ノンフィクション4コマ「ホームセンターあるある」がバズった理由

ノンフィクション4コマ「ホームセンターあるある」がバズった理由

  • WANI BOOKS NewsCrunch
  • 更新日:2022/11/25
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「ホームセンターあるある」が現在Twitterでもバズっている『工務店の日報』(@KOBA_co_osaka)。Instagramでは9万人を越えるフォロワーがいる大人気の漫画を作っているのが、漫画制作担当の福田雄一さんと、ネタ出しやSNSの監理をしている株式会社コーバの松本和也さんだ。

職人あるあるや業界用語など、あまり知られていなかった工務店のお仕事内容について、4コマ漫画でわかりやすく教えてくれている二人に、ニュースクランチ編集部がインタビューしてきました!

お酒の席での話から『工務店の日報』は始まった!

――お二人は古くからのご友人ということですが、最初の出会いは? 仲良くなったきっかけなどあれば教えてください。

松本和也(以下、松本):出会いは中学校です。2クラスしかなくて、人数も少なかったので自然と仲良くなりました。

福田雄一(以下、福田):高校は別のところに行ったんですけど、大学でまた一緒になりました。付き合いは随分と長いですね。大学は大阪芸術大学の美術学科に入りました。同じ学科でも僕は絵の分野を専攻しました。

松本:僕は立体とか彫刻とかの専攻でした。

――お二人の現在のお仕事を簡単に教えていただけますか。

松本:僕は『工務店の日報』に出てくる株式会社コーバという会社を経営しています。仕事内容は、店舗や住宅などのデザイン、設計、工事をやっています。

福田:僕は30代前半で、いま住んでいるポルトガルに移住しました。絵を描いたりデザイン系のお仕事をこっちでもやっています。あとは、漫画を描いたりしていますね。

――大人気の『工務店の日報』誕生のきっかけは?

福田:一緒にお酒を飲んでいたときだったと思うんですけど、松本が冗談で「仕事をはじめて10年ぐらい経って、携わってきた物件も増えてきたから、本を出したいなと思ってんねん」と言いはじめまして。それで僕が「作品集みたいな本を出したいん?」と聞いたら「いや、職人あるあるの本を作りたいんや!」と返してきたんです。

まぁ、そのときはお酒の席での冗談で、面白そうやなぁくらいの感じで終わったんです。月日が経って、僕が漫画を描きたいなと本気で思って、いま住んでいるポルトガルでの出来事を漫画にして、まんが雑誌のコンテストに出したんです。そうしたら、ありがたいことに賞をいただけまして。そこから、漫画を描き続けたいなという思いが強くなりました。

でも、そのときに思ったのが、出せる力はすべて出したんですけど、この先、漫画を描いていくためには「まだまだ力が足りないな」ということ。そう考えたときに、ひとりじゃなく仲間と一緒にチームでやりたいなと思いました。そして「そういえば松本、職人あるあるの本を作りたいと言ってたな!」と思い出したんです。

松本や会社の人と一緒にやれたら、僕はすごく面白いと思ったし、松本たちにとってもマイナスにはならないんじゃないかなと思って、一緒に漫画をやらないかと提案しました。

――松本さんはお話をもらったとき、どう思われましたか?

松本:20代から設計という仕事をやらせてもらって、我々が設計した図をもとに工事をしてくれるのは職人さんなんですね。職人さんって、人として面白い方がとても多いんです。漫画で描いているような個性的な人たちが本当にいるんです。一緒にお仕事をしていると、事件もいろいろ起きるんですね。

職人さんの業態によっても少し変わるんですが、それぞれ色があるというか。左官屋さんは少し荒っぽめの人が多い、仕上げ屋さんは細かい仕事が好きで、おしゃべりが好きとか。

そういうのが面白いなぁと、ずっと思ってはいたんですけど、このことをそのまま本にしても面白くなんじゃないかな、文章だと伝えきれないんじゃないかなと。それが漫画というコンテンツになると、この面白さっていうのを何倍にも膨らますことができるんじゃないかって。これはやるべきかなと思いましたね。

同業者から「わかる!」という声がもらえるように

――たしかに、漫画のほうがスッと頭に入ってきます。工事現場などの細かい部分までは知っていない人にも、簡単にその場の状況がわかるというか。

福田:我々の理想系が、漫才師の中川家さんがやるテレビ局のADとカメラマンのネタなんです。鉄板のやつ。業界人のモノマネをしているんですけど、業界のことを知っている人はもちろん面白がっていると思うんですけど、例えば僕みたいにテレビ局のこと知らない人間でも「なんか面白いな」と思える。

あのお笑いのセンスが、我々の目指すところやなっていうふうに思っています。工務店をよく知らなくても、くすっと笑えたりとか、そういうようなことですよね。

――立ち上げの段階から同業者向けにというよりは、工務店のことを知らない人向けに作っていこうと?

松本:もちろんそれもあります。でも、やっぱり同業者の人たちが「これ、これ! わかる!」っていうのがないと、ちょっと幅が広くなりすぎて、ゆるい感じになってしまう。「結構コアなところ攻めてるなー」みたいな感じにしたくて。完全にプロ仕様のお話もあります。

建築業界じゃない方も、プロ仕様の話に興味を持ってくれている人もいると思うんです。DIYが好きな人とか。そういう方々も、ふわっとしてる話よりも「本当の職人さんってこうなんだ」と、深いところを知れたほうがうれしいと思うんです。なので「業界の人に引っかかる話」っていうのが根本にありますね。

福田:同業者も納得できるっていうもの、それが一番かなと思っています。そういう話を出していたら、建築業界のことを知らない方も面白がってくれるんじゃないかと。ありがたいことに、今はフォロワーさんがだいぶ増えてきて、男女比率も半々ぐらいなんですよ。最初は男性9割だったんです(笑)。

――そうだったんですね。最初は同業者の方がフォローしてくださって、そこから広がっていき、今は半々くらいになったんですね。女性に人気があるのは、どういったお話だと思いますか?

松本:動物が出てくるお話も結構あるんです。そうしたら、犬や猫が好きなフォロワーさんがめちゃめちゃ増えたときがあって。それなのかなと思っています。

福田:最近は、犬や猫を飼っている職人さんが結構多いんです。なので、「職人×動物好き 」っていうパターンもドハマりしたのかなと。

松本:あとは今、職人の奥さんで見てくれている人がめちゃめちゃいると思います。コメントを読んでいたら「うちの旦那が~」っていうのがすごく多いので(笑)。

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▲第169話「職人の妻たち」

一番反響があった「ホームセンターあるある」

――4コマ漫画の元ネタって、どういう形で集めているのでしょうか?

松本:1ヶ月に何回か、会社の人間も入れてZOOMで集まって、ネタ出しとかしていましたね。今はLINEでグループを作って、それぞれ日々あった出来事で、漫画にできそうなことを共有していくような形でネタ出ししています。

――なるほど。思いついたり面白そうなことをどんどん共有していくんですね。

松本:でも、ネタ出しも苦労しているんです。この業界にずっといると、すべてが“慣れてくる”んですよね。だから、その出来事が面白いかどうかわからないときもあります。そういうことってあるじゃないですか。業界外の人から見たらちょっとおかしいかもしれないけど、中にいたら当たり前というようなことって。

福田:どっちかというと、松本とか会社の人が話してることを聞いて、僕が漫画にできそうなこと拾うっていう感じです。「あ、それ漫画にできるかもな」みたいな感じで。自分で言うのもなんですが、僕も漫画の描く腕が少し上がってきたのか、誰かが言った何気ない一言で4コマ漫画が作れるようになってきて(笑)。

例えば、『街中の工事』というお話は、ボソッと言った2秒ぐらいの何気ないエピソードなんですけど、それを4コマに描き上げる力がついてきた気がします。

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▲第189話「街中の工事」

福田:逆に話はめちゃくちゃ面白いんだけど、4コマに落とし込むってなると難しいっていうのがあって。最初の頃に「哀川翔さんに似た洗い屋のおじさんの話」を2回に分けて描いたんですけど、ほんまはすごい面白い話なんです。でも、大ネタすぎて4コマ2回分ではさばききれなかったです。

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▲第40話「哀川翔を崇拝している洗い屋 その1」

松本:これほんまに面白いんですよ。なんかもう哀川翔さんに憧れすぎて、なりきっているんです。めちゃめちゃいい人でした。

福田:大ネタって、噓でしょ!? みたいな本当の話なんですよね。描いている自分でも「これ本当か?」と思ったりします(笑)。でも、描いている話は少し膨らませている部分もありますが、全部本当の話。ノンフィクションです!

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▲第41話「哀川翔を崇拝している洗い屋 その1」

あと、ずっとやっていても、何の話がバズるかってわからないんです。一番反響があった『ホームセンターあるある』というお話は、職人が専門的な質問を女性の店員さんにして、店員さんがそれ以上の返答したっていう、あるあるの話なんです。それが、めちゃくちゃバズって340万リーチとかになって。

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▲第159話「ホームセンターあるある」

意外と、たわいもない出来事をうまいこと画の表情とかに落とし込めたときのほうが、漫画的には面白いものに化けますね。

プロフィール

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工務店の日報(komuten_no_nippo)

大阪のとある工務店での日常を綴った物語。職人あるあるなどで人気となりInstagramのフォロワーは9万人を越えるなど、大人気となっている。平日毎日更新。作画:福田雄一(fukudayuichi)、監理:株式会社コーバ(koba_co_ltd)

NewsCrunch編集部

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