きれいな器に美しく料理が盛り付けられた、芸術性が魅力のフランス料理。「フレンチ食堂パザパ」(兵庫県丹波篠山市今田町上小野原)では、ナイフとフォークではなく箸で味わい、ドレスコードやテーブルマナーもない。接客担当の水野美佐さん(54)=同県西脇市出身=は「かたくるしいことを気にするのではなく、おいしい食事を純粋に楽しんでもらいたい」とその理由を語る。

ランチの洋膳はメインが肉か魚。前菜とスープ、ごはん、デザートがつく=フレンチ食堂パザパ
腕を振るうのは、フレンチ一筋30年のシェフ栗本修さん(54)=神奈川県出身。水野さんと栗本さんは以前働いていたホテルの同僚で、新型コロナウイルスの影響で職を失い、一緒に開業を決めた。店名は「ぼちぼちやっていこう」と、フランス語で「一歩一歩」を意味する「パザパ」とつけ、2020年7月に兵庫県加東市でオープン、22年7月末に現在の場所へ移転した。
ランチはコース仕立ての洋膳(2800円)。メインが魚か肉かを選べ、前菜とスープ、ごはん、デザートがつく(肉と魚の2種盛りは3300円)。前菜のプレートは当初現在の半分以下の量だったが、「(客の)期待をいい意味で裏切ろう」と品数が増加。フレンチの王道から創作メニューまで多種多様に盛られ、満足感はピカイチだ。ふんだんに使われた野菜はどれも素材の味が生かされ、箸がどんどん進んだ。
丹波焼の器で提供されたメインの魚料理はイトヨリダイのポワレ。白ワインを使った定番ソース「バンブランソース」とトマトソースとの相性は抜群で、そのおいしさに思わずうなった。肉料理の豚肩ロースは食べやすく一口サイズに切り分けられており、わさび塩をつけて、あっさりいただいた。
締めのデザートは、男性からの支持も厚いという人気の「レトロプリン」。濃厚な卵の味わいとなめらかな口あたりにうっとり。こだわりのコーヒーと一緒に食べれば、大きめのサイズながらあっという間に完食した。
月曜定休、火曜不定休。午前11時~午後5時半(ラストオーダー午後4時半)。最新の営業日はインスタグラムで確認を。ランチは食材がなくなるまで。ディナーは予約があれば営業する。