話題のAmazonオリジナルドラマ『モダンラブ・東京』を本家アメリカ版と比較したら5つの発見が

話題のAmazonオリジナルドラマ『モダンラブ・東京』を本家アメリカ版と比較したら5つの発見が

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  • 更新日:2022/11/25
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Amazon Original『モダンラブ・東京』は、アメリカで人気を博している『モダンラブ』の日本版。アメリカ版『モダンラブ』との違いとその魅力をご紹介します。

公開作の中から「これだけは見てほしい!」というイチオシ作品を紹介する【映画ライター斎藤香のシネマレビュー】。映画ライター歴20年以上の筆者が、今見るべき注目作品の見どころをギュギュッとまとめて、独自の視点で解説します。

今回はAmazon Originalの『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形』をピックアップ。本作は2019年にアメリカで制作された同名作品の日本版です。オリジナルの『モダンラブ』と比較しながら、その魅力をご紹介します。

『モダンラブ~今日もNYの街角で~』とは?

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(C)Amazon Studios

『モダンラブ~今日もNYの街角で~』は、ニューヨーク・タイムズ紙の「Modern Love」という人気コラムに掲載された実話をもとにしたドラマシリーズ。シーズン1、シーズン2が制作されており、NYが舞台の1話30分の短編がそれぞれ8話配信されています。

制作総指揮を務めるのは、『ONCE ダブリンの街角で』や『はじまりのうた』の人気監督ジョン・カーニーで、シーズン1で4エピソード、シーズン2で3エピソードの監督も手がけています。

個人的にジョン・カーニーの映画が大好きなので、カーニー監督が『モダンラブ』を手がけているのなら「絶対に面白いに違いない!」と見る前から確信していました。

アン・ハサウェイ、ソフィア・ブテラ、デヴ・パテルなど、スター出演の楽しさもありますが、フツーの人々のリアルなエピソードをもとにしているので、いくつかのエピソードに大共感したり、泣いたり、もう感情がアップダウンしっぱなしでした。

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ニューヨークで一人で生きる苦しみをアン・ハサウェイが熱演。(C)Amazon Studios

また、登場人物の年代や人種、生活環境、職業などはさまざまで、夫婦の問題に切り込んだり、代理母出産を求めるカップルがいたり、うつ病に苦しみ、愛を失ってしまう女性がいたり……。

コメディータッチから号泣ドラマまで幅広く、それぞれの人生を覗き見しているような気持ちになるのです。

『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』全7エピソードレビュー

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(C)2022 Amazon Content Services LLC All Right Reserved

『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』は、『モダンラブ~NYの街角から~』の日本版として、2022年10月21日より世界配信がスタートしました。

本家が良いので、その流れに乗って頑張っていただきたいという思いと、「大丈夫か?」という不安、両方の思いを抱きながら鑑賞しましたが、総じて良かったです。では一話ずつ簡単にコメントしていきます。

※以下の内容はネタバレを含みますのでご注意ください。

エピソード1「息子の授乳、そしていくつかの不満」

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ワーキングマザーの真莉(水川あさみ)は、パートナーの彩(前田敦子)と子育ての真っ最中。母乳育児を貫く真莉は、どこへ行くにも搾乳器を手放せない。しかし、実家の母の言葉にかたくなな心が解けていく……という物語。

母乳のストックばかりを気にしている真莉の完璧主義っぷりがすごい。ただ、こだわりが強いあまりに視野が狭くなっていて、そんな彼女の精神状態がうまく描かれていました。働くママは共感度高い作品です。

監督・脚本:平栁敦子

エピソード2「私が既婚者と寝て学んだ事」

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加奈(榮倉奈々)はセックスレスが原因で圭介(柄本佑)と離婚。マッチングアプリで知り合った既婚男性と次々に関係を結びながら「奥さんがいるのになぜ私と寝るのか」と、相手に問いただします。

夫が自分と寝ない理由を、既婚者の相手に問うことで答えを導きたい加奈。元夫への思いが彷徨っていて、好きなのに別れてしまった後悔や刺激的なタイトルの意味も理解できる。けれど、個人的には、そこまでしなくてもよくないか?というのが正直な感想です。

監督:廣木隆一 脚本:黒沢久子

エピソード3「最悪のデートが最高になったわけ」

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63歳、離婚してシングルの奈津子(伊藤蘭)は親友に促されマッチングアプリで知り合った男性・耕介(石橋凌)とデート。人柄のいい彼と話が弾み、若い頃の最悪デートの思い出を語る奈津子に耕介が語った真実とは……。

なんとなく先は読めたけど、熟年ラブコメが楽しかった! 同じ店にやはりマッチングアプリで出会ったと思われる若いカップル(三浦透子と藤原季節)がいて、この二人の会話の噛み合わなさに笑いが止まりませんでした。

それがきっかけで、奈津子がデートの黒歴史を思い出すという展開も分かりやすくて良かったです。

監督:山下敦弘 脚本:龍居由佳里

エピソード4「冬眠中のボクの妻」

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職場の人間関係からうつを発症した麻衣(夏帆)を献身的に支える夫の健吾(成田凌)の物語。家の押し入れに引きこもる妻を決して見放さない愛情深い夫・健吾の優しさが素晴らしすぎる!

うつ病の描写や夫婦の会話がユニークなので悲壮感がないのが良く、一種のファンタジーだと捉えました。麻衣にモラハラをしていた先輩に対する健吾の復讐も子どものイタズラみたいだし、阿佐ヶ谷姉妹もいい仕事! 美術も衣装も何もかもがかわいく心温かくなるドラマです。

監督・脚本:荻上直子

エピソード5「彼を信じていた十三日間」

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TVディレクターとして忙しく働く桃子(永作博美)は、恋愛にも結婚にも縁がなかったけれど、ある日、洋二(ユースケ・サンタマリア)と出逢い、意気投合。しかし、洋二は桃子に隠していることがありました。

全エピソードの中、一番ミステリアスで奇妙な後味の物語。ユースケのどこか不穏な雰囲気にずっと背筋がゾクゾクしっぱなし。リアルか幻想か、答えをこちらに投げかけてくるし、桃子が幸せなのか不幸なのかもわからない。不安が魅力の作品でした。

監督・脚本:黒沢清

エピソード6「彼は私に最後のレッスンをとっておいた」

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世界中の生徒に英会話のオンラインレッスンをしているエマ(ナオミ・スコット)。生徒のひとり、大学生・マモル(池松壮亮)と惹かれ合い、彼女は東京行きを決意するのです。

恋の始まりや初めて会う時のドキドキが描かれ、国は違っても恋のプロセスは変わらないなと実感。『アラジン』でジャスミンを演じたナオミと池松壮亮の共演を見られるなんて! ワールドワイドな『モダンラブ』らしいエピソードでした。

監督・脚本:平栁敦子

エピソード7「彼が奏でるふたりの調べ」(アニメーション)

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仕事も私生活もイマイチな珠実(声:黒木華)は、ある曲を聴いて高校時代の自分を思い出します。ピアノが上手な凛(声:窪田正孝)と仲良くなりますが、あることをきっかけに彼を傷つけてしまうのです。苦い思い出が時を経て新しい出会いに変わっていくという希望が見える物語。

ストーリーはシンプルですが、ヒロインの心情がアニメーションの絵で見事に表現されていてうまいなあと思いました。クラスメイトに馴染めない、学校に居場所がなかった珠美の気持ちがとても分かる。そういう時期を体験したことのある人はきっと刺さるはず。

監督:山田尚子 脚本:荻上直子

『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』の良い点、イマイチな点

『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』のエピソードも本家同様に、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムをベースに日本向けに脚色。各エピソードを実力派の監督たちが手がけています。でも、見ていて「あれ?」と思うこともありました……。

そこで、オリジナルの『モダンラブ~今日もNYの街角で~』と比較して、筆者が感じたことをまとめてみようと思います。

良かったこと1:アニメーション作品がある

エピソードの一つにアニメーション作品があるところがオリジナルとの大きな違い。これは、多くの優秀なアニメーション作家を抱え、新しく良質な作品を世界に発信している日本ならでは。シーズン2を制作することになったら、ぜひまたアニメを入れていただきたいです。

良かったこと2:ハリウッドで活躍する俳優の出演!

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エピソード6「彼は私に最後のレッスンをとっておいた」の主演、ナオミ・スコットは、ディズニー映画『アラジン』のジャスミンも務めた人気女優。

国内の俳優だけでなく、海外の人気俳優の出演は、このシリーズがとてもスペシャルなものであることを印象付けているし、意外性もあって良かったです。

良かったこと3:監督の人選が〇

『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』は俳優のキャスティングが良いのはもちろんですが、監督の人選も良かったですね。

一筋縄では行かないオリジナリティある作品を作り続けてきたベテランの黒沢清監督や、『けいおん』『聲の形』などの作品で、アニメーション界の評価が高い山田尚子監督のような2000年以降に頭角を現してきた若手監督も。

海外の監督と日本人俳優の作品なども今後見たいと思います。

惜しかったこと1:マッチングアプリの出会いが多い

なぜかマッチングアプリでの出会いが多い印象がありました。エピソード2、3、5も似たようなストーリーです。オリジナル作品は、初めましてもあれば、すでに知り合いだったり、意外な出会いをしたりとバリエーションが豊かだったので、どうしても比べてしまいました。

惜しかったこと2:東京である意味は?

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舞台は東京とはいえ、東京だからこそ生まれた話と感じなかったのは、元がニューヨーク・タイムズ紙のコラムだからでしょうか? 東京にこだわって見る必要はなかったのかなとか考えてしまいました。

オリジナルは人種のるつぼ「NY」らしく、セレブからホームレスまで多様性に満ちて、NYで生きる人々の人生を垣間見せてくれたので、シーズン2では東京らしさを期待します。

アメリカと日本では、生活環境と習慣、人間関係の築き方や交流の仕方、愛情表現など、違いは多いです。ニューヨーク・タイムズ紙のコラムを生かしながら、日本に合わせて脚色し、制作するのは困難だったと思います。ゆえに、このドラマは挑戦作でもあるのです。

個人的には、エピソード3~6が好きでした。7つのエピソードがあるので、あなたの琴線に触れるドラマがきっとあるはず。

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(文:斎藤 香(映画ガイド))

斎藤 香(映画ガイド)

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