
モフトキャリースリーブは、クラウドファンディング生まれの折り畳みモバイルPCスタンド機能と収納ポケットを備えたモバイルPCスリーブ型ケースだ
“モバイルPCケース”は今でも大きなPCショップのパソコン周辺機器売り場では、大きな面積を占めているメジャーな売れ筋商品アイテムだ。
商品カテゴリーがモバイルPCの専用ケースかかどうかは別にして、カバンやケース、カバー、ポシェット、風呂敷などなど、“モノを包むモノ”が大好きな筆者はモバイルPCを買い替える都度、いくつも専用ケースとして使用する目的で多くの袋物、カバンモノを衝動買いしている。

左から、最軽量65gのタイベック製封筒型ケース、モバイルPCスタンド機能搭載のCOZI(437g)、日乃本帆布のPCブリーフ(206g)、今回のモフトキャリースリーブ(293g)眼鏡型PCスタンドは最軽量の76g
PCスタンド機能を併せ持つモバイルPCケース
今から25年前の1996年の製品発表会で、モバイルPCの上を人が靴のまま踏みつけて歩くというスキャンダラスなデモをやったThinkPad 560の登場以来、“モバイルPCはタフで当たり前”がPC各社の大きな開発目標の一つとなった。そしてその目標は、今では国内外のメジャーなメーカーでは達成されたと言っても良い。
令和の時代、もはや“モバイルPCをケースで守る”というレガシーな発想は意味がないことだけは事実だ。しかし、いまだに多くのモバイルPCケースが市場には溢れている。もはやモバイルPCケースは仮装やコスプレと同じアイデンティティ商品なのだろう。
さすがに内容物を外圧から守るというだけのモバイルPCケースは、競争力が低いと感じるケースメーカーが増えたのか、昨今ではモバイルPCの使用時に底上げし、キーボードに傾斜を付けるモバイルPCスタンド機能を併せ持つケースなども登場してきている。

COZIのモバイルPCスタンドは側面のポケット引き出して使用する
海外ブランドのCOZIケースなどがその先駆けだったが、今回ご紹介する商品はクラウドファンディング育ちのLEMORE「MOFT Carry Sleeve」(以下、モフトキャリースリーブ)という商品だ。

SLEEVE、STAND、STORAGEの1台3役を実現するモフトキャリースリーブ

厚さ約7mm、340mmx240mmの横型封筒のような形状のモフトキャリースリーブ
スリーブ本体のマテリアルとして、曲げや引っ張りに強い特殊加工したポリウレタンとファイバーグラスを採用している。内部にモバイルPCを収納していない状態では、極めてスリムでフラットな大きめの横長封筒のようなイメージだ。
対応モバイルPCのサイズは13インチ、13.3インチ、16インチ、本体カラーはNight Black、Sienna Brown、Oxford Blueの3色(国内では5色展開)。筆者はThinkPad X1 Nano用に13インチのNight Blackを衝動買いした。
モフトキャリースリーブの特徴は単なるスリーブケースではなく、モバイルPCスタンド機能とストレージ機能(拡張する収納ポケット)を併せ持っていることだ。
モフトキャリースリーブ(13インチ)の本体サイズは、横340×縦240×厚さ約7mm。モバイルPCの取り出しには、マグネットで付着するフラップ部分を持ち上げて開き、内部にぴったりと入ったモバイルPCを引き出す。

マグネットで付着するフラップをめくってモバイルPCを引き出す
モフトキャリーケースは立体デザインの仕様が素晴らしく、モバイルPCを引き出す際も間口が上下に大きく広がり、取り出しは極めて容易でスムースだ。

立体構造が秀逸でモバイルPCを引き出す時も極めて自然だ

13インチ用を購入したのでThinkPad X1 Nanoには無駄がなくぴったりサイズだ
モフトキャリースリーブの“ウリ”の第1番目である“モバイルPCスタンド機能”は、傾斜角15度と25度の2段階の選択が提供される。前者の15度は、めくったフラップ部分の先端を山折りして、開口部内側に近づけるとマグネットで付着してスタンド姿勢となる。筆者は普段この15度を使用している。

開口部を開いてフラップを折り曲げてマグネットで付着するとスタンドに変身

スタンドに変身後のモフトキャリースリーブを側面から見てみた

傾斜角度は約15度となる。筆者はこの角度で使っている
より大きな傾斜角が必要なユーザなら、開口部の両エッジを内側に谷折りすることで簡単により大きな傾斜角を実現できる。傾斜角度は25度となり、より高い位置に画面や内蔵カメラを維持できるが、当然キーボードの傾斜角も大きくなり、人によっては外付けキーボードを併用した方が使い勝手は良いかもしれない。

より大きな傾斜角にするには、開口部の両側面を内側に谷折りする

液晶上端はかなりの高さまでアップするが、キーボードの傾斜も大きい

傾斜角度は約25度となり、10度アップする
もちろん25度という大きな傾斜角にしても、キーボード下端をホールド固定するストッパーの役目をするフラップがあるので、本体であるモバイルPCがずり落ちてくる不安はまったくない。

傾斜角がきつくてもストッパーがあるので、ずり落ちはない
そして“ウリ”の第2番目として、本体の一部に伸縮性能の高いネオプレーンゴム素材を採用し、ACアダプタやケーブルなど不定形な立体物を拡張収納してくれる“ストレージ機能”がある。忘れ物をしない……という意味で収納力はプラスだが、当然ながら出っ張りの大きなものを収納すると、外観上は不細工で、別の大きなカバンなどに収納する際にも、邪魔になることもあり得るだろう。

ネオプレーンゴム素材のポケット部分に内側から他の携帯物を収納できる

内容物がそれとなくわかるくらいナチュラルに拡張する
モバイルPCケースにどんな役割を求めるのか?
重さにセンシティブな筆者は、今回もモフトキャリースリーブ(13インチ)単体をキッチンはかりで実測してみたところ293g(スペック:285g)だった。しかし、これは軽量性能を気に入って購入した実測932gのThinkPad X1 Nano LTEモデルを、31%増しの1225gで持ち歩くのと同じになってしまう。
文頭写真でご紹介したCOZIのケースに入れて持ち歩けば、なんと総重量は1369gで46%増し、最近気に入って購入した日乃本帆布製の軽量帆布ケースなら1138g、筆者が普段愛用しているウルトラ軽量のタイベック製の封筒型ケースなら、持ち歩き総重量はたったの997gと1Kg切りだ。
ThinkPad X1 Nanoと最軽量のタイベック製封筒ケース組み合わせを1とするなら、日乃本帆布ケースなら1.14倍、モフトキャリースリーブなら1.23倍、COZIケースなら1.37倍となり、それだけ重いモノを持ち歩く計算となる。
モバイルPCケースに個人のアイデンティティーやコスプレ感など、プロテクト機能以外を求めるなら判断も違ってくるかもしれないが、筆者的には総モバイル重量が、大事なモバイルPC本体重量の1.2倍を大きく超える選択はない。令和の時代、もはやモバイルPCを重くて丈夫なケースでプロテクトする時代ではないのだ。

モフトキャリースリーブに収納すると、超軽量のThinkPad X1 Nano(932g)を1225gにまで押し上げてしまう。モバイルPCスタンド込みでも筆者的には上限の重さだ
そういう判断基準から考えるなら、モバイルPCスタンドの機能も併せ持つモフトキャリースリーブの1225gは、筆者の許せる上限値ギリギリだ。メーカーのエンジニアのたゆまぬ努力とテクノロジーの進化によってやっと成し遂げた軽量性能という“超大事なお宝”をモバイルPCケースの選択ミスで、水の泡としないこともユーザの大事な知恵であり選択だ。

今回の衝動買い
アイテム:LEMORE「モフトキャリースリーブ 13インチ ナイトブラック」 ・購入:Amazon.co.jp ・価格:6000円前後
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
T教授 撮影●T教授 編集●ASCII