動を自由にすることができるという。

AVITAでは、すでに2つのプロジェクトが稼働しているようだ。

1つ目は、パソナグループと協業で立ち上げた「アバター人材雇用創出プロジェクト」。

アバターを活用したサービスを推進する人材を育成する。年内にもパソナグループが淡路島の地方創生に向けて展開する各種飲食・宿泊・観光施設などの総合問合せ・予約窓口「淡路コンシェルジュアバター」のサービスを、AVITAと共に開発したアバターが提供する。そして、「淡路アバターセンター」を開設し、オペレーター人材の育成をスタートさせる。

2つ目は、アバター社会実装プロジェクト。

このプロジェクトの第1弾として、大阪のTSUTAYA EBISUBASHIで期間限定でアバターが接客を行うポップアップストアをオープン。

このアバター接客とは、AVITAが開発をした3DCGアバターとアバターでのリモートワークに特化した「アバターコミュニケーションツール」を活用する。

山葵音楽学校プロジェクトがプロデュースする3DCGアバターを等身大で表示可能なリアルライブモニターシステム「Monolis(モノリス)」に投影し、「アバター人材雇用創出プロジェクト」で協業しているパソナグループの「淡路アバターセンター」のスタッフがその3DCGアバターを淡路島からリモートで操作することで接客を行うという。

いかがだっただろうか。

石黒浩教授は次のように述べている。
「我々は情報技術とロボット技術の融合を先導し、常に新しい科学技術を提案しなければならない。この新しい科学・技術の創成には、芸術や哲学が重要である。本来、芸術に再現性を持たせたのが技術であり、新しい技術は芸術的センスによって生まれる。そして、その芸術的活動を支えるのが哲学的考察である」石黒浩教授のすごさを改めて感じられる言葉だ。

齊田興哉 さいだともや 2004年東北大学大学院工学研究科を修了、工学博士。同年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社し、2機の人工衛星プロジェクトチームに配属。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。現在は、コンサルティングと情報発信に注力。書籍に「宇宙ビジネス第三の波」、「図解入門業界研究 最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」など。テレビ、新聞、Webサイト、セミナー・講演も多数。 この著者の記事一覧はこちら

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