「カクテル世界大会」に挑戦の森崎和哉さん、相次ぐハプニング乗り越え部門1位

「カクテル世界大会」に挑戦の森崎和哉さん、相次ぐハプニング乗り越え部門1位

  • ラジオ関西
  • 更新日:2022/11/25

11月4日~8日にかけて、キューバで開催されたカクテルの世界大会「ワールドカクテルチャンピオンシップ(WCC)」に、兵庫県神戸市でバー「SAVOY hommage(サヴォイ・オマージュ)」を営むバーテンダー、森崎和哉さん(45)が出場。狙っていた世界一には届かなかったものの、出場した「ロングドリンク部門」と「学科試験」で1位を獲得した。

【写真】世界一のロングカクテル「ビューティフル・ジャーニー」

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「ビューティフル・ジャーニー」が創作カクテル1位を獲得!学科試験でも1位を獲得!(写真左:森崎和哉さん)

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赤色が鮮やかな創作カクテル「ビューティフル・ジャーニー」

コロナ禍での中止を経て3年ぶりに開催されたWCCには、約60の国と地域から代表が1人ずつ出場した。各国の選手はあらかじめ「食前酒部門」「スパークリング部門」など5つの部門に割り振られ、森崎さんは「ロングドリンク部門」に挑戦することに。(ロングドリンク…容量の大きいグラスに氷を入れ、長時間かけて楽しむカクテル)

森崎さんがこの大会のために創作したカクテルは「ビューティフル・ジャーニー」(意味:美しい旅)。日本の6種類のハーブで香りづけした蒸留酒「六ジン」をベースに、マラスキーノ(さくらんぼ)リキュール、青りんごピューレ、赤しその自家製シロップなどを使い、パンチと奥行きのある味わいに仕上げた。

「このカクテルで表現したかった『美しい旅』とは、これまでの思い出(過去)と、これから出会う未来のワクワク感の両方、つまり時間を超えた旅です。日本の素材を使った『六ジン』は過去を、他に世界中の素材をミックスすることで未来を表しています」(森崎)

森崎さんはこの大会のために、数か月前から店の開店時間を遅らせて準備に力を入れてきた。英語でのプレゼンテーションも求められるため、英会話教室にも通った。開催場所となる海に面したリゾートホテルに着くと、ここが晴れ舞台になることを「最高やね」と自身を奮い立たせる。

いよいよ競技が始まった。まずは、カクテルに添えるガーニッシュ(飾り)作り。これを作る過程も審査対象となり、15分以内に5個作らなければならない。森崎さんの作品はキューバの国花「マリポーサ」をイメージした。

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制限時間内に細かい作業をする

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キューバの国花「マリポーサ」をかたどったガーニッシュが完成

競技は3人ずつおこなわれる。着席して比較的シンプルな飾りにじっくり取り組む選手が多い中、工程が複雑でスピード重視の森崎さんは立って作業。演舞のような流れる動きが人目を引き、観客がどんどん増え人だかりに。

会場を魅了した森崎さんだが、どこか表情が焦っている。聞けば舞台裏で、下準備の時間がほとんどなかったそう。しかも入場の際に、体が当たって他の選手のバー器材を落としてしまった。ペースをつかめず、本来は予備を含め6個作るはずが、時間制限で5個止まりに。

続くカクテル作りでも、ハプニングが森崎さんを襲う。舞台上の酒のボトルは、国内大会では蓋を開けたものが置かれるが、本大会では未開栓の状態。それを開けようとして、左手を切ってしまったのだ。

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酒瓶を開けるときに負傷してしまった左手

「焦る気持ちは一切なく意外と冷静で、『今日はこんな日なんやな』と呆れたというか。でもあれで『こんなことで終わってたまるか。見とけよ』と、スイッチが入ったのかもしれません」と、当時の心境を振り返る。

応急処置後、手袋をしてカクテル作りに臨んだ森崎さん。さすがに普段ほどの余裕はなかったものの、落ち着いて赤色が鮮やかなカクテル「ビューティフル・ジャーニー」を世界に披露した。

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思いを込めたシェイク

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予備のガーニッシュが作れなかったので、飾りつけは落とさないように慎重に…

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カクテルが完成し、ようやく笑顔が見えた森崎さん

相次ぐハプニングに見舞われながらも翌日の準決勝に進出。司会者から「JAPAN!」と呼ばれたときの、本人はもちろん現地応援チームの安堵感といったらなかった。

準決勝は、各部門の上位3人ずつ、合計15人で争われる。酒やカクテルの知識を問う「学科試験」と嗅覚や味覚を試す「官能試験」、7分間で5種類のカクテルを作る「スピードミキシング」の3種目で競い、上位4人が決勝に進む。

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準決勝でスピードミキシングに挑む

ここでも落ち着いた試技をした森崎さんだが、決勝進出には届かなかった。しかし最終日の表彰式で、「ロングドリンク部門」「学科試験」で1位を獲得。総合優勝のスウェーデン選手が「スピードミキシング」で1位だったことを除けば、2部門を受賞したのは森崎さんだけだ。

筆者は現地応援ツアーに参加し、森崎さんが奮闘する様子を近くで見ていた。着席せず舞台近くまでせり出してくる観客や、審判によって競技前の準備時間がまちまちになるなど、日本の大会とはかなり勝手が違い、難しさがあったことは素人目からも容易に想像できた。

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日本の競技会場では考えられない、ラフな観戦スタイル

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総合優勝は、スウェーデンのアンドリュー・ワトソン選手

そんな中、ハプニングに即座に対応して部門賞を2つも獲得した森崎さん。決勝を逃した後も落ち込む様子を見せず堂々と振る舞う様子に、こちらのほうが勇気をもらった。

最終日のパーティーのとき、森崎さんは各国の選手や関係者から、次々と写真撮影や握手、サインを求められていた。競技の点数には表れなくても、森崎さんの技術や思いがちゃんと伝わったのだと思うと、胸が熱くなるシーンだった。

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店の客や全国のバーテンダー仲間からメッセージが寄せられた日の丸

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ファイナルパーティーで多くの参加者から写真撮影を求められる森崎さん

こうした競技大会への出場を20代から続けてきた森崎さんにとって、今大会は大きな節目となったはずだ。バーテンダーとしての今後について尋ねると「(大会以外にもやりたいことは色々あるので)どれにしようかな、と考え中です」と茶目っ気たっぷりに語った。

世界大会で部門1位となったカクテル「ビューティフル・ジャーニー」は、SAVOY hommage(神戸・花隈)で飲むことができる。

(取材・文=合楽仁美)

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