2017年はジャズ誕生100周年? そもそもジャズが何故ジャズになったのか

2017年はジャズ誕生100周年? そもそもジャズが何故ジャズになったのか

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  • 更新日:2017/08/17
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2017年はジャズ誕生100周年?(写真はイメージ、提供:アフロ)

「ジャズって大人なイメージ。聴いてみたいけど、どこから入門したらいいのかわかりません。何か解説を書いていただけませんか?」と音楽評論家の青木和富さんに相談したところ、「そんなのは面白くないよ~。音楽ってさ、堅苦しく考えなくていいんだよ」と東京・下町(=門前仲町)出身のフレンドリーなお答えで企画はいともたやすくに変更になってしまいました。

そういうわけでこのコラムでは、青木さんが“自由気ままに”ジャズにまつわるお話をお届けします。ライブ感あふれる軽やかな筆致で、余談もポンポン飛び出します。「へぇ~」と思うことが見つかればラッキーです。これからジャズを聴いてみたい方、すでに聴き込んでいる方、ジャンルを問わず音楽が好きな方に楽しんでいただけたらと思います。初回は「一般的なイメージとはちょっと違うジャズの起源」について語ります。※毎週土曜日更新予定。

「2017年はジャズ誕生の記念年」ってどういうこと?

今年2017年は、ジャズが生まれて100年の記念の年だという。昨年この話を聞いたとき、一体全体これは何のことだと驚いた。モノゴトの起源というのは大概曖昧で、いつともなく始まり、いつしか当たり前のようになり、いつの間にかその世界が確固たるものになる。

ジャズの起源は、百科事典などで調べると、19世紀末から20世紀初頭に米国・ルイジアナ州のニューオリンズで生まれたなどと書かれている。ついでにシンコペーションとか即興とか音楽的な説明があったりするが、これはあまり重要ではない。余談だが(このコラムは突然余談に走ることがあるけど、悪しからず。)、昔、ジャズの特徴は「即興演奏があること」と解説されることが多かった。そこがクラシックとかその他の音楽とは違うスゴイところなのだと言いたいのだろうが、厳密言えばこれは正しくない。クラシックも昔は即興演奏が当たり前に存在したし、民族音楽の世界では、むしろみんな即興音楽なのだと言ってもいいかもしれない。たとえ譜面があろうとなかろうと、演奏は、結局は演奏者の思い付きのようなものに委ねられる。ときにそれが音楽のすべてなのだと言いたくなることがある。

季節柄盆踊りの催しが各地で開かれいるけど、あの太鼓の響きを聴くと、打ち手の上手い下手だけではなく、その世代までもが分かってしまうことがある。生きてきた時代によって、人のリズム感も違ったものになってしまうからだ。これはあくまで勝手な想像なのだが、ロックなどという西洋の野蛮な音楽が入ってくるまでは、村の太鼓の響きは、リズムというより歌のように心情に則した響きがあったのではないだろうか。それが西洋的なリズムが体内に入り込んでからは、若い衆たちが叩く太鼓にはリズムの身体性が前に押し出され、スピードが増し、手数も増し、全体的に鮮やかなリズムの意匠が新たな音楽の高揚感を生み出したように思う。

そもそもジャズの起源とは?

そして、これもまた勝手な想像なのだが、ジャズが生まれたとされる19世紀末から20世紀初頭のニューオリンズでは、そうしたことが組織的に起こったのかもしれない。ニューオリンズは、フランス文化と奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人文化が出会いを果たした不思議な世界で、街を練り歩く葬送のマーチング・バンドやあるいは華やかな紅灯街に雇われ演奏していたユニークなバンド演奏がジャズの起源とされ、とにかく不思議な音楽がこの活気に溢れた街で楽しまれていたことは確かである。

ちなみにこうしたバンドで使われた楽器は、南北戦争の後に放置された軍楽隊の楽器という説がある。筒井康隆の『ジャズ大名』は、その説を足掛かりに幕末に日本にジャズがやってきたというSFであった。もうひとつプチ余談。軍楽隊の発祥は、西洋がイスラム軍と戦った時代までさかのぼり、効率よく軍を統率したイスラム軍の軍楽隊を真似て作られたという。イスラム軍は多民族軍で、言葉の代わりに打楽器による命令指示がされたようだ。そういうことを考えると、ジャズ・バンドの起源はイスラム軍楽隊までさかのぼることができるかもしれない。そして、むろん、ドラムという観点では、アフリカの文化も見逃がすわけにはいかない。ドラムで会話するトーキング・ドラムを筆頭に奴隷で連れてこられた黒人たちのDNAにもそれは引き継がれていただろう。

さて、突然だが、ここでこの話の発端の今年2017年はジャズが生まれて100周年というところに戻ろう。何故100年なのか。話は簡単で、100年前の1917年に最初のジャズ・レコードが録音されたからである。まぁこれだと、ジャズ・レコード100周年でしかならない。しかし、実はよく考えると、ここには、この当時、何故ジャズがジャズになったかという何とも奥の深い話が隠されている。

最後にちょっと次回の予告しておく。実は、この栄誉あるジャズ初録音は、ニューオリンズの黒人ミュージシャンではなく、ニック・ラロッカというイタリア人であった。

(音楽評論家・青木和富)

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