あなたは耐えられる? カンタス航空が19時間フライトに挑戦

あなたは耐えられる? カンタス航空が19時間フライトに挑戦

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2019/09/15
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人類は、いよいよ、旅客機の連続搭乗「20時間の壁」に挑みつつある。

世界的にフライトニーズが高まるなか、新型のジェット機ではますます燃費の向上が進み、今回、カンタス航空が、ボーイングの新型787-9ドリームライナーでの「シドニー〜ニューヨーク」19時間連続フライトのテストに着手した。

しかし、19時間も乗客の身体がもつのだろうか? ウォール・ストリート・ジャーナルによると、カンタス航空は、この就航計画の検討のために、自社の社員40人を旅客機に乗せ、実際にテストフライトするという試みに出た。

このテストでは、乗客の体に心電図の電極をつけるなどし、長時間フライトが身体的および心理的にどういう影響を及ぼすのか、データをとっていくという。また、機内の消灯のタイミングや、消灯時間の長短などをいろいろ試して比較し、睡眠の深さとの相関や時差ボケ対策も研究する予定だ。

自社の社員の他にも、シドニー大学の医療研究者も搭乗し、乗客の就寝パターンや食事や飲み物サービスのタイミングを変えることで、どのように快適性を向上させられるかを観察するという。

シドニー大学のシニア研究員、スヴェタ・ポストノーバ氏によると、機内照明は時差ボケに対する大きな変動要因となるが、その他にも食事や、搭乗前や機内での身体動作のあるなしも、大きく影響を与えるという。

去年、カンタス航空は、19時間フライトに先駆けて、パースからロンドンまでの17時間フライトを就航させたが、この便では、水分維持や睡眠の増進、時差ボケ防止に効果がある食事のメニューの開発に注力したという。さらに、パースの空港ラウンジにヨガスタジオを設置するなどしたが、1年間経った今、カンタス航空の就航路線の中で最も高い顧客満足評価を獲得したことで、長時間フライトに自信を得たようだ。

ポイントは技術力ではなく乗客の体力

アメリカには、搭乗時間の長さゆえに、アジアへの旅行を敬遠する人がまだまだたくさんいる。しかし、このような開発や研究が進めば、長時間フライトも短距離同様の負荷ですむということになる。

カンタス航空は、今回のシドニー〜ニューヨーク間のテストフライトを通じて、12月までにこのルートを商業路線として正式に設置するかどうかを決め、決定された場合には、航続距離が20時間を優に超えることができるボーイング 777Xまたはエアバス A350Sを購入する予定だという。そして、ニューヨーク便のほかにロンドン便も検討中だ。

貨物便ではすでに20時間以上飛ばす便があり、技術的なハードルはすでにクリアしている。同社の役員であるアラン・ジョイス氏によると、あとは、乗客の飛行体験で十分な快適性を維持できるかどうかのところに焦点が絞られていたという。

乗客の快適性が維持できなければ、商業路線としての寿命は危うい。たとえばシンガポール航空はニュージャージーからシンガポールまでの約18時間路線を持っているが、この路線は2004年に一度就航し、その後、取りやめと再就航を繰り返している。ウィキペディアによれば、理由のひとつが商業的に不十分だったということであり、これは、乗客が、飛行時間が長すぎて敬遠したということが理由だと推測できる。つまり、ますますポイントは技術力ではなく、乗客の体力だということになる。

東京がアジアの玄関だった時代は昔

エアフェアウォッチドッグブログによると、このほか、17時間クラスの飛行路線は、ニュージランドのオークランドからカタールのドーハまで(17時間40分)など複数飛んでいるが、距離と時間が必ずしも正確に比例するわけではないのは風や天候の影響、そして飛行禁止区域の回避などが、公式発表距離に考慮されていないからだという。

40年前には、東京からヨーロッパやアメリカに行くのに、アラスカのアンカレッジを経由して給油をしていたということを考えると隔世の感があるが、航空機の燃費がこのように伸びてくれば、今後は、乗客の快適性さえ担保されれば、航空路線はまさに需給バランスで設定されていき、長時間フライトが20時間を超える日もやって来そうだ。

そして、これは、航空会社だけでなく、各空港管理会社と運輸行政の国際競争をも意味する。アメリカからのアジア路線の多くが、成田へ一旦着陸してから中国やシンガポールなどに飛んでいた時代(東京がアジアの表玄関だと胸を張っていられた時代)は遠く20世紀のものとなり、航空各社はニーズのある場所に直接航空機を降り立たせるし、各空港もまた、新路線を獲得するには顧客体験への貢献度をますます問われそうだ。

香港国際空港は、税関を出ると、すぐに大きなロビーの向かい側に市内への高速列車が滑り込んでくるし、アメリカ中西部のシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港では、空港内に教会(どの宗教・宗派も歓迎)もある。ロサンゼルス空港が国際線ターミナルに投資を集中させてアップグレードしたことは、以前にこのコラムでも触れた通りだ。いままさに、航空業界は総合力が試されているのだ。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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