反民主主義・中国へのABC-J包囲網、菅首相は静かに本気を示した

反民主主義・中国へのABC-J包囲網、菅首相は静かに本気を示した

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/10/17
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菅首相の一本背負い

「日本学術会議の6名任命拒否問題」に関する議論が姦しい。いまさら議論に割って入ろうなどと言う気は毛頭ないが、私は今のところ沈黙を保っている菅首相が「確信犯」であり、オールドメディアや共産主義・リベラル(いわゆる「偽装共産主義」)勢力は、まんまと術中にはまったのではないかと考える。

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photo by Gettyimages

菅首相は、官房長官時代に安倍首相のサポート役として活躍したが、その7年8カ月の間に元々すぐれていた人心掌握術を更に一層研ぎすましたように見える。特にオールドメディアとは記者会見などで長年にわたって接してきただけに、彼らの特質がよくわかっているようだ。

オールドメディアが慣れ親しんだ、かつての「官房長官」に遠慮会釈の無い攻撃をすることも「想定内」であり、むしろ緻密に計算されていたように思う。

菅氏は安倍政権の官房長官を務め「安倍首相」の後継者とされる。確かに政策の大筋などにおいてはそれほどのブレは無いだろうが、「手法」において「雲泥の差」があることを象徴的に示したのが、今回の「学術会議問題」である。

この「学術会議問題」に限らず、安倍元首相のどちらかといえば「受けて立つ」やり方に対して、菅首相は矢継ぎ早に「先制攻撃」を仕掛けている。

戦いは初戦が大事

象徴的なものが、9月28日に韓国系の市民団体「コリア協議会」がドイツ・ベルリンのミッテ区に設置した少女像について、同地のミッテ区役所が10月8日、同団体に「10月14日までに『少女像』を撤去せよ」との命令を出したことである。

その後、コリア協議会が執行停止処分をベルリン行政裁判所に申請したことにより「保留」となったが、菅政権のさらに毅然とした態度が必要である。

しかし、それだけではない。

◎米国に続いて、外国人留学生に関するビザ審査の強化を行う方針。
◎安全保障上重要な土地の取得への監視強化の検討。
◎防衛省は、「電子戦」の専門部隊を設置する。
◎先端技術輸出規制の新たな枠組みを米国などへ提案。
◎経済安全保障を推進する法案の次期国会への提出準備を始めた。

等など、安倍政権の政策の延長ではあるが、スピード感を持って取り組んでいる。

オールドメディアや共産主義。リベラル(偽装共産主義)が「日本学術会議」というスモーク(煙幕)に気をとられて大騒ぎしている間に、日本の安全保障にとっての緊急課題である政策を次々に実行していく腹であるかもしれない。もし、そうだとしたら、やさしい笑顔の奥に隠された驚くほど老獪な戦術に舌を巻くばかりである……

柔よく剛を制す

「学術会議問題」においては、更に日本伝統の秘儀「柔よく剛を制する」が活用された。

弱々しく見えるしなやかなものが、猛々しい固いものを打ち負かすということだ。

相手が攻撃する力を逆手に取って、その相手の力と自分の力を合わせた力を使ってしなやかに反撃(今はやりの言葉で言えば「倍返し」)すると言うのが柔道の極意であり、小柄な少年が大男を倒すことができる理由でもある。

菅首相は「6名の任命拒否」というきっかけを提供したに過ぎない。その餌にまんまと飛びついたのがオールドメディアたちであり、自らの手で「日本学術会議の闇」を白日の下にさらしたに等しい。

オールドメディアはともかく、ネット上の言論では「(戦後アカデミズムの)『共産主義支配』による利権」「(仮想)敵国との親密な関係」「自国の安全保障に関する妨害」に対する怒りの声があふれている。

もし、政府が正攻法で「日本学術会議」の問題を追求しても(オールドメディが無視して)国民が関心を持たなかったはずだから、オールドメディアなどの力を使って、しなやかに「倍返し」するという戦略が見事に決まったと言える。

ところで、ある世代以上の読者はゆーとぴあというコンビを覚えているかもしれない。「ゴムぱっちん芸」で一世を風靡した。

ゴムひもの端を加えた芸人のあい方がもう一方の端を持って遠くまで歩く。そして手を離すという芸だが、オールドメディアたちは、しなやかなゴムを猛々しく攻撃し、その伸びきったゴムが自らの顔面を直撃したと言えよう。

海外でも「反民主主義」の代表格である共産主義との戦いが激しさを増している。共産主義国家だけではなく、国内の「共産主義」(反民主主義)との戦いもし烈だ。

英国のジョンソン首相は、9月21の記事「メルケル独裁16年間のつけ、中国がこけたらドイツもこけるのか?」で述べたドイツをはじめとする自国を取り囲むEU諸国と対峙しなければならないだけではない。それらの国々から英国へも「共産主義」が国内に流入しており、それらとも戦わなければならないのだ。

また、現在、大統領選挙真っ最中のトランプ氏も国内の「共産主義勢力」からの攻撃にさらされている。

グレタ・トゥーンペリさんが、対立候補であるバイデン氏への支持を明確にしたが、彼女が「先進国の二酸化炭素排出を問題にしても、世界最大の排出国である共産主義中国を非難しない」ことから考えれば、バイデン氏がどのよう勢力の影響下にあるかは容易に想像できる。

10月10日の記事「気をつけろ、自然界も人の社会も放っておけば全体主義を志向する」で述べたように、民主主義は歴史的に見れば生まれたての赤ん坊であり、少しでも気を抜けば全体主義に抹殺されてしまう。

ジョンソン氏もトランプ氏も「反民主主義」との戦いでは全く気が抜けないから、国内の反民主主義勢力に見事「倍返し」を決めた菅首相は、安倍首相以上に世界の民主国家からの信頼を得て頼りにされるかもしれない。

ABC-J包囲網で取り囲む

世界の価値感・政治は、民主主義と反民主主義に大きく2分されつつある。民主主義国家はファイブアイズやクアッド(日米豪印戦略対話)などで連携を強めているが、その中心となるのがA=アメリカ、B=英国。C=カナダを始めとするファイブアイズ加盟3国である。そしてそこに日本=Jが加わる。

また、安倍晋三元首相によって提唱され、その後、ディック・チェイニー米副大統領の支援を得、ジョン・ハワード豪首相とマンモハン・シン印首相が参加して2007年に結成された「日米豪印戦略対話」(クアッド)も、第2回日米豪印外相会合が10月6日、東京で対面形式で開催されたことで注目を集めた。

中国と国境を接し、巨大な民主国家であるインドが仲間に入るのは喜ばしいことだ。

ファイブアイズ加盟国だけではなく、世界最大の共産主義国家と国境を接する民主主義大国であるインドが仲間に入れば心強い。

共産主義中国は、発展途上国を中心とした国々の取り込みに必死だが金の切れ目が縁の切れ目ということが見事に証明されつつある。

発展途上の国々は、共産主義中国を尊敬したり好感を持ったりはしていない。金ずる以上のものではないと言えるだろう。

中国と民主主義陣営との対立が激しくなる中で、「どちらについたら得か?」を冷静に判断するはずだ。

また、かつては共産主義中国の兄貴分であったソ連邦(ロシア)との関係も微妙だ。強大な国となった中国がロシアに恩をあだで返しているのだから致し方ない。

米大統領選挙は、両者の「代理戦争」だとさえ言われる。どちらがどちらを推しているのかは説明の必要が無いだろう……

菅首相は安倍氏よりもうまくやるのではないか?

菅政権がスタート時から矢継ぎ早に安全保障に関わる政策を推進しているのは、初戦が大事ということもあるが、我々に残された時間が残り少ないということも意味する。

スパイ防止法や情報機関の設立はもちろんだが、早急にやり遂げなければならないのは「憲法是正」である。

世界中の先進国の首脳から(本音では……)「馬鹿げた空論」と思われている憲法第9条の「是正」は急務だ。

この「馬鹿げた空論」を後生大事に守ろうとする勢力がどのようなものであるかを考えれば、「憲法是正」はまさに緊急課題である。

冒頭で述べたように菅政権のスタートは100点満点をつけたいくらいだ。官房長官時代7年8カ月じっくりと考えたうえでの首相就任だから、そのプランはしっかりと練り上げられているはずだ。

世界の民主主義国家と手を散りあって「反民主主義」と対決する菅首相の今後の活躍が楽しみである。

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