
築50年超えの団地のリフォーム後(写真:『54歳おひとりさま。 古い団地で見つけた私らしい暮らし』より)
2021年度の生命保険文化センターの調査によると、世帯主が65歳以降に必要と考える「夫婦の老後生活資金」は、年金を除いて月額約16万円だそうです。まもなく年金を受け取る方も、これからの方も、老後に向けてお金の不安は募りますよね。そんな老後を見据え始める50代直前に、母の介護のために新築マンションから築50年の団地に引っ越したというのがきんのさん。そのきんのさんいわく「お金のことが心配で眠れない夜が続きました」だそうで――。
【写真】きんのさんが月にいくら必要なのか、あらためて試算してみると…
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お金のことが心配で眠れない夜もありました
お金について不安を強く感じたのは、離婚したときでした。当時、当座の生活費程度の貯蓄はあったものの、派遣社員の月給では食べるのが精一杯。
マンションから格安アパートへ引っ越し、学生時代のような6畳一間暮らしをしていました。
狭いキッチンと小さなお風呂はあったものの、質素な暮らしに不安は募るばかり。この先のお金のことが心配で眠れない夜が続きました。
そんなある夜、自分はなにが不安なのか思うままに書き出してみたら、心がスッキリしたんです。
不安を「見える化」したことで、「こうすれば案外大丈夫かも」と具体的に対処法を考えることができるように。
それを行動に移すことで少しずつ不安が減っていきました。その後、友人からの励ましのおかげもあって希望する会社の正社員となり、収入も大幅アップ。
1年経たずに駅近のUR賃貸に引っ越して、さらに数年後、貯めたお金で新築マンションを購入しました。
「大丈夫」を積み重ねていく
ところが、マンション購入とその後の団地引っ越し&フルリノベーションで貯蓄の大部分を使い果たし、老後の資金が足りないことに50代で気がつく愚かな私……。
でも今度は立ち直りが早かった! あの6畳一間の夜に、不安から逃げるのではなく、向き合うことが不安解消につながるとわかったから。

『54歳おひとりさま。 古い団地で見つけた私らしい暮らし』(著:きんの/扶桑社)
老後の資金問題の解決策のひとつが、「月12万円のプレ年金生活」です。50代の今から月12万円の予算で暮らし、「大丈夫」を積み重ねていく。
家計の問題を早期発見し、予算内で豊かに暮らす知恵を絞り、不安を安心に変えていく作業です。まだ50代。
気力も体力もあるし、今動き出せば老後に向けてゆっくり準備を整えていけると考えました。年金生活の予習ができて貯蓄も順調に増えつつあり、始めてよかったと思っています。
私の12万円生活の全貌をお見せします。
不安の前にまず試算 老後に月いくらあればいい?
私が今心配しているのは、老後の資金のこと。
雑誌やテレビで「老後資金に2000万円必要」「将来、年金はもらえなくなる!?」なんて目にしては、お先真っ暗のような気になって……。
でもこんなときは、不安に向き合うためにまず情報収集。
総務省のホームページで見られる「高齢ひとり暮らし世帯の支出」を参考に、自分の場合だと月にいくら必要か試算してみることに。
食費は自炊派だからこんなにかからないとか、住居費はもう少しかかるとか。
結果、月12万円もあれば慎ましくも私らしい暮らしができそうだと思えるようになり、老後の生活が具体的に見えてきました。
「私の場合」で考えれば意外と未来は明るい!?
老後の支出が月12万円とわかったら、次に将来受け取れる年金額を試算。
私の場合は、10万円程度だから2万円ほど足りません。
女性の平均寿命は約87歳。年金受給開始年齢の65歳から22年生きると考えると、老後の赤字額は合計528万円に。
もっと生きる可能性と住居の修繕費や介護費、医療費、旅行代なども考慮すると、最低でも1000万あればなんとかなりそうです。
「老後資金は2000万円必要」と巷のうわさを鵜呑みにしていたころより、ぐっとやる気が出てきました。
「一般論」より「私の場合」で考えた方が具体的で、モチベーションもアップします。
※本稿は、『54歳おひとりさま。 古い団地で見つけた私らしい暮らし』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
きんの