練習中の「短い休憩」が脳の記憶定着を促して新たなスキルを習得する役に立つ

練習中の「短い休憩」が脳の記憶定着を促して新たなスキルを習得する役に立つ

  • GIGAZINE
  • 更新日:2021/06/09
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新たなスキルを身に着けたりする時は常に全力で勉強や練習を続けるのではなく、適度に休憩を挟んだ方が効率が上がるとされています。アメリカ国立衛生研究所(NIH)が行った新たな研究では、練習中の短い休憩が記憶を強化し、その後のパフォーマンスを向上させることが明らかとなりました。

Consolidation of human skill linked to waking hippocampo-neocortical replay: Cell Reports

https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(21)00539-8

Study shows how taking short breaks may help our brains learn new skills | National Institutes of Health (NIH)

https://www.nih.gov/news-events/news-releases/study-shows-how-taking-short-breaks-may-help-our-brains-learn-new-skills

NIHの研究チームは2019年に行った実験で、27人の健康な被験者に「コンピューターのスクリーン上に表示される一連の数字を10秒間連続で可能な限り入力し、その後は10秒間の休憩を挟む」というルーチンを35回繰り返させました。この際、研究チームは高精度なスキャン技術を用いて、脳の電気的活動が作り出す磁場である脳磁図を測定しました。

実験の結果、被験者が数字を入力する速度は最初の数回で飛躍的に上昇し、11回目の試行移行は成長がほぼ横ばいになることが判明。そして興味深いことに、被験者の脳波に見られる変化は練習中ではなく休憩中に起きており、「被験者のスキルはタイピング中ではなく休憩中に向上している」こともわかりました。タスクの間に挟んだ休憩で得られるスキル向上度は、一般的に記憶の定着に役立つとされる一晩の睡眠を挟んだ際のスキル向上度を上回ることもわかったとのこと。

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新たなスキルを習得するには「短い休憩」を取ることが役に立つ可能性がある - GIGAZINE

前回の研究で判明した記憶の強化メカニズムを解明すべく、NIHの研究チームは33人の被験者を対象に同様の実験を行い、脳磁図を記録しながら数字の入力と短い休憩を繰り返す作業を行わせました。論文の筆頭著者であるイーサン・バック氏は、「私たちは覚醒下での休息で見られる記憶強化のメカニズムを探りたいと考えました。いくつかの記憶は神経活動の再生に依存していると考えられているので、この考えを手続き型スキル学習で試してみることにしたのです」と述べています。

新たに開発した専用のコンピュータープログラムでタイピング中の脳磁図を解析したところ、実際のタイピング中に見られた神経活動の約20倍高速なバージョンの神経活動が、タスク間の休憩中に再生されていることが判明しました。特に、スキルの向上が著しい最初の11回のルーチンにおいては、休憩時間中に見られる神経活動の再生頻度がそれ以後より2~3倍も多かったそうです。

また、休憩時にタイピング中の神経活動が再生される頻度が多いほど、その後のパフォーマンスが向上するという関係も発見されました。バック氏は、「脳は覚醒状態で休息している間に、新しいスキルの習得に必要な記憶をまとめていると考えられます」と述べています。

研究チームのレオナルド・コーエン氏は、「今回の結果は、覚醒状態での休息が新しいスキルの習得において、練習と同じくらい重要な役割を果たしているという考えを裏付けるものです。覚醒時の休息は、脳が練習した内容の記憶を圧縮し、定着させる期間であると考えられます。この神経再生の役割を理解することは、私たちが新しいスキルを学ぶ方法を形作るだけでなく、患者が脳卒中などの神経損傷後に失ったスキルを回復させる上でも役立つ可能性があります」と主張しました。

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