首をポキポキ...は危険!?「認知症」の発症リスクを上げる習慣、予防につながる習慣【医師が解説】

首をポキポキ...は危険!?「認知症」の発症リスクを上げる習慣、予防につながる習慣【医師が解説】

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  • 更新日:2022/08/09
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認知症を予防するには、どうすればよいのでしょうか? 認知症にはさまざまなタイプがありますが、本稿では、患者の割合が多い「アルツハイマー病型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」を取り上げます。認知症のタイプ別に、発症リスクを上げてしまう行動や習慣、予防につながる生活習慣を見ていきましょう。医療法人いくしま医院院長・幾嶋泰郎医師が解説します。

脳血管障害が引き金となる「血管性認知症」

脳血管障害を発症したら、全員が認知症になるわけではありませんが、発生した部位によっては後遺症として認知症になってしまうことがあります。高血圧や高脂血症、高コレステロール血症は、動脈硬化を促進し、脳卒中などを原因とする脳血管障害を招く危険性があります。脳血管障害には脳出血と脳梗塞があります。

血管性認知症を防ぐには…「脳梗塞」のポイント

■ストレスは大敵!ストレスの対処法を知りましょう

中高年者では高血圧・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症といった生活習慣病や、喫煙習慣、飲酒習慣は、動脈硬化や血栓の危険因子になります。これらの生活習慣病はいずれもストレスと関連しており、心配事や思い通りにいかないことなどをくよくよ考えすぎたり、正義感が強すぎたり、理想が高すぎたりすると、現実とのギャップでそれが怒りになって、血圧、コレステロール値、血糖値、尿酸値が上昇するようです。精神状態が穏やかでない生き方は病気を引き起こすのですね。

「怒る」の反対は「許す」です。他人を責めたりせず、他人を許すことを覚えて、感謝しながら生きることは自分自身をいたわることになるのですね。喫煙や飲酒も、血管を傷害する因子ですが、どんなときにタバコを吸いたくなるのか、どういう状況で飲酒しているのか、きちんと自分と向き合って、ストレスをストレスにしない考えを身に着ける必要があります。

生活習慣病や喫煙、飲酒癖を改善するには精神療法が必須になってくると思います。食事療法や運動療法をスムーズに行うためにも、アンガーマネージメントやマインドフルネスといった行動療法が必要になってきています。

また、心房細動という不整脈は血栓ができやすいことで知られています。若年性脳梗塞は、動脈硬化以外のさまざまな原因で引き起こされます。その典型ともいえるのが、抗リン脂質抗体症候群や奇異性脳塞栓症、もやもや病などです。

どれもあまり聞きなれない病名でしょうが、いずれも血栓ができやすくなる病気です。抗リン脂質抗体症候群は不妊症や何度も流産を繰り返す不育症で発見されることがあります。奇異性脳塞栓症は、下肢などにできる深部静脈血栓症(DVT)、すなわち静脈内で発生した血栓が、静脈を移動して最終的に脳動脈に到達して発症する脳梗塞のことをいいます。

DVTはエコノミークラス症候群で知られるようになりました。長時間同じ姿勢でいるとき、静脈内の血流が低下して、血が固まりやすくなり、血栓が生じることがあります。長時間のフライトや地震や水害などの避難先で、何日も車中泊を繰り返している場合にも問題視されました。

■水分不足に要注意!外出前や入浴前は「コップ1杯の水」を

炎天下やサウナ、激しい運動などで、血液中の水分が奪われるときも脳梗塞が発症しやすくなります。高齢者ではのどの渇きを訴えないこともあり、また排尿が億劫で我慢するような人は、無意識に水を飲むことを制限したりする傾向にあるので、周りの人が気にかけてあげる必要があります。2時間に1回排尿していれば、ある程度水分は取れていると考えられます。外出や入浴の前にコップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。

一時的に緊張して血圧が高くなることはありますが、これを高血圧だと思って、降圧剤を服用していると、通常の血圧が逆に下がりすぎて、脳の血液循環が悪くなって脳梗塞になる場合があります。ちょっとでも血圧が高いと血圧を下げる薬を飲むといった心配しすぎの人は要注意です。

血管性認知症を防ぐには…「脳出血」のポイント

■激しい運動、トイレでの「いきみ」、首をポキポキ…などに要注意

中高年の脳卒中では、高血圧、動脈硬化などが引き金になることが多いですが、若年性の脳出血においては、脳静脈がとぐろ状になっている脳静脈奇形や、血管の塊ができる海綿状血管腫、脳動脈が詰まって細い血管がたくさん生じる「もやもや病」など、生まれつきの要因がある場合が多いです。これらは血管がもろいため、激しい運動をする、トイレでいきむなど、血圧が上がる行動をきっかけに発症しやすくなります。

脳梗塞やくも膜下出血につながるものとして注目されるのが、脳動脈解離(のうどうみゃくかいり)です。脳動脈の膜が割けて膜内に血液が流れ込み、血管が圧迫され、血流が滞ったり動脈瘤ができたりします。整体やゴルフ、野球など、急に首をひねる動きでも誘発されますが、首をポキポキ鳴らすなどの動きも危険です。首の後ろの動脈がズキンズキンと激しく痛むのが典型的な症状です。早めの対処で脳梗塞などの発症を予防できるので、痛みを感じたときは様子見をせず受診しましょう。

また、脳梗塞を発症した後に、血液をサラサラにする薬を飲んでいて、逆にその薬が効きすぎてしまうと脳出血になる場合があります。

ほかにも、LDLコレステロールと言えば、通称「悪玉コレステロール」として有名ですが、最近、LDLコレステロールが低すぎる場合、脳出血と関連するというデータがあります。「悪玉」だからと言って、低ければ低いほど良いというわけではなさそうです。

認知症の大半を占める「アルツハイマー型認知症」

■根本原因は不明だが…

アルツハイマー型認知症の病気の原因は、現在まだわかっておりません。

危険因子としては、遺伝因子(遺伝要素、家族歴)と環境因子(加齢・高血圧・糖尿病・脂質異常症・食生活・運動不足・喫煙・頭部外傷)に分けることができます。

■バランスの良い食事、適度な運動、脳トレ、社会的なつながりが重要

糖の取り込みは、神経細胞を囲んでその機能を支えているグリア細胞が行っています。このグリア細胞が血液中の糖を取り込んで、その糖を神経細胞に渡します。神経細胞は受け取った糖をエネルギーに変換するという仕事をしています。最近の研究では、アルツハイマー病のある人の脳では、グリア細胞へ働きかけるインスリンが不足してしまい、グリア細胞は血液中の糖を取り込めなくなってしまうことがわかってきました。

血糖値が高くなっていると、脳内でインスリンの働きが悪くなるとともに、アルツハイマー型認知症で脳内に沈着すると言われる「アミロイドβ」が増えやすくなると考えられています。アルツハイマー病型認知症を予防する上でも、バランスの良い食事、適度な運動、脳トレ、社会的なつながりは重要だと思います。

パーキンソン病との類似点も…「レビー小体型認知症」

■レム睡眠行動障害や、夜間頻尿、便秘などは危険因子かもしれない

危険因子として考えられているのは、不安障害歴・うつ病・ストローク歴・低いカフェイン摂取などです。また、レビー小体型認知症とパーキンソン病の危険因子はかなり重なっていると考えられています。

パーキンソン病の危険因子として挙げられるのは、夢の中と同じ行動をとってしまうレム睡眠行動障害や、夜間頻尿、便秘などの自律神経障害、嗅覚の低下、昼間の過度な睡眠などですが、最近ではレビー小体型認知症においても、レム睡眠行動障害や嗅覚の低下、便秘などを危険因子として加えていく必要性があるのではないかと考えられています。

また、まじめで几帳面な性格もある程度関係があると考えられます。夜中に何度も覚醒する中途覚醒は不安があるときに出現しやすく、これは、精神的な安寧が何かに障害されている証拠だと思われます。心配する必要のないこととわかっているのに気にかかってしまうのであれば、カウンセリングなどを受けましょう。

幾嶋 泰郎

医療法人いくしま医院 院長

幾嶋 泰郎

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