仙台育英・須江監督の逆説的思考 史上5校目の夏春連覇へ「最高の負け方」で終えた秋の陣/武田千怜のアナザーストーリー(31)

仙台育英・須江監督の逆説的思考 史上5校目の夏春連覇へ「最高の負け方」で終えた秋の陣/武田千怜のアナザーストーリー(31)

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  • 更新日:2022/11/25

「〝最高の負け方だったな〟と思います」

地区大会を勝ち抜いた精鋭10チームが集い、秋の日本一を決める明治神宮大会。高校の部で史上初の連覇を達成した大阪桐蔭(近畿代表)に準決勝(11月21日)で4-5で敗れた仙台育英(東北代表)。須江航監督(39)が発した聞き慣れない談話が、記者の心に刺さった。負けたら終わりのトーナメント方式がほとんどの高校野球は、一戦必勝の世界。だからこそ、冒頭に書いた「最高の負け方」という言葉の真意に興味が湧いた。

仙台育英と大阪桐蔭はともに地区大会を制覇しており、来年3月の選抜大会出場が確実視されている。そんな状況で迎えた神宮での秋の陣。選抜大会ではおそらく優勝候補に挙げられるであろう両軍が、新チームとして公式戦でぶつかるのは今回が初めて。

「やはり大阪桐蔭さんと、公式戦の舞台で戦えて、届きそうという感覚もあったし、でも役者が違うというか、一個(レベルが)遠いというのも体感できた。こんなすてきな終わり方はないと思う。春が楽しみです」

試合後の言葉を読み解くと、須江監督が見据えていたのは一冬越えた春の戦いだろう。

自身のことを「大阪桐蔭マニア」「西谷監督マニア」と語るほど〝絶対王者〟を研究し、チーム作りの参考にしている須江監督。だからこそ、気づいたことも多かったようで、「(今大会の大阪桐蔭は)春へのステップという感じで采配されていて、選手の好きにさせている感じだった。もう少し細かい指示を選抜(大会)ではされると思いますし、まだまだ引き出しがあると思う」。

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試合前、須江航監督(右)の話を座って聞く仙台育英ナイン

2-5の九回に2得点して1点差に迫った粘り強さは「収穫」とし、「うちはファウルにしてしまうところを、(大阪桐蔭の選手は)ファウルにせずに決められる。投げ切りたいところで投げ切れる」と「一球の精度」を大阪桐蔭との差として挙げた。「最高の負け方」は決して負け惜しみではなく、実際に秋の神宮大会という最高峰の舞台で戦い、多くの学びがあったからこそ出た言葉だったのではないか。

指揮官は「春の選抜に向けて、いい経験値を積めた。11月末までこんな経験をさせてもらって本当にありがたい。次(選抜大会)もロースコアに持ち込みたいというのが僕のプラン。選手たちがきっとやってくれると思います」と不敵に笑った。大阪桐蔭に負けたことで、成長のヒントをもらった。史上5校目の夏春制覇へ、越えるべき壁ははっきりと見えている。(サンケイスポーツ・アマチュア野球担当)

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