Pornhub新オーナーは影ある同社の透明性向上を目指す

Pornhub新オーナーは影ある同社の透明性向上を目指す

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2023/03/19

世界最大のポルノサイトPornhub(ポルノハブ)の親会社MindGeek(マインドギーク)は、プライベート・エクイティ・ファンドのEthical Capital Partners(ECP、エシカル・キャピタル・パートナーズ)に買収されたばかりだが、ECPはサイト内の搾取的な性的動画を一掃することを約束している。

世界で最も人気のあるポルノサイトであるPornhub新しいオーナーは、影をもつ長い歴史に彩られたこの会社の全貌を、隠すことなく一般に公開したいと考えている。

米国時間3月16日、カナダのプライベートエクイティ会社ECPが、Pornhubの親会社であるをマインドギーク買収したと発表した。オタワに本拠を置くECPの創業パートナーで刑事弁護人のソロモン・フリードマンは、ルクセンブルクに本社を置きモントリオールで活動するマインドギークは、これから透明性に関する新しい時代を切り拓くだろうという。

「私たちは、公開され、透明性があり、見つけやすく、連絡をとりやすいチームです」とフリードマンはいう。「マインドギークだけでなく、この業界は新しいアプローチが必要な時期に来ているのです。これまでのような不名誉や恥がなくなるような環境が必要なのです」

マインドギークは、レイプや児童虐待の動画で利益を得ているという非難が相次ぎ、ここ数年は厳しい状況に置かれてきた。同社は、一部のウェブサイトにアップロードされた10代の若者や子どもの性的に露骨な動画が原因で、米国で集団民事訴訟を起こされるなど、多くの法廷闘争を繰り広げている(1日の訪問者数が1億3000万人を超えるPornhubに加えて、マインドギークはYouPornとRedTubeも所有している)。マインドギークは不正行為を強く否定しているが、VISAとマスターカードは、Pornhubとマインドギークの広告プラットフォームTrafficJunky(トラフィックジャンキー)をその決済ネットワークから遮断した。マインドギークによると、そのサブスクリプションサイトは再びマスターカードの決済ポータルにアクセスできるようになったが、広告事業者はアクセスできないとのことだ。

フリードマンは、マインドギークの前途に課題があることを認めているが、一般市民、会社の関係者、さまざまな組織を巻き込み、同社のウェブサイトにアップロードされた動画に登場する人々の年齢、身元、同意を確認するための技術への投資を強化していくという。
「このプラットフォームは、アダルト面で最も安全で法律遵守の存在であるだけでなく、もちろん、インターネット全体をリードするものでありたいのです」とフリードマンは語る。「オンライン・オフラインの保護ツールが整い、合法的で同意が得られたコンテンツを責任持って提供するクリエイターによるアダルトサイトで、人々が快適に楽しめる場所は他にはありません」

フリードマンは、マインドギークが「アダルト業界だけでなく、インターネット全体が抱える問題」に対処するために、関わり合い、協力し合いたいと付け加えている。

ECPは、フリードマンを中心に刑事弁護士のファディ・マンスール、カナダ騎馬警察官で大麻産業に携わったデレク・オグデン、コミュニケーションや広報を専門とするサラ・ベインなどのパートナーが集まって創業された。

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Netflix(ネットフリックス)の新しいドキュメンタリーMoney Shot(マネーショット)は、Pornhubの多くの成功とスキャンダルを描き出している。写真は制作陣と出演者たち(Getty Images)

ファイナンシャル・タイムズが2022年に行ったマインドギークの調査によれば、報道嫌いで秘密主義の元大株主バーント・バーグメアが支援していたこの非公開企業は、2018年に4億6000万ドル(約606億2000万円)の収益を上げていた。グローブ・アンド・メールが入手した資料によれば、同社は2020年には収益を4億8200万ドル(約635億2000万円)にまで増やしていた。

これまでのスキャンダルにもかかわらず、フリードマンはマインドギークの将来は明るいと考えていて、アダルトエンターテインメントおよびテクノロジー企業であるECPは、アダルトサイトのみならずインターネットを悩ませている問題との戦いを支援するために、ポルノ業界以外でサービスの一部も収益化できると主張している。
「彼らが生み出した技術には、モデレーション、金融セキュリティ、データプライバシーに関する信頼と安全の両面で、莫大な未開発の価値があると考えています」とフリードマンはいう。「私たちがマインドギークの中で見出したのは、業界をリードするツール群でした。そして、さらに開発を続けられる可能性があるのです。私たちの見解では、オープンな対話、業界を超えた協力、インターネット業界の主要プレイヤーとテーブルを囲み、安全で合法的かつ責任ある方法で、セックス肯定的なオンライン表現について、本当の意味で公開討論をする可能性が大いに残されていると思います。これらは、もちろん簡単ではありません。しかし、大きな挑戦には大きなチャンスがともなうのです」

前オーナーは目立たないようにしようとしたが、ECPはその逆を行こうとしている。同社に対する一般の認識は芳しいものではない。2020年にニューヨーク・タイムズに掲載されたニコラス・クリストフの論説では、このプラットフォームで10代や子どもたちが人身売買や搾取に遭っているとされる多くのエピソードが紹介されている。だがフリードマンは、オープンな対話を通じて多くの問題に対処できると考えている。米国時間3月15日に公開された、Netflix(ネットフリックス)の挑発的な新ドキュメンタリー「Money Shot: The Pornhub Story(マネーショット:Pornhubは語る)」は同プラットフォームを巡るこれまでの数々の論争を描いたものだ。

「性的表現が、性の健康と健康の両方で、私たちの社会にどのように適合するかについての議論が必要なのです」とフリードマンはいう。「この議論は密室では実現できませんし、狭い視野で行うこともできません。私たちのチームは、物事の捉え方がまったく異なります。私たちは、この会社が行っている仕事を誇りに思っています、すなわち、同意のある成人のためのプラットフォームであり、コンテンツや個人的な表現を自由に共有し利益を得るための中核的サービスを提供できているという点です」

だが多くの人が、ポルノを陽の当たる場所に連れ出そうというECPの目論見に賛同しているわけではない。Pornhubの閉鎖と幹部の責任追及を目的とした組織Traffickinghub(トラフィッキングハブ)を設立したライラ・ミケルウェイトは、新しいオーナーになっても何も変わらないと考えている。買収のニュースを受けて、ミケルウェイトは、ツイッターで「Pornhub買収するために作られた持株会社ECPは、白々しい茶番劇だ」と述べている

forbes.com 原文

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