夢舞台を想定した機敏さと自信を深めた秋 関大北陽【前編】

夢舞台を想定した機敏さと自信を深めた秋 関大北陽【前編】

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  • 更新日:2019/02/10

春夏合わせて14回の甲子園出場経験のある関大北陽。1970年代には私学7強の一角として注目を集め、阪神やオリックスで監督を務めた岡田彰布ら多くのプロ野球選手を輩出している。

近年は甲子園から遠ざかっているが、2016年夏には大阪桐蔭を破り、昨春は準優勝と激戦区の大阪において存在感を放っている。大阪屈指の伝統校の野球部はどんな活動をしているのだろうか。

切り替えの速さを大事に

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関大北陽 野球部

かつては北陽の校名で全国に名を轟かせていた。2008年度に関西大の併設校となり、現校名となった。関大北陽のグラウンドは大阪市東淀川区の学校から4㎞ほど離れた摂津市にあり、選手たちは授業を終えると自転車で約20分かけて移動する。

2014年秋から指揮を執る辻本忠監督は北陽のOBで、1994年に春夏連続で甲子園に出場した。母校で指導する辻本監督は関大北陽の野球をこう語る。「松岡(英孝・元監督)先生、新納(弘治)前監督が築き上げてきたことを継承しています。社会に出て通用する人間をと私も教えられてきましたし、私もそれを生徒に伝えています。野球以前に人間として成長できるようにということを頭において指導しています」。

松岡元監督は1960年から1990年まで北陽の監督を務め、1970年春には甲子園準優勝に導いた名伯楽。新納前監督は松岡元監督の後継者として24年間指揮を執り、現在は日本高野連の技術・振興委員を務めている。過去2代の名将が行ってきた指導を辻本監督も引き継いでいるのだ。

関西大の併設校になってから、学業との両立も以前よりは求められるようになった。平日の全体練習は午後7時過ぎには終わることが多いという。

1日3時間前後の練習時間で練習の質を上げるために意識していることは、切り替えをいかに俊敏にできるかだ。これは甲子園で戦うためにも必要なことでもある。辻本監督はこう説明する。

「甲子園は入れ替わりが慌ただしいです。高校時代に甲子園を経験させて頂きましたが、凄く慌ただしくて、気がついたら試合中盤になっていたのが印象に残っています。選手には『甲子園とはこういうところだよ』と話しています。機敏に動かないと対応できないです」。

甲子園では1日で3試合あるいは4試合を一気に行う。少しでも速やかに大会を進行させるために、ベンチの入れ替えやキャッチボール、シートノックなどをスムーズにこなさなければならない。

甲子園慣れしていないチームはこれだけで心身的に疲労を感じてしまうこともある。甲子園で戦うことを目標にしているチームだからこそ、日々の練習から俊敏に動くことを意識しているのだ。

あと一歩まで追い詰めた夏の王者

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ランメニューに必死で取り組む関大北陽の選手たち

夏の北大阪大会は4回戦で準優勝した大阪学院大高に敗戦。主砲の赤松俊祐(2年)が主将となり新チームがスタートしたが、「中心選手がほぼ入れ替わるような状況で、大丈夫かなと思いながらスタートしました」と辻本監督は振り返る。

野手陣には赤松に村田明日杜(2年)、倉岡朋輝(2年)と旧チームからのレギュラーが残っていたが、バッテリー陣が総入れ替えとなり、守備面に不安を抱えていた。実際に夏休みの練習試合では失点が多く、なかなか勝てなかったという。

しかし、この期間が選手たちを成長させた。辻本監督は「チーム全員が考えて動くようになり、練習への意識が高くなりました」とチームの成長を認める。

秋季大会は初戦の戦から苦戦を強いられた。4回裏にエラー絡みで3点差を追いつかれたが、7回以降に6点を奪って振り切って勝利を収めている。「気持ちの弱いチームだとズルズルいってしまうんですけど、そこで踏みとどまって終盤に追加点を取って突き放すゲームをやってくれたので、それが上昇するきっかけになりました」。辻本監督がこう話すように難しい初戦を乗り越えたことでチームは勢いに乗った。

5回戦では好投手の上田大河(2年)を擁する大阪商大高に5対2で勝利。「素晴らしい投手から打って点を取れたことは彼らにとっては凄く大きかったと思います」と辻本監督はこの試合は選手たちが自信を深めた試合だと振り返る。

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大阪桐蔭戦のベンチの様子

そして準々決勝では3季連続の甲子園優勝を目指す大阪桐蔭と対戦した。辻本監督に秘策はあったのだろうか。「常勝軍団なのでなんとか慌てさせたいなという気持ちでした。選手に言ったのは『ひたすら戦え』と。戦術なんてなんもないですよ。あのチームには」。

戦術よりも気持ちで負けないことを強調した辻本監督。選手たちはそれに応えるように善戦を繰り広げる。2点を追う9回裏には二死満塁から代打で起用された芦田亮太(2年)の2点中前適時打で同点に追いついた。さらに二死満塁と一打サヨナラの場面まで演出したが、あと一本は出ず。結局11回表に2点を奪われ、ジャイアントキリングを成し遂げることはできなかった。

「サヨナラのチャンスがあったにも関わらず押し切ることができなかったので、そこがまだまだ弱さですね。やろうという気持ちが強くなりすぎて最後は相手が見れなくなってしまいました」と反省点を述べた辻本監督。勝利目前で敗れてしまったが、彼らの残したインパクトは確かに大きかった。

関大北陽を破った大阪桐蔭は準優勝で近畿大会に出場。惜しくも選考に漏れてセンバツは逃したが、近畿大会で1勝を挙げている。勝負の世界にタラレバは禁句だが、もし勝てていれば…と思わせるような戦いだった。

前編はここまで!後編では現在取り組んでいるオフシーズンの練習模様。そして春先への意気込みも伺いました。

(文・馬場 遼)

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