運動やダイエットなしで、肥満予防と筋肉アップをはかれる遺伝子療法が発見される(米研究)

運動やダイエットなしで、肥満予防と筋肉アップをはかれる遺伝子療法が発見される(米研究)

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  • 更新日:2020/05/14
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健康的な体を作るための遺伝子療法/iStock

脂肪を減らし、筋肉をつけるためには、食事制限や運動など、生活習慣を変えながら日々努力していく必要がある。

健康的で理想的な体型を作るのは一朝一夕では成しえないのだ。だが今回、マウス実験ではあるが、ダイエットや運動をしなくても、肥満を予防し、筋肉までアップできる新しい遺伝子療法が発見されたという。

この研究は『Science Advances』(5月8日付)に掲載された。

【他の記事を見る】ダイエットに絶大なる効果が!大便をフリーズドライした肥満治療薬の治験が開始(米研究)

Gene therapy for follistatin mitigates systemic metabolic inflammation and post-traumatic arthritis in high-fat diet–induced obesity | Science Advanceshttps://advances.sciencemag.org/content/6/19/eaaz7492

多様な細胞プロセスに影響するタンパク質「ホルスタチン」に着目

ほとんどすべての動物組織に発現している「ホリスタチン」というタンパク質がある。

これが発見されたのは1980年代後半のこと。当初は生殖ホルモンとしてその解明が進められていたが、のちになって筋肉増強など、さまざまな細胞プロセスに影響することが明らかとなった。

これまでの動物実験では、遺伝子療法によってホリスタチンの発現を促進すると、特定の筋肉変性疾患を緩和できることが明らかにされている。

変形性関節炎の治療としてのホリスタチン遺伝子療法

セントルイス・ワシントン大学(アメリカ)のチームによる新しい研究は、変形性関節症の治療法として、ホリスタチン遺伝子療法の可能性を探ったものだ。

だが、その治療効果は、筋肉の量を増加させ、かつ肥満につながる代謝性炎症を緩和することで発揮されるものなので、運動いらずの筋トレや、食事制限いらずのダイエットにもつながる可能性がある。

「肥満は変形性関節症のもっとも一般的なリスク因子です。体重が増えすぎると、体を動かしにくくなり、理学療法の効果もあまり得られなくなってしまいます」とのFarshid Guilak氏は話す。

マウス実験で効果を検証

実験では、脂肪たっぷりのエサが与えられ、太ったおかげで変形性関節炎を発症してしまった若いマウスに、ホリスタチン発現を促進する遺伝子療法を施した。

Guilak氏はその効果を「絶大」と評している。太らされたマウスは、あまり運動ができなくなっていたにもかかわらず、筋肉が増え、それでいて体重は増えなかったのだ。

とりわけ効果があったのは、関節の怪我と変形性関節炎につながる軟骨の変形・滑膜炎・骨再形成の緩和だったという。

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ホリスタチン遺伝子療法のさまざまな効果

ホリスタチン遺伝子療法が人間の治療法として有望であることが示されたのは、これが初めてではない。関節症の治療以外にも、がん・腎臓病・嚢胞性線維症といった病気の治療法としても研究が進められている。

ベッカー型筋ジストロフィーに関しては、人間を対象とする第I相試験が行われ、少なくとも危険な副作用はないことが確認された(ただし治療効果ははっきりしない)。

今回の研究では、筋肉を増強させたり、代謝活動に影響して高脂肪食品のカロリーを相殺するなど、ホリスタチン遺伝子療法に多様な効果があることが示唆されている。

Guilak氏は、人間を対象とする治験の可能性については現実的な態度でいるが、関節症の治療法としてはもちろん、食事制限不要のダイエットなどとしても期待しているとのことだ。

References:Experimental gene therapy prevents obesity, builds muscle, without exercise or dieting/ written by hiroching / edited by parumo

・あわせて読みたい→筋トレに取り憑かれた男性はうつ病のリスクが高まる(ノルウェー・アメリカ共同研究)

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