年金598億円が10万人に支給漏れ。過ちはなぜ起きたのか?

年金598億円が10万人に支給漏れ。過ちはなぜ起きたのか?

  • まぐまぐニュース!
  • 更新日:2017/09/16
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先日飛び込んできた「年金支給漏れ」のニュースですが、その規模は過去最大の10万人分に及び、支給漏れ総額は598億円にものぼるとのこと。これを受け、無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者・hirokiさんは、「情報共有が十分でない共済と日本年金機構の間でいつかこんな日が来ると思っていた」と両者の連携不足を指摘。さらに、あまり聞き慣れない「振替加算」について詳しく解説しています。

大規模な年金支給漏れが発覚した振替加算とは何なのか?

9月13日、ものすごく重大なニュースが飛び込んできましたね。年金支給漏れ598億円で10万人ほど…。支給漏れの平均額が約56万円で、一番金額が多いもので590万円。支払われていなかった分は過去に遡って支払うとの事。今回は振替加算というものでの大規模な支給漏れ。

振替加算の総点検と対応について(日本年金機構)

振替加算については過去によく記事で書いてきた分野ではあります。にしてもいつか、もしかしたら振替加算あたりでこんな日が来るのではないかと思って心配しておりました。

今回は配偶者が公務員だった人が多数ですよね。なぜこんな事が起こったかというと、公務員が加入する共済と日本年金機構は年金の情報は共有はしていませんでした。

まず一般的には、例えば夫に厚生年金期間または共済組合期間が20年以上ある年金を貰う時に65歳未満の生計維持している妻が居ると、夫の厚生年金または共済年金に配偶者加給年金389,800円(内訳は配偶者加給年金224,300円+特別加算165,500円)が付きます。

※注意

夫を妻、妻を夫に変えてもらっても構いません。

月額3万円ほどアップする配偶者加給年金とは(まぐまぐニュース参考記事)

そして、妻が65歳になると今度はその夫の厚生年金または共済年金に付いていた配偶者加給年金が消滅して、妻の老齢基礎年金に配偶者加給年金の代わりに妻の生年月日(大正15年4月2日から昭和41年4月1日以前生まれの人に限る)に応じて振替加算というのが付くんですよ。配偶者加給年金から振替えて配偶者の老齢基礎年金に加算するから「振替加算」と呼ばれます。

で、配偶者加給年金が付いていたのが夫の厚生年金であれば、この時自動で妻の老齢基礎年金に振替加算が付くんですが、逆に配偶者加給年金が付いていたのが夫の共済年金だとすると自動で妻に振替加算が付かないんですね。なぜかというと、共済組合と日本年金機構は別の支払機関だからです。

振替加算は加算される場合は必ず老齢基礎年金(老齢基礎年金は日本年金機構から支給されるもの)に加算されるから、別制度である共済年金を貰っていてその共済年金に配偶者加給年金が付いていた場合は妻が65歳になったタイミングで日本年金機構に自ら申し出ないと自動では振替加算を付けられなかったんですね。配偶者加給年金の状況がわからないから。

よく、共済と日本年金機構が情報を連携してくれていたらとてもありがたいんだけどな…と昔から思っていました。まあ、平成27年10月に被用者年金一元化で、共済年金を厚生年金に合わせる大改正がありましたが、情報を共有していくうちに今回の事態が発覚したんでしょうね。また世間で年金不信が強まってしまう事がなんだか悲しいものです…。

振替加算とは?

配偶者に加給年金が付いていた場合、自分が65歳になると加給年金の代わりに老齢基礎年金に振替えて加算される年金。振替加算は生年月日が大正15年4月2日生まれ~昭和41年4月1日以前の人にしか付かない。この経緯としては、昭和61年4月1日の年金大改正が関係します。

昭和36年4月1日以降で20歳になると厚生年金や共済年金に加入している人以外は60歳までは原則としてみんな国民年金に加入する事になりましたが、昭和61年3月31日までのサラリーマンや公務員の配偶者(専業主婦とか)だった場合は国民年金には強制加入ではありませんでした。

しかし、そんな配偶者(専業主婦とか)も昭和61年4月1日を機に国民年金に強制加入となりました(このサラリーマンや公務員の扶養に入ってる配偶者を現在、国民年金第3号被保険者という)。

例えば、振替加算の付かない昭和41年4月2日以降生まれの人なら昭和61年4月1日以降の強制加入時点で20歳になるから、国民年金に強制加入する60歳までは40年間完璧に国民年金保険料を納める事により、満額の老齢基礎年金(平成29年度価額779,300円)を受ける事が可能な年齢の人達です。

しかし、それより前に生まれた人、例えば昭和25年4月2日生まれの人は20歳になるのは昭和45年4月1日で、仮に20歳からサラリーマンや公務員の専業主婦(主夫)だと国民年金に加入してもしなくてもよくなりますよね。

もし任意加入で国民年金に加入せずに、強制加入となる昭和61年4月1日を迎えるとこの時点で昭和25年4月2日生まれの人は36歳です。つまり国民年金を納める期間は60歳までは24年しかありません。となると、いきなり昭和61年4月1日に専業主婦(主夫)を強制加入にして国民年金に加入させても40年満額の老齢基礎年金は受け取れないですよね。

だから、せめて国民年金に加入していなかった期間の割合分の配偶者加給年金を支給して、低額になった老齢基礎年金を補おうというのが振替加算。昭和25年4月2日生まれの人なら、振替加算額は

・配偶者加給年金224,300円×0.360(生年月日に応じた率政令で定めた率)=80,748円(年額)

加給年金と振替加算(日本年金機構)

もともとサラリーマンや公務員の専業主婦というのは、世帯単位で面倒を見る厚生年金や共済年金で家族手当のようなものとして、夫に配偶者加給年金を支給して将来その専業主婦が年金貰わなくてもその配偶者加給年金で妻の扶養負担分をカバーしていたんです。

でも、国民年金に強制加入してなかったとしたら、将来離婚をしたりした時にその専業主婦だった妻には何にも年金が出ない事態になるから昭和61年4月に強制加入にして、自分名義で将来は国民年金(老齢基礎年金)が受け取れるように制度を変えたんです。

だから、任意加入で国民年金に加入してなかった期間分に応じた配偶者加給年金を老齢基礎年金に振り替える形で、老齢基礎年金に加算して支給するのが振替加算なのです。

● 今回の支給漏れ振替加算専用ダイヤル(日本年金機構)
→ 0570-030-261(平日 8:30~17:15)

image by:Shutterstock.com

出典元:まぐまぐニュース!

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