手っ取り早く正確に「日本の景気動向」を知りたい人!内閣府の「月例経済報告」が超わかりやすい

手っ取り早く正確に「日本の景気動向」を知りたい人!内閣府の「月例経済報告」が超わかりやすい

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2022/05/14
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景気動向を知りたいが、情報が多過ぎて振り回されてしまう…。そんな人はまず、内閣府の「月例経済報告」を見てみましょう。慣れてきたら、掲載されている「3種類のグラフ」で景気動向を俯瞰してみましょう。「情報を読み解く感覚」を磨くことで、そっけなく見えるデータもずっと面白くなります。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

日本で最も景気判断に注力しているのは、日銀と内閣府

日本で最も景気判断に力を入れているのは、日銀と内閣府(旧経済企画庁)でしょう。日銀は展望レポート、内閣府は月例経済報告を発表しているので、景気について知るためにはその2つを見るのが基本です。

【日銀】経済・物価情勢の展望(展望レポート)

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/index.htm/

【内閣府】月例経済報告

https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/getsurei-index.html

しかし、日銀の展望レポートは、おそらく対象としている読者が金融市場のプロなのでしょう。難解で、表現も初心者フレンドリーとは言い難いものです。

金融政策は株価や為替などに大きな影響を与えるので、金融市場のプロたちは日銀の考え方を知ろうと必死になっています。それに対して日銀も、自分たちの考え方を金融市場のプロたちに伝えようと努力しています。「市場との対話」といわれるものです。

日銀の考え方が市場に理解されていないと、日銀が金融政策を変更したときに金融市場が驚いて過剰反応をするリスクがありますから、日銀は金融政策の変更を検討しているならば、その旨をあらかじめ市場に伝えておいて、株価や為替の急激な変動を避ける(時間をかけて少しずつ織り込んでいくように仕向ける)わけです。

金融政策についての日銀の考え方を示すためには、日銀が景気や物価の先行きをどう見ているかを示す必要があり、そのための手段として用いられているのが展望レポートなのでしょう。そうであれば、プロ同士の対話の材料として作られているわけですから、一般の人にとって難解なのは当然ですね。

月例経済報告は、一般人向けなのでわかりやすい!

展望レポートとは異なり、月例経済報告は、初心者向けに平易なものとなっています。一般の人を対象として書かれているのでしょう。まあ、閣議決定されるわけですから、平易に書かないと…(笑)。

表現が平易だというだけではなく、初心者にフレンドリーな構成になっていて、最初のページに結論が手短に書いてあるのです。

たとえば4月の報告では「 景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられる。」とあります。次に今後の見通しについても短くまとめられています。

これだけで、景気の現状と今後に関するイメージを持つことができるでしょうから、5分もかかりませんね。景気のことを真剣に調べようという人でなくても、毎月5分だけ景気について考えたいという人も、読者として意識している、ということでしょう。

月例経済報告はグラフも充実、ぜひ活用してみよう

月例経済報告のホームページには、主要経済指標というファイルがあり、これが数多くのグラフを載せていて、慣れてくると大変便利です。経済指標や株価等々について考えるときには、直近の数字や変化だけでなく、長期間にわたる過去のデータも同時に見ると色々なことがわかるからです。

【内閣府】月例経済報告 主要経済指標

https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/shihyou-index.html

たとえば、株価が下落したり経済成長率がマイナスになったりした場合、「大変だ」と捉えるべきなのか、「この程度のことならば、よくあることなので、落ち着こう」と考えるべきなのか、それを判断するためには過去の長期にわたるグラフを見るのが一番です。

したがって、慣れてきたら、時間があるときに豊富なグラフ群をじっくり眺めてみることをおすすめしますが、とりあえず今回は3つだけご紹介しておきます。

★GDPギャップのグラフ

本来、景気を語る上で最も重要なのはGDPなのですが、日本のGDP統計は振れるので、初心者が見ても何が起きているのか理解できない場合も多いでしょう。そこで筆者が、初心者にすすめるグラフの1つ目は「GDPギャップのグラフ」です。

世の中での注目度は高くないのですが、グラフを見ると景気の現状がイメージしやすいのです。景気がよくも悪くもない状態をゼロとして、プラスなら景気がよく、マイナスなら景気が悪いということだからです。

GDPギャップのグラフもGDP統計を用いて作っていますから振れるのですが、細かい動きに注目するのではなく、大きな目で全体像を見ながら景気の現状をイメージするようにしましょう。

★景気動向指数

2つ目は、「景気動向指数」です。なかでも「CIの一致指数」が「景気の現状」をイメージするのに便利です。これは、景気に関係ありそうな統計を集めてきて「加重平均」したものです。

強いて言えば、製造業関係の指標が多いので、輸出はいいけれども内需が悪い、といったときにはかなりよい数値になってしまったりしますが、それほど気にする必要は無いでしょう。

★完全失業率

最後の3つ目は、「完全失業率」です。これは大変有名で、「景気がいいというのは失業者が少ないということなので、失業率が景気だ」と考えている人もいるかもしれませんね。失業率の動きは景気の動きより遅れる、という点は問題ですが、これもそれほど気にすることはないでしょう。

ちなみに、景気回復に遅れる理由は2つあります。景気が回復しはじめても、企業はすぐに労働者を雇うわけではなく、社内で暇にしていた労働者の尻を叩いたり残業させたりするはずで、それでも足りなくなったときにはじめて労働者を募集する、というのが1つ目です。

もう1つ、失業者の定義は仕事を探してもみつからなかった人ですから、仕事探しを諦めている人は失業者に数えられません。そうなると、奇妙なことが起こるかもしれません。不況期に仕事探しを諦めていた人が、景気が回復しはじめると仕事を探しはじめるので、失業者がなかなか減らず、場合によってはむしろ増えてしまうわけです。

もっとも、景気の専門家でない人は、失業率を景気だと思っていても、それほど大きな実害はありませんので、失業率で大きな景気のイメージを持っていただければと思います。

今回は以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解です。また、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

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塚崎 公義
経済評論家

塚崎 公義

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