【欧州遠征を終えた田中碧の現在地(1)】「自分自身に課していきたい」トルコ戦で感じた、足りない部分。日本代表主将を務めるなど森保監督からの絶大なる信頼を受けながら

【欧州遠征を終えた田中碧の現在地(1)】「自分自身に課していきたい」トルコ戦で感じた、足りない部分。日本代表主将を務めるなど森保監督からの絶大なる信頼を受けながら

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  • 更新日:2023/09/20
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トルコ戦ではキャプテンマークを巻いてプレーしたサッカー日本代表の田中碧 撮影:中地拓也

ドイツに4-1、トルコに4-2と欧州の強豪国に派手な2連勝を挙げた9月の日本代表シリーズから1週間。各選手たちは日常の戦いの場に戻っている。

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ドイツ戦(9日=ヴォルフスブルク)のロスタイムにダメ押しとなる4点目を叩き出し、トルコ戦(12日=ゲンク)ではキャプテンマークを巻いてチームを統率した田中碧(デュッセルドルフ)にとって、この2連戦は半年ぶりの代表活動だった。第2次・森保ジャパン初陣となった3月のウルグアイ(東京・国立)・コロンビア(吹田)2連戦後の4月に右ひざ内側じん帯断裂の重傷を負い、公式戦から遠ざかっていたからだ。

「結構、久々のケガだったんで、ちゃんと直そうと。そのままシーズンが終わっちゃったんで、痛みなく試合ができるように最大限努力して、今季開幕(7月29日のヘルタ・ベルリン戦)まで持っていった感じです。最初の方はイージーミスもあったり、試合の入りとかも難しい部分がありましたけど、もう慣れてきたかな」と彼は本来の状態に戻ったことをアピールしていた。

トルコ戦では確かにポジティブな印象を残したシーンもいくつかあった。例えば、前半28分の中村敬斗(スタッド・ランス)の2点目につながったボール奪取。右サイドバック(SB)毎熊晟矢(C大阪)の折り返しを相手DFがクリア。中盤につなごうとしたところで田中碧がしっかりと体を入れ、マイボールにしたのだ。これを中村敬斗がキープしきれず、再び相手にこぼれたところで伊藤敦樹(浦和)が再びボールを奪取。久保建英(レアル・ソシエダ)のミドルシュートにつながり、中村がこぼれ球を押し込む格好になった。

「守備に関しては、前半は切り替えが早かったし、奪えるところでも奪えていた。あれは最低限。戦うところ、奪い切るところはより意識していかないといけない」と本人も手ごたえをつかみながらのプレーだったという。

■「自分自身に課していきたい」

しかしながら、後半になって相手がハカン・チャルハノールインテル)らを投入し、ギアを上げてくると、日本の中盤は劣勢に立たされる。田中碧自身もクラブの直近2試合を欠場していた影響もあるのか、体力的にかなり厳しくなり、球際や寄せで負ける場面が散見されるようになった。

その悪い流れを後半18分に出てきた遠藤航リバプール)がしっかりとコントロールし、最終的には伊東純也(スタッド・ランス)のダメ押しPKによって勝ち切れたが、後半15~20分間にキャプテン・田中がゲーム展開を修正しきれなかったことは課題と言っていい。

「僕自身も強度が落ちて、球際で負けたり奪われたりした。タフな相手に90分通して奪い切れることはボランチとして必要不可欠。ボールを動かすことよりも重要になってくる。そこは自分自身に課していきたいと思います」と彼は久しぶりの代表スタメン復帰戦で新たな決意を固めた様子だった。

実際、遠藤と守田英正スポルティング・リスボン)の「鉄板コンビ」を超えたいと思うのなら、ベースの部分を引き上げることは絶対に必要だ。田中碧が2人を上回れるとしたら、パスを出し入れしながらゲームを作る戦術眼と得点力だろう。そのよさは生かしつつ、守備の部分で1対1で負けない強さ、ボール奪取力を高めることが必須。森保一監督はそれができると考えているからこそ、トルコ戦でキャプテンマークを託したはず。9月10日に25歳になった男の新生ジャパンでの地盤固めはここからが本番だ。

(取材・文/元川悦子)

(後編へ続く)

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