クエーサーからの噴出ジェットを高解像度でキャッチ 国立天文台らの研究

クエーサーからの噴出ジェットを高解像度でキャッチ 国立天文台らの研究

  • 財経新聞
  • 更新日:2022/11/25
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3C273が噴出するジェットの画像。右:ハッブル宇宙望遠鏡によるもの。中:今回撮像した電波画像(ハッブル宇宙望遠鏡の2160倍の解像度)。左:今回撮像した電波画像(ハッブル宇宙望遠鏡の43200倍の解像度)。 (c) Hiroki Okino and Kazunori Akiyama; GMVA+ALMA and HSA images: Okino et al.; HST Image: ESA/Hubble & NASA

クエーサーは地球から数十億光年以上離れた宇宙で、天の川銀河の1000倍程度の明るさで輝き、天の川銀河の10兆倍程度のエネルギーを放出しているが、あまりにも遠いため地球からは点象としてしか捉えることができない。現在その正体については、中心に巨大ブラックホールを持つ銀河で、ガスがブラックホールに吸い込まれる際に膨大なエネルギーを放出している姿であるとの説が有力だが、謎も多い天体だ。

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国立天文台は22日、現在地球に最も近い(地球からの距離は約24億光年)とされるクエーサー3C273から噴出されるジェットを、高解像度で捉えることに成功したと発表した。これはクエーサーの構造を知るうえで非常に画期的な研究成果だ。

クエーサー3C273は、これまでハッブル宇宙望遠鏡による観測で、可視光で見ることのできる長さ20万光年(天の川銀河直径の2倍に相当)にも及ぶ、巨大なジェットを放出していることがわかっていた。

今回の観測は、アルマ望遠鏡が初めて参加した国際ミリ波VLBI観測網(GMVA)と、欧米の高感度VLBI観測網(HSA)を用いて2017年に行われたものだ。ハッブル宇宙望遠鏡の実に4万3,200倍の解像度で、3C273からのジェットを捉えることに成功している。

今回の研究では、3C273からの噴出ジェットを、ハッブル宇宙望遠鏡で捉えた数万光年レベルの粗い解像度から、数光年レベルの精細な解像度にまで高めて捉えている。これにより、クエーサーの中心構造に迫る実態観測を実現した。

クエーサーで大質量ブラックホールを取り巻く降着円盤のガスや塵が、ブラックホールに落ち込む時の摩擦によって生み出されるエネルギーの変換効率は、落ち込む物質質量の50%程度で、核融合よりも10倍も効率が良いとされる。銀河と比べてクエーサーが非常に明るいのはこのためだ。

だがなぜクエーサーが地球の近傍にはなく、遠方にだけ存在するのか厳密な答えは得られていない。今回の研究成果によって、その答えが明確になる日が近づくかもしれない。

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