紀伊半島を縦断「五條新宮道路」整備進行中 十津川への狭隘道を次々バイパス 進捗は?

紀伊半島を縦断「五條新宮道路」整備進行中 十津川への狭隘道を次々バイパス 進捗は?

  • 乗りものニュース
  • 更新日:2021/10/14

ほとんど平地のない谷間をトンネルで抜ける

国道168号は和歌山県新宮市を起点に大阪府枚方市へ至る道路ですが、そのうち新宮から奈良県五條市までは、かつて国鉄が鉄道路線「五新線」を建設していました。残念ながらその鉄道計画は大規模な遺構を残して未完成に終わりましたが、現在このルートに、高規格道路の建設が進んでいます。

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2019年に全通した「十津川道路」(画像:国土交通省)。

「五條新宮道路」という名称のこの高規格道路は、国道168号のバイパス道路建設と現道拡幅により、奈良県と和歌山県を直結する紀伊半島縦断ルートとして、自然災害等に強く、安全に走行できる道路を実現するもの。北から工区順に「辻堂バイパス」「長殿道路」「宇宮原バイパス」「川津道路」「十津川道路」「本宮道路」「熊野川・本宮道路」「日足道路」「越路道路」などから構成されます。

約130kmもの距離を高規格道路にする大プロジェクトですが、現在、その大半が事業化あるいは開通済みとなっています。

最近の話題では、2019年9月に「十津川道路」の平谷~小原間6.0kmが全通。曲がりくねる峡谷沿いの道路を長大トンネルで一気にショートカットするものです。このバイパス道路の開通により、十津川村役場や小原の温泉郷と、平谷の十津川温泉とが直結。所要時間は約30分から約10分へ大幅短縮し、村内移動の利便性が向上しました。他にも、県境付近の七色地区から熊野本宮までの5.4kmのバイパス道路「十津川道路」「本宮道路」が2013(平成25)年までに全通しています。

2021年10月現在で事業中の区間は、北から順番に以下の計5工区と2道路となっています。

・新天辻工区:五條市西吉野町阪巻~大塔町阪本、延長7.2km、トンネル主体、2018年度事業化
・阪本工区:大塔町小代~阪本、延長1.4km、トンネル主体、2014年度事業化
・長殿道路:十津川村長殿、延長2.6km、トンネル主体、2012年度事業化
・風屋川津・宇宮原工区:十津川村宇久原~野尻、延長計6.9km、トンネル主体、2013年度事業化
・十津川道路(II期):十津川村平谷~七色、延長5.6km、トンネル主体、2020年事業化
・相賀高田工区:和歌山県新宮市高田~相賀、延長4.8km、トンネル・橋梁主体、2017年度事業化

工区の大半は平地のない急峻な谷間のため、バイパス道路はいずれも谷筋をトンネルで真っすぐにショートカットするものになっています。新天辻工区~風屋河津工区が全て開通した場合、五條市から十津川村役場までの所要時間は約21分短縮される見込みです。

「日本最長のバス路線」の風景はどうなる?

ちなみにこの道路をほぼ全走破する形で、奈良交通が一般バス路線「八木新宮線」を運行しています。近鉄大阪線・橿原線の大和八木駅(奈良県橿原市)からJR紀勢本線の新宮駅(和歌山県新宮市)を結ぶ路線の総延長は166.9km、停留所数は166で、日本一の長距離バス路線となっています。6時間半の旅路のほとんどは国道168号上で、車窓の大半は紀伊山地の奥深い谷間の風景となっています。この道路が、急ピッチで高規格道路と生まれ変わっているのです。

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大和八木駅と新宮駅を結ぶ奈良交通の「八木新宮線」(恵 知仁撮影)。

とはいえ、路線バスはあくまで沿線の貴重な生活の足でもあります。2009(平成17)年からバイパス道路や拡幅道路の開通が順次行われてきていますが、バスは集落に差し掛かるたびに旧道に進入していきます。狭く沿道に家屋が並ぶ風景が、かつての国道168号の姿を偲ばせます。

それぞれの工区と、対応する「八木新宮線」の停留所はおおむね下記のようになっています。

・新天辻工区・坂本工区:宗川野橋、市原、大久保口、下永谷、永谷、天辻、星のくに、下天辻、阪本
・長殿道路:塩鶴、長殿、長殿発電所前
・宇宮原工区:該当なし(旭橋~小栗栖)
・風屋川津工区:川津西、川津、風屋、滝川口、風屋花園
・十津川道路(II期):豆市、鈴入、平谷口、十津川温泉、蕨尾口、蕨尾、ホテル前、櫟砂古、桑畑小井、果無隧道口、桑畑、桑畑隧道口、二津野
・相賀高田工区:該当なし(神丸~新宮高校前の特急区間)

宇宮原工区となる区間では現道に停留所がないため、バイパス開通後はバスの経路が新道経由に切り替わる可能性が高そうです。

乗りものニュース編集部

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