日本企業、決算泣き笑い

日本企業、決算泣き笑い

  • アゴラ
  • 更新日:2022/05/14

北朝鮮でコロナが一気に拡大していると報じられています。おまけに中国やアメリカからのワクチン提供を頑なに拒み続けているそうです。理由が金正恩氏が「頭を下げられないから」。幼少の時に父の背中を見て育ち、自分がトップになってからはロケットを飛ばして「俺は怖いぞー」と恐怖政治をやり続けます。そんな「金様」を国民が尊敬し、慕っている様相は一種の宗教感覚なのだろうと遠い世界から眺めています。こういう体制は脆く、壊れる時はトップだけでなく全部崩壊する怖さがあります。

では今週のつぶやきをお送りします。

日本企業、決算泣き笑い

ソニー〇、トヨタ△、ソフトバンクG△、楽天✕、これが私のつけた今回の決算に対する通信簿。ソニーは利益1兆円クラブ入りというより着実な成長業種を抱え、ソフトとハード両方持ち合わせているところはアップルやマイクロソフトと比べてポテンシャルはもっと高いとみています。一方、トヨタの評価は本当はもっと下げたいぐらいです。自動車業界は数字がよいのです。日産でも復配です。売るものがないぐらいのフォローの風なので「追い風参考」にしかなりません。23年予想を控えめにしたことで投資家は一斉に売り浴びせ、4%ほど瞬間に下げたそのリアクションをメディアはあまり取り上げません。

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ソニーグループHPより

ソフトバンクGですが、1.7兆円の損失を発表した決算発表翌日、同社株は12%の上昇となりました。株を長くやっている人でも「悪材料出尽くし」と「決算後の継続売り」の見極めは非常に難しいと思います。例えばひと月前に決算が終わっているメルカリは昨年11月の高値7000円から70%も下落し決算後も売りが止まらなかったのと好対照です。孫正義氏は記者会見の独特のトークぶりでソフトバンクGを「白い犬のマスコット」のように「いきものがたり」にしているところが好き嫌いを別にして天才的才能と感じます。こんな豊臣秀吉の再来のような踊る経営者は日本には他にいません。「かわいいやっちゃ」と思わせる上手さでしょうか。

楽天は携帯参入時から私はずっと疑問視。そして三木谷氏は決算のたびに「今後はよくなる」を繰り返しています。では「Youはなぜ、携帯事業に」といえばその当時は寡占のこの業界に魅力を見出したのでしょう。しかし、設備投資を継続し、激しいサービス競争を勝ち抜かねばなりません。楽天はViberという無料通信アプリを長年持っています。実はこれ、海外に住む私には優れもので日本の固定電話に超格安でかけられ、LINEのような制約もないのです。よいものを持っているのに宝の持ち腐れ、そして新しいものに目が移りがちなのが三木谷さんの弱点でもあります。楽天はおもちゃ箱のような会社で磨けばもっと光るものが沢山あるのに、といつも思っています。

クリミア半島

日本の幕末の頃である1853年にクリミア半島で戦争がありました。ロシア対トルコ(オスマン帝国)で直接の引き金はエルサレムの管轄管理問題ですが、黒海の支配権や不凍港を巡る戦いでもありました。戦争には必ず「お土産」があるものでこれをきっかけに英仏の力が付き、ロシア、オーストラリアが弱体化しています。クリミア半島には第二次世界大戦の終戦協定で有名なリゾート地、ヤルタもあります。

「半島はいわくつき」というのは世界の共通語ですが、今次のウクライナを巡る話は奥がもう少し深いものがあります。スターリンの時代に肥沃な土壌から作られる小麦生産で著名なウクライナ地方である時、不作の年がありました。その際、スターリンはその少ない生産された小麦をモスクワや外貨稼ぎのために輸出に回します。生産地のウクライナ地方は大変な飢餓に陥り、恐ろしい話ですが、人肉を食べるほどだったとされます。これを憐れみ、スターリンの亡き後、フルシチョフがクリミア地域を自治区とし、ウクライナの管轄区にしたのです。国内管轄上のギフトです。ところが、フルシチョフが想像しなかったソ連の崩壊、ウクライナの独立でクリミア地方が旧ソ連から離されます。プーチン氏としてはこれを取り返したいというのが歴史的根底にある話でしょう。

ウクライナとロシアの講和の条件のカードは5-6枚あると思います。東部ウクライナの割譲、ウクライナのNATO加盟申請を長期間しないこと、プーチン、ゼレンスキー氏両名が講和をもって大統領を辞任すること、ウクライナへの賠償金の支払い、ロシアの全世界向けの謝罪とウクライナ以外の被害国への補償などを核に現代版ヤルタ会議をする、というのはありでしょうか?その場合、講和会議に出るのは米、中、欧(個別国家だと多すぎる)かもしれません。10年後の歴史の教科書にはどう記載されるのでしょうか?

絵に描いた餅にならないのか?経済安全保障推進法

本件NHKのウェブが面白いです。「覚えていますでしょうか。新型コロナウイルスの感染拡大直後にマスクが店頭から消えたことを。覚えていますでしょうか。去年の冬、半導体不足が原因で給湯器が品切れになったことを」と。なるほど、国家の安全基盤は自前でしっかり確保しましょう、というのです。だけど、あの中学生向けのようなサイズのアベノマスクは日本製ではないですよね。半導体投資はリスクがあると日経が昔、散々書き立て、企業は怯え、萎えました。「そんな英断、サラリーマン社長の僕にはできましぇーん」と。

私は国の大方針と企業には極めて大きな温度差がある分野が多いと感じています。そして企業側も「よし、2030年を見据えて」と挑んでも海外の水準に足元にも及ばないことだらけです。例えば今回の4本柱の一つ、「官民で先端技術の研究促進」とありますが、富士通はバンクーバーに同社の知能を移管しAIに全力で取り込むと言ったのに2-3年後にはほうほうの体で主力が引き上げました。コロナのワクチンも厚労省と製薬会社の長年のぬるま湯関係の中で緊急時の対応は3周遅れでした。「非公開特許の制度導入」と言っても日本はスパイ天国で日本人技術者や学者は英語でいうBrain Drain (頭脳流出)であってそれを食い止める餌(=報酬)はありません。

今、優秀な人材は省庁に入りません。ということは国家の基盤を支える省庁の実務部隊はどんどん高齢化しているともいえます。なぜ、国家を支えるエリートは育たないのか、一つには国会議員との関係もありそうです。この両者の関係はどう見ても議員が上で「官僚は俺にもっとわかりやすく説明しろ。俺は忙しいんだ」という姿勢です。野党議員の官僚への噛みつき方も結構厳しいようです。ある中堅役人氏の嘆きは「高齢の先生方は本当に理解していただくのが難しい」と。今回の経済安保も議員が議員のために作った法律であって地に足がついておらず、実務を担った役人氏もその影響を受ける企業側も何か異次元のものを見ているような様相ではないでしょうか?

後記私が会長を務めるNPOは他のコミュニティとの連携を今年の大方針で進めています。今週、韓国系ビジネス団体と初会合を行いました。関係が定着すれば非常に重みがあるきっかけになります。会合で思ったのは規模の違い。先方は当方の6-7倍の会員数と資金力。少し前に台湾系団体とも会合を持ちましたが、こちらも同様。でも共通点は中国本土の影響力の太刀打ちするには日台韓が一体にならざるを得ないという結論でした。政治的影響力を考えると日本独自ではもう無理。これは好む好まざるにかかわらず実務として直面している事態だということ、あらためて感じました。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年5月14日の記事より転載させていただきました。

岡本 裕明

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