今年9月に還暦を迎える松本人志(59)がバラエティ番組「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ)で「早ければ2年、遅くとも5年」で芸能界を引退すると語った。もっとも、彼の引退話は今に始まったものではないが、4月からスタートする新番組でタッグを組む中居正広(50)が「『まつもtoなかい』は松本さん最後のレギュラー番組です」と裏打ちしたものだからさあ大変。引退話はにわかに真実味を帯びてきた。
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松本人志
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2月24日放送の「酒のツマミになる話」で、元宇宙飛行士の野口聡一氏(57)が「燃え尽きるまで頑張った日の翌朝に何を思うか」という話題を振った時だった。
松本:僕の場合、芸能界辞めた次の日の朝、どんな感じになるかということですよね。どっかで幕を引かないといけないんで、たぶん自分で辞めると思うんです。別にそんなに遠い話でもないんで。
――サブMCの千鳥・大吾(42)が「(その時)横に浜田さんはいるのか?」などとツッコむ。
松本:あれはダラダラといると思うで。(思い返したように)そんなに長くはもうないのよ。早ければもう……2年や。遅くても5年かな。
民放プロデューサーは言う。
「松本さんの引退話は過去に何度もありました。古くは1994年発売の著書『遺書』に40歳で引退と書いていましたし、『ワイドナショー』(フジ)でも何度か自身の引退について発言しています」
2019年3月31日放送の「ワイドナショー」では、還暦を迎えたことを理由に引退を発表した森昌子(64)について触れ、こう語っていた。
引退がリアルに
松本:もちろん(引退を)考えるでしょ、60歳ってやっぱり。俺もあと5年やから。上岡龍太郎さん、(島田)紳助さん、60歳手前くらいで辞めてらっしゃるんで、そう考えると俺もそこまで長くないんじゃないかなと思いますよ。
21年9月5日放送の『ボクらの時代』(フジ)でも「数年で辞めるよ」と言っていた。
「さだまさし(70)、泉谷しげる(74)と共に出演し、『65歳で芸能界を辞めたい』と語っていました。さださんから『辞めたいって言いながら、辞めないっていうワザでしょ』とツッコまれていましたが、私たちも同じように考えていたところはありました」
ところが、3月6日、新番組「まつもtoなかい」(フジ)で共にMCを務める中居が出したコメントにこうあったのだ。
《たぶんね、松本さんにとっては、これが最後のレギュラー番組だと思うんですよ。もう増やさないと思います。どの局から新番組の話が来ても、「僕はできません」って、あの人は言います。言いきれますね。『まつもtoなかい』は、松本さん最後のレギュラー番組です(笑)》
「もちろん中居さんのリップサービスだと思いますよ。仲がいい2人なだけに、松本さんから引退についての考えを聞いていることは間違いないと思います。それだけに《最後のレギュラー番組》という言葉は意味深で、何か含みのある発言に感じてしまうのです。さすがに2年後はないとしても、65歳の引退をリアルに感じ始めたテレビマンが増えています。松本さんが言っているように、上岡さんの例もありますからね」
上岡龍太郎は58歳で引退
上岡龍太郎(80)は横山ノック(1932〜2007)の誘いでトリオ漫才の漫画トリオを結成(当時の芸名は横山パンチ)して売れたが、ノックが参議院議員選挙に出馬し当選したことでトリオは活動休止に。芸名を改め、ピンで活動するようになった。博識で立て板に水の語り口は舌鋒鋭く、在阪局の「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)や「鶴瓶上岡パペポTV」(読売テレビ)、東京でも「上岡龍太郎にはダマされないぞ!」(フジ)など司会者として活躍した。
そんなさ中、1997年に「2000年に芸能界デビュー40周年を迎える。僕の芸は20世紀で終わり。21世紀には新しい人生を歩みたい」と宣言すると、その言葉通り2000年にスパッと引退してしまったのだ。当時58歳だった。
「現在、松本さんは『探偵!ナイトスクープ』の3代目局長を務めていますが、自己紹介の『わたくしが局長の松本人志です』というセリフは初代局長だった上岡さんから受け継いだもの。松本さんが敬愛する島田紳助さん(66)が尊敬したという上岡さんですから、影響されるところもあるのでしょう」
なぜ上岡は引退したのだろう。引退後は横山ノック、立川談志、桂米朝らの葬儀などでしか公の場に出ていないが、著書を出版した際に「週刊朝日」(2003年9月12日号)のインタビューでこう語っている。
後追い引退も
《もう、一緒に仕事したいなあと思う人も、あんまりいなくなりました。逆にね、後半、だいぶ感じてましたが、自分との接し方に若い芸人が困っているのがわかるんです》
そして、今田耕司(56)、東野幸治(55)と同じ新幹線に乗った時のエピソードが語られる。
《「明日はよろしくお願いします」言うから、「ああ、こちらこそよろしく」言うて。そっから、ほぐれない。どうしよう、何を話したらええんや、という戸惑いが感じられた。ああ、もう、そうなんやなあと思いましてね》
バラエティ番組に対する苦言もあった。
《テレビのバラエティも変わりました。仲良し同士でしかやらないでしょう。藤田まことさんも言うてましたけど、「てなもんや三度笠」なんか、大変な緊張感があった。仲のいいことはええこっちゃと武者小路実篤も言うてますけど、番組としてはあんまりおもしろくないんですね。会話にも知性がなくなる》
「耳の痛い話ですね。上岡さんは自分が視聴者から知的なイメージで見られていることはよくわかっていて、年を取ってイメージが壊れることを良しとしなかったとも聞きます。松本さんにも同じような気持ちがあるのかもしれません。もし彼が本当に引退したら、追随する芸人が出てくるかもしれません。東野さんも60歳でテレビ出演を控えるといった引退宣言をしていますし、松本さんを見習って早期の引退を計画する芸人が増えるのではないかと危惧する声も出ています」
デイリー新潮編集部
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