韓国、フィリピンが勝ち組?「ネクスト11」のイマ

韓国、フィリピンが勝ち組?「ネクスト11」のイマ

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  • 更新日:2016/10/18
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ネクスト11という言葉を覚えているだろうか。ネクスト11は2005年にゴールドマン・サックスがBRICsに次いで将来的に非常に大きな影響力を持つ可能性があると指摘した新興国11カ国のことであり、イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ベトナム、メキシコがそれにあたる。

当時大いに流行したBRICsは今のところ、ブラジルやロシアは経済の低迷にあえぎ、中国も財政出動で経済を下支えしているような状況であるが、ネクスト11はその後結局どうなったのだろうか。今回はネクスト11のイマを見ていこう。

■混迷を極める中東アフリカ諸国

ネクスト11の大きな特徴はイランやエジプトなど、地政学的に非常に不安定な中東アフリカ諸国が多く含まれていることである。これらの国々は政治的不安定さや紛争が経済の安定的な成長を損なうことが多く、ネクスト11に含まれるトルコやエジプトなども例外ではない。

エジプトはクーデターや反政府デモが頻発し国内情勢が混迷化、観光業や海外からの投資に深刻な影響を与えている状態となっており、大幅な貿易赤字が続いている。株価もふるわず、リーマンショック前の水準には程遠い水準で推移している。

エジプトと同様に、トルコも政治的混乱が経済に深刻な影響を与えている。2016年7月にはクーデター未遂が発生するなど国内情勢が不安定なうえに、イスラム国や隣国シリアとの武力衝突が後を絶たない。その結果、ムーディーズなどの格付け機関はトルコのソブリン格付けをジャンク級に引き下げており、通貨のトルコリラは対ドルで過去最安値を更新するなど金融市場も非常に不安定となっている。

イランは核開発を推し進め、米国やEUなど諸外国から経済制裁を課された結果、2012年と2013年はマイナス成長となり、イランの通貨であるリアルが暴落して急速なインフレが発生、経済に深刻な影響を与える結果となった。しかし、核協議においてイランと欧米諸国が歴史的な合意に達し経済制裁が解除されたため、世界銀行はイランの成長率を従来の予想よりも上方修正し、2016年は5.8%、今後も高い成長を見込んでいる。

多くの中東アフリカ諸国が紛争や政治的混乱で低迷したのに対し、ナイジェリアは相対的に高い経済成長率を達成してきた。GDPはアフリカ最大となり、アフリカの台頭を象徴するような存在となった。しかし、ナイジェリア経済は原油に大きく依存しており、近年の原油価格の急落を受けて経済は疲弊している状況だ。世界銀行はナイジェリアの2015年の経済成長率を2.8%と発表、前年の6.3%から大幅に低下する結果となった。

■安定性を見せつけたアジア諸国 韓国、フィリピンが勝ち組?

中東アフリカ諸国が伸び悩む中、相対的に安定した成長を達成したのがアジア諸国である。

韓国は過去数年の経済成長率が3%前後と安定して推移しており、北朝鮮という地政学的リスクはあるものの、政治も比較的安定している。製造業も発展しており、ネクスト11の中では最も先進国に近い国といえる。IMFは2021年まで3%前後の成長が続くと予想しており、今後も比較的安定した成長が見込まれている。

アジア諸国の中でも高い成長を達成したのがフィリピンである。若くて豊富な労働力や高い英語力を背景に海外からの投資が盛んなことや、海外に出稼ぎに出ているフィリピン人労働者からの送金などで堅調な個人消費が景気拡大の一因となっており、過去数年の経済成長率は6%前後、代表的な株価指数であるフィリピン総合指数はリーマンショック後の最安値から約4倍になるなど高い成長を達成している。

バングラデシュも2010年から毎年6%を上回る高い成長を記録しており、経済指標の多くも安定している。投資の回復や規制緩和などを受けて、世界銀行は2017年も高い成長を見込んでいるようだ。

バングラデシュ同様、近年ベトナムも6%前後の高い成長率を達成している。工業化を推し進めたことで携帯電話などの輸出が急拡大し、経常収支も黒字化した。その結果、為替相場も以前と比較すると安定して推移し、国内経済の安定成長に寄与している。IMFは今後も6%台の高い成長が続くと見込んでいる。

他のアジア諸国が高い成長を遂げる一方、比較的低成長となっているのがパキスタンである。インフラなどへの投資も遅れており、慢性的な停電が経済に大きな悪影響を与えている。また、パキスタン経済は農業への依存が高いため天候に大きな影響を受けやすいうえに、離農者の就業機会も乏しいため高生産性部門への移転が進んでおらず、他のアジア諸国と比較すると見劣りする結果となっている。

■米国に左右されるメキシコ経済

メキシコは隣国である米国への輸出が輸出の80%を占めており、米国経済に大きな影響を受けやすい。特に製造業はその影響を受けやすく、足元のドル高などで米国製造業も不振であることからメキシコ経済の成長も鈍化の兆しがみられる。2013年以降の成長率は1%台から2%台であり、メキシコ中銀は2016年と2017年の成長見通しも従来から0.5%ほど下方修正している。現在は米大統領選の真っただ中であり、メキシコに対して強硬姿勢を示しているトランプ氏が大統領候補であることから、今後も予断を許さない状態が続くと考えられる。

■地域ごとに明暗が分かれたネクスト11

今まで見てきたように、同じネクスト11でも地域ごとにその明暗ははっきりと分かれる結果となった。中東アフリカ諸国は政治的混乱や紛争で非常に不安定な経済情勢となる一方、アジア諸国は比較的安定して高い成長率を達成している。

しかし、ネクスト11は不安定要因がありながらも長期的には高い成長を達成するポテンシャルを持っている国々が多く、今後政治などの安定化が進めば、投資を考えてみるのも面白い国々と言えるのではないだろうか。(アナリスト 樟葉空)

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