古田新太のセクシーで卑猥な中年体型に、ソニンも愉快な喘ぎ声。『ロッキー・ホラー・ショー』は客席総立ちでダンスのパーティー演劇

古田新太のセクシーで卑猥な中年体型に、ソニンも愉快な喘ぎ声。『ロッキー・ホラー・ショー』は客席総立ちでダンスのパーティー演劇

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  • 更新日:2017/12/06
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パーティのような舞台!「ロッキー・ホラー・ショー」公式HPより

劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンターテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、時に舞台では、ドラマや映画などの映像作品では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

やり直しがきかない緊張感のなかでの演技によって豪快さも培われるのでしょうか、舞台を主戦場もしくは特別な場としている俳優には、メディアから伝わる言動も破天荒なひとがいます。その代表格といえそうなのは、古田新太かもしれません。

映像作品では個性派のバイプレーヤーとして活躍していますが、もともと本人は、「演技の場としては舞台が一番格上」と公言しており、もっともチケットが取りづらい劇団のひとつである「劇団☆新感線」の看板俳優。劇団外でも主演舞台を数多くこなしており、演劇ファンから絶大な信頼を寄せられる人気舞台俳優です。

その古田が2017年の大晦日まで出演中なのが、カルト的な人気を誇る映画版でも知られるミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」(東京公演は終了、北九州、仙台、松本、大阪公演)。忖度やら自主規制やらと取りざたされる現在の映像業界では大問題になるタブーだらけの作品で、カリスマぶりを発揮しています。

1973年にロンドンで初演された「ロッキー~」は、イギリスの俳優チャード・オブライエンの原作・作詞・作曲による、カルト要素満載のロックホラーミュージカル。翌年にはアメリカ公演が行われ、75年にはオブライエンも出演して映画化されロングラン。2016年にはアメリカでテレビ映画も制作されています。

変態の変態による変態のための館

世界中で「ロッキーマニア」と呼ばれる熱烈なファンを持つ作品ですが、あらすじはB級映画のようにシンプルでご都合主義です。清純派カップルのブラッドとジャネットが、恩師のスコット博士へ婚約のあいさつに向かったところ、嵐で道に迷い、車のタイヤがパンク。近くの古城へ助けを求めると、奇怪な住人たちのパーティへ巻き込まれてしまいます。城主のフランク・フルターは、ボンテージに網タイツ姿なうえにマッドサイエンティストで、ふたりに自身が発明した金髪マッチョの人造人間ロッキーを披露します。

フランク・フルターを演じるのは、もちろん古田。登場シーンで着ていたマントを脱ぎ捨てボンテージになった姿の存在感と威圧感(と、いわゆる「変態」っぽさ)は、ほかのキャストが一瞬にしてかすむほど。異性装に、自分はトランスセクシャルであると歌う「Sweet Transvestite」の声がとにかくかっこよく、たしかに体形こそ中年男性らしいボリュームなのですがとてもセクシーで、もはやヒワイといっても過言ではないのではと感じられるほど。

ソニンが演じるジャネットは、パーティを目の当たりにして「変態の変態による変態のための館よ」とドン引きしますが、ベッドに侵入してきたフランク・フルターの手腕に、処女にもかかわらずアッサリ陥落。古田はオネエ口調のセリフではなぜかオカン風味が強かったのですが、「ブラッドにはいわないでいてあげるから」「気持ちよかったんでしょ、本当は楽しかったんでしょ」という悪いオトナのささやきはやっぱりヒワイ以外の何物でもなく、ジャネットの陥落も納得。そりゃあも、アメリカンポルノばりの愉快な喘ぎ声あげちゃうわ……。

余談ですが古田同様、ソニンも演劇ファンからは非常に評価され愛されている女優です。ちょうど10年前の2007年、宮本亜門演出「スウィーニー・トッド」でのミュージカル初出演したときのみずみずしさは、目の肥えたファンのあいだでも「新しいミュージカル女優の誕生だ」と話題になり、私も強烈に印象に残っています。ジャネットも、ちょっとぶりっ子入った役作りがとてもチャーミング。パーティ以降の場面はほとんどブラジャー姿で、ボンテージ衣装にもなるのですが、露出の思い切りのよさがとても健康的な色っぽさでした。

フランク・フルターはジャネットのあとにブラッドとも関係を結んだり(そしてジャネットはロッキーとも寝ます)、ロッキーを作るために一度は寵愛した男エディ(武田真治)をチェーンソーでバラバラにして殺したりとタブーなしで行動するのですが、彼と住人たちの正体は宇宙人。フランク・フルターはジャネットらの本能を解放させ、ナイトショーのように下着姿で踊り狂う「フロアショー」をさせます。

ばかばかしい話にもかかわらずロッキーマニアが熱狂する理由は、楽曲がゴージャスなグラムロックでサントラとしても魅力的なことや、歌詞やセリフに1940年代以降のB級映画やサブカル作品のキーワードがちりばめられているなど多彩な魅力がありますが、一番は観客参加型の作品だから。

欲求のおもむくままに生きたい

映画の上映会では、観客がスクリーンの前に立って登場人物の動きをまねたり、おきまりの場面でツッコミを入れたりするのが恒例行事になっており、映画鑑賞というよりもさながらパーティに参加するような感覚です。劇中のパーティの場面でのナンバー「The Time Warp」は、一緒に踊るための振り付け解説が映画内にあるほどですが、今回の舞台でも、まさかの客席が総立ちでダンス。「立ってOK」「騒いでOK」は、ミュージカルとしては唯一かもしれません。

ホモセクシャルやトランスジェンダーなどのセクシャルマイノリティたちは人里離れた場所で猟奇的なことを行う変態な宇宙人、とでもみなしているようなストーリーは、いまから40年以上も前だからこそ作れたのであろう過激さです。が、自身もトランスジェンダーを自称していたオブライエンは、セクシャルマイノリティを露悪的に描いているようでいて、彼らのコミュニティの構築や欲求のおもむくままに生きることの容認もうたっているようにも思えます。

“ノーマル”な世界に生きていたブラッドとジャネットでも、エデンの園の蛇のような存在であるフランク・フルターと出会ってしまえば、人生は変わってしまいます。現代においての「ロッキー~」は、“変態”と“ノーマル”の境目がよりあいまいかもしれません。

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