ニトリが島忠を、NTTがドコモを、なぜ大型TOBが行なわれるのか?

ニトリが島忠を、NTTがドコモを、なぜ大型TOBが行なわれるのか?

  • @DIME
  • 更新日:2020/11/21
No image

2020年後半に入り、大型のTOBが活発化しており、ニュースでTOBという言葉をよく見かけるのではないでしょうか。国内過去最大のTOBとなったNTTによるドコモへのTOB、争奪戦となったDCM、ニトリによる島忠へのTOB、TOBの仕組みが分かればより理解することができるでしょう。

2020年の大型TOB

■NTT→ドコモ(完全子会社化、上場廃止)

そもそもNTT傘下であったドコモをTOBによりすべての株式をNTTが取得し、100%完全子会社化に。

買収総額は約4兆円2,500円と国内企業で最大規模のTOBとなるが、完全子会社化により一体となって5G、菅首相が求める携帯電話料金値下げにも応じられるよう効率的な経営を目指す。

記者会見では、それぞれの会社が上場して株主がいると、それぞれの権利を考慮しているうちに意思決定に時間がかかってしまうため、一体となることでスピード感のある経営ができるとしている。

■ニトリ→島忠(完全子会社化、上場廃止予定)

そもそもDCMホールディングスが島忠にかけていたTOBを、より高い価格でニトリがTOBをかけた。最初島忠はDCMに応じる予定であったため、ニトリは敵対的TOBになるものといわれていたが、島忠の特別委員かはDCMより3割高い買付価格であるニトリの提案を受入れることに合意し、ニトリの敵対的TOBは回避され、友好的なものとなった。それに対してDCMはTOBを延長するも、ニトリを上回るTOB価格を提示しない限りTOB成立は難しくなっている(2020年11月17日時点)。

島忠の株主は、DCMのTOBに応じても、ニトリのTOBに鞍替えすることが可能。

■コロワイド→大戸屋ホールディングス(子会社化、上場維持)

もともとコロワイドの関連会社であったところ、大戸屋の減益が続いており早急な改革が必要だった。そこに新型コロナ感染症による来店客の減少が追い打ちをかけ、大戸屋の立て直しが必要となるも、調理方法、仕入れ方法等で経営陣との折り合いがつかず、TOBにより強行的に株式を過半数占めることで経営陣を刷新した。

上記2社と異なり、敵対的TOBとなっている。

TOBとは?TOBの流れ

TOBは、現在の一般株主に対して現在の株価より高い価格を提示し、応じてもらうことで、株式を取得することです。

なぜ株式を取得するのでしょうか。株式を取得する理由として主に経営権を握ることにあります。

株式を発行する会社は、株式を保有する株主で議決される株主総会が開かれます。株主総会では経営権を握る取締役の選任、解約が可能です。取締役の選任等は普通決議で50%超つまり過半数の賛成があれば決議できます。

すなわち、過半数を超えて株式を保有していれば経営権を握ることができるため、発行株式の過半数を得るために現株主から高い価格を提示して譲ってもらうのです。

また、過半数までいかなくとも1/3までの取得なら、株主総会特別決議拒否権を得ることができます。

過半数を握っている場合は子会社、20%以上の場合は関連会社、100%の場合は完全子会社に定義されます。完全子会社は他に株主がいないため、完全に経営権を握ることができます。

なお、株式の保有割合に関わらず、親会社から取締役が派遣されている、事業支配に関わる契約がある等により子会社、関連会社とすることもあります。

さらに、子会社化すれば連結に、関連会社であれば持分適用として、持分に応じて利益を決算に反映させることができます。

TOBを使わずに株式を取得することはできますが、市場で普通に取得すると憶測で株価が跳ね上がり想定以上の株式数を取得できなかったり、想定以上の買収金額になってしまったりするため、TOBで取得期間や取得価格をあらかじめ決めて取得すれば、計画通りに取得することができるため、TOBが株式を大量取得するために使われています。

なお、TOBをかけられる側の経営陣の賛同を得られていれば友好的TOB、賛同を得られてない場合には敵対的TOBとなります。敵対的TOBの場合、買収防衛策を講じられる可能性があります。買収防衛策として、他の友好的な第三者に株式取得してもらう「ホワイトナイト」、新株を発行し買収者の株式保有割合を下げる「ポイズンピル」等があります。ポイズンピルは個人株主でも、発行株式数増加により1株あたりの利益が希薄化し、株価が下がる影響を受けるため、注意が必要です。

TOBの流れ、種類により応じるか判断

保有している株式でTOBがかけられたら、期限までにTOBに応じるかどうか判断する必要があります。TOBの種類によっては、そのまま保有し続けて良い場合はあります。

TOBに参加するには、指定された証券会社に口座開設をし、保有株式を振替、TOBに参加します。通常振替時には出庫する証券会社で手数料がかかりますが、TOBによる出庫ならかからないことがほとんどです。市場で売却すると売却手数料がかかりますが、TOBに応じるならかかりません。TOB期間は1ヶ月程度であるため、振替には1週間程度かかるため、早めに手続きする必要があります。

TOBに参加する以外にも、保有し続ける、市場で売却するという方法も考えられます。TOB銘柄は、TOBの価格付近で株価が動くため、同水準で簡単に売却することができます。ただ、売却手数料がかかることと、TOB価格を下回る売却価格となってしまうことがデメリットです。

市場で売却するときに注意したいのは、TOBが発表されTOB価格に株価が近づきますが、その後他の会社も大幅に上回る価格で敵対的TOBをかけられたら、早く売却してしまうともっと高く売却できたと後悔する可能性もあります。

一方、TOBに応じる申込みをして、他の高い価格のTOBがかけられたときは、より高いTOBに申込みし直すことが可能です。

保有し続けると強制売却されることが多いです(スクイーズアウト)。スクイーズアウトされると公開買付者からTOB価格と同額が交付されますが、保有株式は上場廃止となるため株式がNISAや特定口座から払い出されてしまい、利益が出ている場合は確定申告が必要になります。

■完全子会社化、上場廃止→煩雑だがTOBに参加するのがおすすめ

TOBに参加するのに、他の証券会社への移管が必要な場合手続きが煩雑となりますが、売却手数料がかからず、TOB価格で売却でき、新たに上回る価格でTOBがかけられても成立していない限り申込みし直すことができるため、TOBに参加するのがおすすめです。

それでも面倒と感じる場合は市場で売却すると良いでしょう。

■NISA口座で保有、TOB価格で利益が出る→TOB取扱証券会社ならTOB参加、違うなら市場で売却

TOB銘柄取扱証券会社で保有している場合、NISA口座のままTOBに参加することができます。

ただ、他の証券会社だと移管するときにNISA口座から出されてしまうため、利益が出ているならそのまま市場で売却するのがおすすめです。

■一部TOB、上場維持→保有、TOB参加、市場売却

一部TOBの場合は、TOBに参加しても上限があるため、按分にて割当られます。そのため、参加しても全て売却できるとは限りません。この場合市場の株価もTOB価格付近より安くなっている可能性もあります。ただ、保有し続ける選択をしても、株価はTOB発表前の水準に戻ってしまうため、自分の買付価格、今後の株価動向などを鑑みて判断しましょう。

TOBにはドラマがある!

5G、新型コロナウィルス感染症、自動運転、高齢化など大きな変革が必要とされる日本企業において、今後さらにTOBが増えるかもしれません。TOBは友好的なTOBなら今後の企業通しの相互作用が見込まれ、敵対的TOBなら買収防衛策など、変革を遂げて成長をしようとする企業のドラマがあります。

TOBについて理解の上、ニュースをみるとおもしろくなるでしょう。

文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加