フジ、“守りから攻め”の日曜ゴールデン改編 編成部長が語る狙い

フジ、“守りから攻め”の日曜ゴールデン改編 編成部長が語る狙い

  • マイナビニュース
  • 更新日:2019/01/02
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●看板番組を作らなければならない

フジテレビは、日曜日のゴールデンタイムに、『でんじろうのTHE実験』(今冬スタート、毎週日曜20:00~)、『アオハル(青春)TV』(1月スタート、毎週日曜21:00~)という2つの新レギュラーバラエティ番組を編成することを発表した。日本テレビがトップを走り、テレビ朝日が猛追をかける時間帯で、あえて勝負に出ることにしたのだ。

視聴率の苦戦が続く中、最激戦区で反転攻勢をかける狙いは何か。同局の齋藤翼編成部長に、話を聞いた――。

○■あえて“総合バラエティ”に

――激戦区である日曜のゴールデンタイムに、再びレギュラー番組を投入することを発表されましたが、まずはこの狙いについて教えてください。

おかげさまでドラマは最近良い評価をいただくようになったのですが、月曜日から木曜日まで好調に推移したとしても、金・土・日の週末が弱いので、ここに注力して改編作業を進めてきました。10月改編では、金曜19時に『坂上どうぶつ王国』、土曜19時に『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』、20時に『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』という新番組を立ち上げましたが、そのときに1月には日曜日のゴールデン帯を改編することも決めていました。当然、他局さんが非常に強い時間帯なので、正直悩みました。もしかすると今までの『ニチファミ!』単発枠のままのほうが視聴率は良いのではないか、これをベースに実績を積み上げていくほうが失敗しないのではという考え方もあったんですが、それをずっと続けていくのでは今の(民放視聴率)4位の中で何も生まれないと考え、気持ちを切り替えて勝負に出てみようということです。

――守りよりも攻めに出るということですね。

いつまでも守っているのではなく、どこかで攻めに転じないといけないという思いはありました。新番組を立ち上げるときに、世帯視聴率を取りに行こうとすると、今のテレビ視聴環境を意識して3層(50歳以上)、4層(65歳以上)の方向けに医療モノや健康モノに思い切りシフトしていくという考えもありました。しかし、あえてその層だけには絞り込まずに、3層・4層の方も若い方も家族そろって見られる番組をと、総合バラエティに舵を切りました。

――家族そろってという狙いが分かりやすいのは、『でんじろうのTHE実験』(今冬スタート、毎週日曜20:00~)ですね。

この前、番組審議会で『坂上どうぶつ王国』を審議していただきました。その際、審議委員の毛利衛さんが、神社に池を再生する企画について、すごく勇気が出ることを言ってくださったんですよ。「バラエティ番組で池を再生することを通じて、生物のあり方とか環境づくりを自然と勉強できるようなことがあれば、それは素晴らしいことだ」と褒めていただいたんですね。今回の『でんじろうのTHE実験』は、世界の興味深い実験や身近な科学を、分かりやすく解説していく番組なのですが、こちらもバラエティという切り口で科学の面白さを多くの人に感じ取っていただける番組になればと思っています。

○■ヒロミやプロデューサー陣が若いDを応援

――『アオハル(青春)TV』(1月スタート、毎週日曜21:00~)は、「何かに一生懸命な人≒アオハル(青春)な人」を発掘していくというフジテレビ伝統の総合バラエティですよね。

2018年に単発で2回放送した番組です。1回目は4月だったんですが、『とんねるずのみなさんのおかげでした』や『めちゃ×2イケてるッ!』を見て育ってきた僕には、こういう番組と同じようにものすごく輝いているように感じられましたし、ワクワクしながら見ることができました。ベテランの制作者や編成マンからは「総合バラエティ」というジャンルを視聴率に結びつけるのはなかなか難しい、それを今うちがやるべきなのかという意見もあったのですが、今の時代に合ったフジテレビの看板番組を作っていかなければならないという強い思いで決断しました。それから、自分が目指す日曜ゴールデンの方向性と制作現場の思いが合っているのかを確認するため、総合演出の萩原(通称:マイアミ啓太)とじっくり話し合い、考えていることが同じだと分かったので、日曜21時でやってみようということになったんです。

――思い入れのある番組なんですね。

どんな番組でも、社内で「どうなんだ?」という声があると、自分が直接作っているわけではないんですけど、まるで我が子を非難されているかのように思うんです(笑)。でも、MCのヒロミさんやプロデューサーの面々が、マイアミ啓太という若いディレクターを、すごく応援していて、それがヒロミさんも含めて1つのチームのようになってるんです。第2弾放送の際の打ち上げに顔を出したんですが、そこでも若手を応援していこうという話で盛り上がったんですよね。YouTuberやTikTokに見られるようなネット動画的な感性、そういう部分ですごくいい感覚を持っていると感じたので、ぜひ日曜ゴールデンという場で、若い力で思い切り腕をふるってもらいたいと思います。

――それにしても、これまで『人生のパイセンTV』を含め、深夜帯の番組を担当してきたマイアミDの『アオハル(青春)TV』で日曜のゴールデンタイムとは、攻めに行ってるなという印象を受けました。

攻めようというおこがましい感覚ではありませんし、多くの人に受け入れてもらえるのだろうか?という不安もあります。ただ、逃げてばかりではなく、今、視聴率が低迷し、われわれの常識が通じていない以上、勇気を持って、時にはわれわれの常識が非常識だくらいに思い、この番組を編成することを決断しました。

――齋藤さんは長く営業畑におられて、社内でもより視聴者に近い目線から、これまでの常識にとらわれない編成というのも意識されているのでしょうか?

そんなふうに後々思われたらうれしいと思いますが(笑)。ただ、もしかしたら、不調の原因はこちらからの一方的な目線で番組を作ってきて、そのツケが回ってきた結果なのではないかという気もしているんです。やっぱり、局のイメージは番組が作りますから、より多くの人に受け入れられる姿勢を1つ1つの番組から感じ取ってもらえるような雰囲気にしなければならないと思います。番組を立ち上げるときは常に意識していることですね。

○■番組の持つ“可能性”から決断

――マイアミさんは30代前半で、10月にスタートした『99人の壁』の千葉悠矢さんも20代と、ゴールデンで若い演出の起用が続くことになりますが、そのあたりも意識しているんですか?

誰でもいいから若い人にやらせてみようということではないのですが、やはり今の若い人の感覚を、われわれのような年代が理解しないといけないなと思っています。今はいろいろなメディアがあるわけですから、最先端の面白いものを知っている感性を、バラエティの制作に取り入れることが必要だと思っています。「若いからまだまだ」とか「理解できない」とか言うのではなく、こちらからその感性を理解する・勉強する必要があると思っています。

――『アオハル(青春)TV』も『99人の壁』も正直、視聴率としての結果が出ていなかった中でレギュラー化となりましたが、“若手の起用”という意識も判断の背景にあったのでしょうか?

もちろん、単発で10%以上とっている番組がたくさんあったら判断は楽ですが、そこは、やはり番組の持っている可能性を感じられるかだと思います。MCを佐藤二朗さんにやっていただくと考えた千葉の感性もそうですが、番組を見てこれは面白いんじゃないか、可能性を秘めているのではないか?というところで決断していくことを心がけています。

――日曜のゴールデン帯は、これまで『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる法律相談所』という日本テレビさんの独壇場だったところ、10月から『ナニコレ珍百景』『ポツンと一軒家』を編成したテレビ朝日さんが追い上げてきている状況で、少し構図が変わってきたように思います。このタイミングで、再度勝負を仕掛けるにあたっての目標は、どのように定めていますか?

新しくゼロから始めるので、最初は正直苦戦すると思いますし、結果は後からついてくれば良いと考えています。視聴率だけにこだわって番組を作っていくと、方向性や表現するものが変わってきてしまうので、目標値についてはあえて制作と話はしていないんです。もちろん、走り始めてから方向性を修正した方が良いということになるかもしれませんが、それからでも支持していただけるようアジャストできる番組であるとは思っています。早いうちに1位を目指すのだ…なんてことを言うのは、今の段階ではありません(笑)

●月9上向きも「満足してはいけない」

――秋の新番組がスタートして1クールが経過しました。『ドッキリGP』は初回で10.4%と2ケタに乗せ、『坂上どうぶつ王国』は9.1%でスタート、『99人の壁』は12月1日の放送で単発時代を含めて自己最高の7.1%(いずれもビデオリサーチ調べ・関東地区)をマークするなど、少しずつ結果が出てくるようになったと思いますが、いかがですか?

本当に牛歩みたいな形ではありますけど、徐々に徐々に評価いただけるようになってきていると思います。自分が見ても面白い番組だと思いますので、まずは見てもらえるための努力、そして制作者がポテンシャルを最大限発揮できる環境づくりを、編成としてやれればと思っています。

例えば、去年の4月改編で、20時54分のニュースと天気予報をなくしたんですね。それまでは、20時54分から21時までの6分のうち4分程度がCMだったのですが、20時台の番組から21時台の番組にスムーズに入れるように、本編を20時59分まで放送してCMを1分にしました。その分のCMは別の時間帯に移したので、実はCMの量は減らしていないんです。このように環境を整えることは編成として大切な仕事ですし、他にも広報センターと連携してキャンペーンを立ち上げるなど、できることは何でも積極的にやっていきたいと思います。

――1月からは新ドラマもスタートします。月9は『コンフィデンスマンJP』『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』『SUITS/スーツ』と高評価のドラマが続いていますが。

昔の視聴率から考えれば、これで満足してはいけないと思っていますし、もっと上を目指していかなければならないと考えています。また、ドラマの見られ方が変化している中で、やっぱり“月9”というブランドが背負っているものを伝統的に守っていかなければならないとも思っています。その中で、今回の『トレース~科捜研の男~』(1月7日スタート、毎週月曜21:00~)は、錦戸亮さんの主演で、新木優子さん、船越英一郎さんといった豪華俳優陣も登場します。実際に科捜研の研究員だった古賀慶さんのリアルな原作を元にしていますので、幅広い層に受け入れてもらえる見ごたえある月9になればと思います。

――木10は、最近勢いのある共同テレビさん制作の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(1月10日スタート、毎週木曜22:00~)ですね。

うちの編成担当が本当に思いを持って企画した作品です。最近、現実の世界でさまざまなスキャンダルが多くなっている中、それを解決していく女性弁護士の物語を、久々の地上波ドラマ主演となる竹内結子さんを主人公に、オリジナル脚本で作り上げます。木10という枠にフィットする形で、多くの女性の方々の共感が得られるようなドラマになればといいなと思っています。

○■可能性のある番組を信じて4月改編へ

――ところで、『99人の壁』は、バラエティを制作する第二制作室の社内公開プレゼン大会から生まれた企画ですが、このプレゼン大会の意義というのは、どのように捉えていらっしゃいますか?

この半年程度で何百という企画書を見させていただきましたが、実は書面だけではあまりピンと来なかった企画でも、あのプレゼン大会では「おや!? いいな!」と思ったりすることがあるんです。実際に企画者のプレゼンを聞くと、その説明の仕方や人となりなどが相まって、ものすごく期待できる見てみたい企画に思えることがあります。企画書だけでは分からなかったけど、「あぁ、こういうことがやりたいんだ」と気付づかされることも多いので、そういう意味であの大会はすごく重要なものだと思いました。

――17年の10月改編、18年の4月改編、10月改編で、宮内正喜社長は「3段階のセット改編」と説明していましたが、次の4月改編はどのような位置付けになるのでしょうか?

視聴率だけを見て、低い番組を総取っ替えすることが改編だとは思っていません。今ある番組が少しずつでも受け入れられていく可能性があるのか、ないのか。『バイキング』も、番組スタート時は苦戦していましたが、今の生討論スタイルにして受け入れられてきましたし、『奇跡体験!アンビリバボー』のように長く続いて、より受け入れられて見ていただけるような番組もあります。この3回の改編でかなりの番組を変えてきましたから、可能性のある番組はそれを信じながら、次の4月改編に取り掛かっています。並行して、今ある番組が「こんなに面白いのやってたんだ。これから見てみよう」と気づいてもらえるようなPRについても、さらに努力していきたいと思います。

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