身売り中止のエンゼルス・オーナーが直面する最大の課題

身売り中止のエンゼルス・オーナーが直面する最大の課題

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2023/01/25

ロサンゼルス・エンゼルスのオーナー、アート・モレノは昨年8月、チームの売却に向けた正式な手続きを開始したことを公表した。そのモレノが、2023年シーズン以降もチームのオーナーにとどまることが明らかになった。

エンゼルスを手放せば、保有資産41億ドル(約5300億円)と推定される富豪のモレノは、さらに相当額を手にすることができただろう。フォーブスが複数の筋から得た情報によると、2020年に過去最高額となる24億2000万ドルでニューヨーク・メッツを買収したスティーブ・コーエン以上の金額を用意するとして買収に名乗りをあげた候補が、少なくとも3人いたという。

チームの売却額は、30億ドルになるとの見方も示されていた。フォーブスが昨年3月に公表した推計では、エンゼルスのチーム価値はおよそ22億ドルにのぼっている(モレノは2003年、1億8350万ドルで同チームを買収した)。

情報を公開する権限がないとして、匿名を希望した関係者らによると、買収に関心を示していた一人は、日本人だった。また、すべての候補に、オーナーになるのに十分なだけの資金力があったという。

さらに、候補のうちの1人は、すでに建築家と建築会社を雇い、建設から57年になるエンゼルスタジアムを訪れ、収益を引きあげるために必要な改修工事にかかる費用を調査することまでしていたという(前回の改修工事が行われたのは1998年で、1億1700万ドルが費やされた)。

買収を検討していた候補たちは、球場のネーミングライツ契約(年間およそ1000万ドルの収入になると推定)や、球場周辺の複合施設の建設、アナハイム市が所有する球場周辺の駐車場(面積は約61万平方メートル、2038年までのリース契約で球団が管理)などを通じて、チームの価値をさらに高めることができると考えていたとされる。

売却を検討した理由は?

モレノがチームの身売りを考えた理由には、アナハイム市議会との対立もあったかもしれない。モレノは球場とその周辺の土地の購入・開発を計画していた。だが、アナハイム市議会は昨年5月、すでに合意していたその土地の売却契約を無効とすることを決定した。

--{エンゼルスは大谷を維持できるか?}--

これに対し、モレノは市を訴える考えを示した。この契約については、交渉中にハリー・シドゥ前市長がエンゼルスに内部情報を提供した疑いがあるなどとして、FBIが汚職に関する調査を行っていた。

大谷を維持できるか?

76歳のモレノにとって、今後に向けての大きな課題は、所属するスーパースター、ベーブ・ルース以来、最も得点高い能力の高い二刀流の選手として活躍する28歳の大谷翔平をどうするかということだ。

大谷は2023年シーズンの終了後には、フリーエージェントとなる。新たに結ぶ契約に必要となる総額は5億ドル(約650億円)、年俸は4500万~5000万ドルになるとの見方もある。

確かに、エンゼルスの2022年シーズンの利益は、2500万ドルを超えたとみられ、チームの財務は安定している。だが、モレノが大谷の獲得に向けて動いているとうわさされるロサンゼルス・ドジャース以上の年俸を提示できるかどうかは、不透明だ。

たとえ大谷を維持することができたとしても、モレノが7年連続で負け越したチームを強化するため、その他の選手をそろえるのに必要な金額を用意することは、難しくなるだろう。エンゼルスが選手たちに支払う給与の総額は2022年シーズン、MLB全体で10番目に多い金額だったと推定されている。

検討していた球団売却を見送ると発表したモレノは、「私たちの心はいまもエンゼルスとともにあることに気付いた」と語った──その“心”には、30億ドルの値段がついていたかもしれない。

forbes.com 原文

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