【極めて異例】プレサンス元社長の国賠訴訟 特捜部の取り調べの録音録画の提出を命じる決定 大阪地裁

【極めて異例】プレサンス元社長の国賠訴訟 特捜部の取り調べの録音録画の提出を命じる決定 大阪地裁

  • 読売テレビニュース
  • 更新日:2023/09/26
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山岸忍元社長(60)

学校法人の土地取引を巡り、業務上横領の罪に問われ、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」の山岸忍元社長(60)が国に大阪地検特捜部による取り調べの録音・録画データを提出するよう申し立てていましたが、大阪地裁は19日、申し立てを認める決定を出しました。国に賠償を求める民事裁判で検察の特捜部が行った取り調べ映像の提出が認められるのは極めて異例です。

不動産会社「プレサンスコーポレーション」の山岸忍元社長(60)は、大阪府熊取町の学校法人「明浄学院」の土地取引を巡って、明浄学院の元理事長らと共謀して学校法人が運営する高校の土地を売却して得た手付金21億円を横領したとして、2019年12月、大阪地検特捜部に業務上横領の疑いで逮捕され、その後、起訴されました。

裁判で焦点となったのはこの計画を山岸さんが部下らから説明されて知っていたかどうかで、検察は山岸さんの関与を認めたとされる元部下ら2人の供述内容を有罪の立証の柱としました。一方、山岸さんは「部下らからは説明は受けておらず、金は学校の再建費用と認識していた」として、一貫して無罪を主張しました。

2021年10月、一審の大阪地裁は「被告に計画を説明したとする部下らの証言は信用できない」として、山岸さんに無罪を言い渡しました。この判決に対し、大阪地検は「証拠を精査したが、原判決の認定を覆すことは困難と判断した」として、控訴を断念し、山岸さんの無罪が確定しました。

■極めて異例の決定

その後、山岸さんは2022年3月、「大阪地検特捜部の違法捜査による冤罪事件で社長を辞めざるを得なくなった」などとして、国に7億7000万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしました。

裁判の中で、国は大阪地検特捜部による取り調べを録音・録画したデータの一部(約26時間分)を書き起こした書面を地裁に提出しました。

しかし、山岸さん側は検察に有利な供述を迫る核心部分などは黒塗りだったと主張し、約200時間分あるとされる取り調べを録音・録画したデータについて、国側に提出を命じるよう大阪地裁に申し立てを行っていました。

これについて、大阪地裁は19日、山岸さん側の申し立てを認める決定を出しました。国に賠償を求める民事裁判で検察の特捜部が行った取り調べ映像の提出が認められるのは極めて異例です。

■約18時間分のデータ提出求める

大阪地裁が提出を求めたのは約18時間分のデータで、理由については、「(担当検事が)机を叩いたり、恫喝したりするなど取り調べの中での動作や口調などの言葉以外の部分について調べる必要性が高い。当該の録音・録画データの開示で横領事件の捜査や裁判に不当な影響を与えるおそれはなく、公表したとしても他に何らかの支障が生じるおそれをうかがわせる事情は見当たらない」としています。

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