コロナ対策の現金給付はベーシックインカムへの道筋となるか

コロナ対策の現金給付はベーシックインカムへの道筋となるか

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/06/11
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米国ではこれまで、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気刺激策として、現金給付が3回実施された。もしかしたら今後は、「現金給付」が毎月実施される時代が到来するのだろうか。

景気刺激策としての現金給付による影響
米誌『ワシントン・ポスト』の経済記者ジェフ・スタイン(Jeff Stein)がツイートしたように、米政府が景気刺激策として支給した現金給付は、次のような経済的好影響をもたらした。

・食料が不足している世帯:42%減
・経済不安を感じている世帯:43%減
・不安とうつの症状がある人:20%減

このツイートに、米連邦下院議員のイルハン・オマル(民主党・ミネソタ州選出)が反応し、3回の現金給付による成果は、「ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)」実施に向けたケーススタディになるとツイートした。

コロナ禍の終息まで、毎月2000ドルを現金支給すべきという主張
オマルは、パンデミックが終息するまでは米国民に毎月2000ドルの現金を給付すべきだと訴えてきた。今回のツイートではその点に触れていないが、2月のツイートでは以下のように述べている。

「パンデミックが終息するまで、毎月2000ドルの現金を支給する必要がある。私は、ティム・ライアン(下院議員、民主党)、マイケル・タブス(カリフォルニア州ストックトン市長)、ステファニー・ボーニン(Stephanie Bonin、毎月の現金給付を求めて署名活動を行った飲食店オーナー)、ナタリー・フォスター(Natalie Foster、Economic Security Project共同創業者)とともに、経済が完全に回復するまで米国民に2000ドルを給付するよう訴えたい」

オマルは2021年1月、ほかの民主党議員55人と連名で米大統領ジョー・バイデンに書簡を送り、毎月2000ドルの現金を支給するよう強く求めた。「一時的に2000ドルを配ったところで、どう考えても十分ではない」とオマルは述べた。「米国民は私たちに大変革を期待している。私たちはそれに応えるべく、毎月2000ドルを支給しなくてはならない」

毎月の現金給付とユニバーサル・ベーシックインカム
景気刺激策として毎月現金を支給することと、ユニバーサル・ベーシックインカムには、どのような関係があるのだろうか。ユニバーサル・ベーシックインカムは、受給者に収入を保証する社会保障のひとつで、新しい考え方というわけではない。古くはマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが最低限の所得補償を提唱していたし、最近では、2020年米大統領民主党予備選に出馬したアンドリュー・ヤンが、ベーシックインカムを公約の柱にしていた。

ヤンが掲げていた公約は、毎月(しかも死ぬまで)のベーシックインカム支給であり、新型コロナウイルスの感染拡大や、何らかの経済危機と関係したものではない。「自由の配当(Freedom Dividend)」と称したヤンの計画は次のようなものだった。

・18歳以上のすべての米国民に、毎月1000ドル(年1万2000ドル)を支給する。
・受給資格は設けない。
・この給付金は政府が保証するもので、生涯支払われる。

米議会は、コロナ終息までの現金給付、またはUBIを可決するか
バイデンは毎月の現金給付を支持していないが、副大統領カマラ・ハリスは上院議員時代に、毎月2000ドルの現金給付を支持していた。いずれにせよ現時点では、毎月2000ドルの現金給付を実現させられるだけの票は集まっていない。

米国では現在、パンデミックに対応するための4回目の現金給付が実施されるか否かが話題となっているが、いくつかの理由から、4回目はなさそうだ。現在の議会の状況を見る限りにおいても、ユニバーサル・ベーシックインカムが実現することはないだろう。景気刺激策としての月2000ドルの現金給付は、新型コロナウイルス感染拡大に対応するためのもので、期間が限定されている。それに対して、ユニバーサル・ベーシックインカムは恒久的に続くものだ。

とはいえ、食料不足や経済不安が減ったことはもちろん、不安やうつ病が減少したことなどを示す経済的・社会的なデータを見ることによって、救済策に代わる別の方法を探ろうという機運が再び盛り上がるかもしれない。

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