◆スマホゲームの課金にウンザリ…
東京都内のゲストハウスを転々としながら、日雇い派遣の仕事を中心に、まったくお金にもならない小説を書くという生活を長年続けている筆者。当然、生活費を抑える必要がある。そんななかで衣食住にまつわるグッズが低価格でそろう「100円ショップ」は欠かせないものだ。

ブロックエックス
玩具の品揃えも充実している100円ショップの「ダイソー」で気になる商品を見つけた。ブロックエックス(税込330円)というLCD(液晶)ゲームである。本体はスマホくらいのサイズで、これでなんと23ものゲームが遊べるという。

スマホくらいのサイズ
スマホサイズのゲーム機ならばスマホのゲームでいいではないか……と思う人もいるだろう。が、ブロックエックスにはスマホのゲームにはない大きなメリットがあるのだ。スマホのゲームの多くはプレイするたびに勝手にランキングを付けられ、巧妙な手口で承認欲求や射幸心を煽られて課金へと誘われる。
さらに期間限定のイベントも頻繁に発生し、それをクリアするのが次第にノルマのようになってくる。こっちはただ暇潰しにちょっとゲームで遊びたかっただけなのに……。
◆気軽にサクッと遊べる

付属の単4電池2本をセット
その点、ブロックエックスはどうか。330円の買い取りで、そのあとに課金を求められることは一切ない。勝手にランキングを付けられることもなく、期間限定のイベントが発生することもない。自分のペースで気軽にサクッと遊べるのだ。
まずは本体裏面のフタをプラスドライバーで開け、付属の単4電池2本をセットする。そして表面のオン/オフボタンを押すと電源が入るのだが、このときにピロピロピロ……とけっこう大きな電子音が鳴るのでびっくりしてしまう。サウンドボタンを押すとこの音は消すことができるので、特に電車内など公共の場でプレイするときはすぐに消したほうがいいだろう。
右下の大きな丸ボタンでゲームの種類、十字キーの上下でレベルを選択し、S/Pボタンを押すとスタートする。
◆テトリス(ふうのゲーム)だけで16パターンも

箱の裏面
電源を入れて最初に出てくるゲームはブロックゲームだ。上から落ちてくるブロックを回転させながら並べていき、横一列にそろえて消すというもの。要するにテトリスである。このゲームだけで、時間経過とともに下からブロックがせりあがってきたり、ブロックが横にズレていったり、ブロックが下から上がっていったり……など16パターンもある。23のゲームで遊べるとはいうものの、これらのパターンもすべてひとつのゲームとして数えられているため、実質的には8ゲームである。

ブロックゲーム
いや、他にも似た感じのゲームはあるので5ゲームくらいだろうか。まあ、テトリスはシンプルながら非常に奥の深いゲームなので、これくらいたくさんのパターンがあってもいいのかもしれないが……。
◆懐かしさも感じさせてくれる

タンクバトル
テトリスの他に面白いのはタンクバトルである。戦車を動かして弾を発射し、敵の戦車を破壊するだけという、テトリスよりもさらにシンプルなゲームだ。が、敵の弾に一発でも当たったら即死というシビアさが手に汗握る。それに、僕が子供の頃に遊んでいたバトルシティーというファミコンのゲームに少し似ており、懐かしさも感じさせてくれる。
◆スペースインベーダーさながらのゲームも
シューティングというゲームもなかなか面白い。戦闘機を左右に動かして弾を発射し、敵を倒すというものなのだが、これはかなりスペースインベーダーに近い。今どきの子供たちには到底信じられないだろうが、昔はこんなのが熱狂的に流行っていたのだ。このゲームで遊んでいると、あの当時、冷房の効いた喫茶店の店内に響いていたピューン、ピューンというチープな効果音が脳裏にまざまざと蘇ってくる。
このブロックエックス、気軽にサクッと遊べるだけでなく、40代以上のおじさんには懐かしさも感じさせてくれること請け合いである。
<取材・文/小林ていじ>
―[借り暮らし40代日雇い男の「100円ショップ」生活]―
【小林ていじ】
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。100均グッズ研究家。