コロナ禍でも「潰れなかった会社」の決定的特徴【資金繰りコンサルが解説】

コロナ禍でも「潰れなかった会社」の決定的特徴【資金繰りコンサルが解説】

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/10/14
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会社が潰れる本当の原因は、赤字や債務でなく「資金不足」です。言い換えれば、手持ちのお金があれば潰れる可能性はほとんどないということ。金額の目安は「固定費の6ヵ月分」ですが、どの企業も簡単に用意できるわけではないでしょう。コロナ危機を乗り越えるための「資金繰りのコツ」を解説します。

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「固定費6ヵ月分の現金」があればコロナ禍も安泰経営

経営者なら、分かると思う。設立、創業からずっと順風満帆の会社はない。

逆境は不意にやってくる。まさかのタイミングで襲ってくる。

直近30年では阪神・淡路大震災があり、リーマンショックがあり、東日本大震災があった。

だいたい10年に1度くらいの頻度で大きな危機がやってくる。東日本大震災の10年後は…コロナだよね。飲食、百貨店、旅行、インバウンド関連にはまさかの危機が訪れた。

「企業の寿命30年説」で考えるなら、この30年で4回も大きな危機が起きている。だから、30年も生き残れる可能性は小さいし、10年だって難しい。

そういう危機が、いつくるか分からない。どんな危機に見舞われるかも分からない。

分かっていることはなにか。そのときにお金を持っている会社は乗り越えられるが、持っていない会社は潰れる可能性が高いということ。

余談だが、私が前著を書いたのは2018年8月。コロナなんて想像もしていなかった。

ただ、顧問を務めさせてもらっている会社やセミナーなどでは、「固定費6ヵ月分の現金を常に確保しておきましょう」と伝えていた。

顧問先もセミナーに参加してくれた経営者も、もしかしたら「危機なんてこないだろう」「菅原は大袈裟だなあ」と思っていたかもしれないが、伝えたとおりに現金を用意してくれた。

結果、コロナ禍においても彼らの会社は安泰。飲食店経営の会社もあるが、しっかり耐えている。「菅原さんの言うとおりにしておいて良かった」そう言ってくれる経営者も多い。

危機に見舞われてからでは遅い。何事もなく、順調に経営できているときだからこそ、いつかくるはずの危機に備えて現金を準備しておくことが本当に大切。

経営が順調なときこそ実は「借金するべき」

「固定費6ヵ月分は大金…」

「すぐに用意するのは難しい」

そう思う人もいるかもしれない。でも、用意しないといけない。なぜなら、そのお金が会社の未来を守ってくれるから。

理想は、利益をコツコツ貯めていくこと。ただ、時間はかかるよね。そこで考えたいのが融資。自分で稼いだお金でも、銀行などの金融機関から借りたお金でも、お金はお金。調達方法はたいして重要ではない。重要なのは、危機を乗り越えるための現金を持っているかどうか。

注意したいのは、銀行などの金融機関から借りるためには、「貸したい」「借りてほしい」と思われる会社でなければならないこと。銀行などの金融機関が貸したい会社とは、経営に問題がない会社。つまり、経営に問題がなく、順調なときに借りる。借りておく。これが大事。経営が苦しくなってから融資を申し込んでも、融資担当者はきっと嫌がるだろう。

ペヤングの場合もそう。お金がない状態でゴキブリ問題が発生していたら、そのタイミングで銀行に融資を申し込んだとしても断られていたかもしれない。だから、危機に陥る前に資金を作る。銀行などの金融機関の視点を持って「貸したい」と思う状態のときに借りておく。それが資金繰りのコツ!

借金の「完済」は考えなくていい

「借金は返さないといけないから」

借金アレルギーを持つ経営者はそう思うはず。

でも、本当に借金は返さないといけない? それは、そのとおり。踏み倒すことはできない。でも、返せばいい。返し続ければいい。

ただ返し終える必要はない。返済さえ滞らなければずっと借りていられる。

一定期間返済し、手持ちの現金が固定費の6ヵ月分を切ってきたら、また借りてもいいし、借り換えてもいい。

つまり、借金は返さないといけないけど、完済なんて考えなくていい。

そもそも、経営は借金と付き合っていくもの。貸借対照表を見れば、それが分かる。

貸借対照表は、右側が負債と純資産、左側が資産を表している【図表】。

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【図表】貸借対照表の例

負債の項目はどうなっているか。

流動負債は、買掛金、短期借入金、未払金などがある。これらはすべて借金。

短期借入金は借金そのものだし、未払金は誰かに払う予定のお金のことだから、現時点では、その誰かから借りていることになる。つまり、借金。

支払手形と買掛金も同様、取引先に払うお金であり、現時点では取引先から借金している状態。

科目は違ってもすべてどこからかの借金なのである。

買掛金をなくそう、すべて現金払いで仕入れようなんて考える経営者はいないはず。買掛金はOKで融資はダメというのは、理屈として成立しない。

重要なのは、借金を減らすことではなく、完済することでもない。借金という手段をうまく使って、現金を調達すること、減らさないこと。返すことより、借りることに目を向けること。

「無借金経営が安全」という危険な思い込み

借金については「無借金経営が安全」と誤解している人もいる。確かに借金がないほうが精神的には楽かもしれない。

しかし、資金繰りの視点で見ると、いいことは一つもない。むしろ「無借金がいい」と思い込んでいるとしたら、それは危ない。

無借金にこだわり、借金を避けることによって、手持ちの現金が足りなくなり、倒産するリスクが大きくなるから。言い方を変えると、資金繰り経営(キャッシュフロー経営)と無借金経営は根本的な考え方が逆ということ。

無借金を目指すのは資金繰り経営においては悪手。「できるだけ借りないように」ではなく「できるだけ借りる」という考え方に変えることが重要。

あえて理想を掲げるなら、借金より現金を多く持っている状態の「実質無借金経営」を目指すこと!

菅原 由一

SMGグループ CEO
SMG菅原経営株式会社 代表取締役
SMG税理士事務所 代表税理士

菅原 由一

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