ハイブリッド電気旅客機は次世代航空機のスタンダートとなるか?

ハイブリッド電気旅客機は次世代航空機のスタンダートとなるか?

  • @DIME
  • 更新日:2017/12/07
No image

Airbus

ガソリンやディーゼルエンジンなどの内燃機関と、電気と電池によるモーターを併用するハイブリッド自動車が定着して久しい。トヨタ自動車が世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」の製造を開始して20年、ハイブリッドの波は航空機の分野にも及んでいる。

仏エアバス、英ロールス・ロイス、独シーメンスは11月末、ハイブリッド電気航空機の試作機「E-Fan X」の共同開発のためのパートナーシップ提携を発表した。

E-Fan Xのハイブリッド電気試作機は、ジェット旅客機「BAe 146」を土台に、4つのエンジンのうち1つを2メガワットのモーターに置き換えて行うテストを経て、2020年の飛行を予定している。システムの成熟度が証明されれば、エンジンと電気モーターをそれぞれ2基ずつ併用する予定だ。電気推力管理、電磁気の互換性の問題など、高出力推進システムの課題に取り組み、技術、性能、安全性を成熟させることを目的としている。

No image

Airbus

それぞれの専門分野で豊富な経験とノウハウを誇る3社がタッグを組んだことで、ハイブリッド電気旅客機の実現がグッと近づいた感がある。

エアバスは、総合的な統合のほか、ハイブリッド電気推進システムとバッテリーの制御アーキテクチャ、フライトコントロールシステムとの統合を担当する。

ロールス・ロイスは高級車ブランドのイメージが強いが、「ロールス・ロイス・ホールディングス」は実は世界第二の航空エンジンメーカーだ。ターボシャフトエンジン、2メガワット発電機、パワーエレクトロニクスを担当する。

シーメンスは、電気推進システムのコンポーネントの開発や地上における試行など、エアバスと2016年から開始している共同開発「E-Aircraft Systems House」を踏まえ、2メガワットの電動モーターとその電力制御ユニット、配電システムを提供する。

No image

Airbus

「E-Fan Xは、近い将来に電動飛行を実現するという我々の目標の重要な次のステップです。 電気航空機試作の長い歴史から学んだ教訓や、シーメンスとの共同開発の成果が、安全かつ効率的で費用対効果の高い、ナローボディのハイブリッド旅客機への道を開くでしょう」と、エアバスのCTO、Paul Eremenko氏は、共同開発への期待を語っている。

今日の航空分野における最大の課題の1つは、化石燃料に依存しない、効率的で環境を保護する輸送手段に移行することだ。欧州航空研究諮問委員会(ACARE)のプロジェクト 「Flightpath 2050」が掲げる目標「CO2(二酸化炭素)削減率75%、NOx(窒素残貨物)

削減率90%、騒音低減率65%」は、今の技術では達成不可能だが、電気およびハイブリッド電気推進が、これらの課題に対処する最も有望な技術の1つであると見られている。

一方、ハイブリッド電気旅客機の開発には、米ボーイングも着手している。米科学誌『MIT Technology Review』によれば、同社が投資する航空機ベンチャー企業Zunum Aero(ズーナムエアロ)は、ニューヨークからボストンへわずか70ドル(約7800円)のコストで移動できる12人乗りの電気飛行機を、2022年までに運行させるという驚くべき計画を立てている。

No image

Zunum Aero

現在のバッテリー技術では動力供給が不十分なため、完全な電気飛行機ではなく、ジェット燃料と翼に装備するバッテリーを組み合わせたハイブリッド型だ。

電池の品質が向上し、燃料タンクが取り外しできるように設計されているため、将来的には完全な電気飛行機となる可能性がある。同社のハイブリッド飛行機は、時速547キロで巡行、1100キロ程度の距離に適したものとなるそうだ。

また、より効率的な地域旅行を提供するために、 十分に活用されていない空港を利用する。つまり、JFK空港からローガン空港ではなく、ニューヨーク郊外のリパブリック空港とボストン郊外のハンスコム・フィールド空港間を、低燃費ハイブリッド旅客機を飛ばすことにより、ニューヨークーボストン間の 1時間44分の移動をわずか70ドルで提供できるというわけだ。

No image

Zunum Aero

同社の描く青写真によれば、中距離バスのような気軽さで、轟音もガスも出さないクリーンな電気飛行機が静かに空を飛び交っている、という光景が、わずか4~5年のうちに実現することになる。

さらに、欧州の大手LCC、英easyJetm(イージージェット)も、米国の電気航空機ベンチャー、Wright Electric(ライト・エレクトリック)と提携し、10年以内に英国および欧州の短距離路線に電気旅客機を導入する戦略を打ち出している。

No image

easyJet

同社はまた、離着陸時の騒音を50%低減し、燃費およびCO2排出量を最大15%削減する「エアバスA320neo」を導入する。さらに、フランスの防衛・航空・通信企業Safran(サフラン)と提携し、水素燃料電池技術を搭載した次世代の「ゼロ・エミッション」電気自走タキシングシステムを試行するなど、環境面での改善につながる新技術を積極的に採用している。

2000年から2016年にかけて、easyJetのCO2排出量は旅客キロ当たり31%以上も削減された。2022年までにこの排出量を、現時点からは10%、2000年からは38%減に相当する72グラムまで減らす目標を掲げている。

低価格で勝負するLCCが本気で電気旅客機の導入に取り組んでいる事実は、その実現性をいっそう高めるものだ 。安くてクリーンなハイブリッド電気旅客機は、想像よりもずっと早く実用化され、普及するかもしれない。

参照リンク:

Airbusプレスリリース
http://www.airbus.com/newsroom/press-releases/en/2017/11/airbus--rolls-royce--and-siemens-team-up-for-electric-future-par.html

Zunum Aero 公式サイト
http://zunum.aero/

easyJet プレスリリース
https://mediacentre.easyjet.com/en/stories/11618-easyjet-and-electric-aircraft-pioneer-wright-electric-outline-electric-future-of-aviation

MIT Technology Review
https://www.technologyreview.com/the-download/609058/this-12-seater-electric-airplane-could-fly-you-on-short-trips-one-day/

文/三崎由美子

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

IT総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
「ジョジョスマホ」約13万円でドコモが12月20日予約開始、1万台限定
とにかくスゴい!DIME最新号の特別付録『3DIMENSIONS VR GLASS』の遊び方
【年末企画】2017年ベスト買い物 - 42.5インチ4Kディスプレイ「43UD79-B」
ジョジョスマホの詳細が発表 -「擬音モード」や「スタンドカメラ」など
ポルノの主戦場が雑誌・DVDからオンラインへと進化することよって環境負荷が上がっている可能性
  • このエントリーをはてなブックマークに追加